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生理の量が少ないときの原因は?〜生活習慣の乱れや病気によって生じる〜

生理の量が少ないときの原因は?〜生活習慣の乱れや病気によって生じる〜
久須美 真紀 先生

山王病院 リプロダクション・婦人科内視鏡治療センター部長

久須美 真紀 先生

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生理(月経)とは、およそ1か月間隔で生じる子宮内膜からの周期的出血のことをいいます。一般的な生理(経血)の量は20~140mlといわれており、20mlよりも量が少なくなる場合を医学的には“過少月経”と呼びます。原因は多岐にわたりますが、何らかの病気が原因で生じている可能性があるほか、不妊を招く恐れもあるため注意が必要です。

今回は、生理の出血量が少ない場合に考えられる原因と受診の目安について詳しく解説します。

女性は卵巣が月に1度の排卵を行うと子宮内膜は妊娠に向けて厚くなり、妊娠の準備を整えます。しかし、卵子が受精せず妊娠が成立しなかった場合には子宮内膜が剥がれ落ち、経血として体外に排出されます。これが、生理(月経)が起こるメカニズムです。

生理は女性ホルモンである“エストロゲン”や“プロゲステロン”が関与して起こります。ところが、生活習慣が乱れることによってホルモンバランスが崩れると、生理の量や周期に異変が生じることがあるほか、病気などを理由で変化することもあります。主には、以下のような原因が関係していると考えられます。

  • 生活習慣の乱れ
  • 内分泌疾患など機能性の病気
  • 子宮の病気(器質性疾患)

など

生理の量が少なくなる原因として、生活習慣が乱れることによる肥満や痩せすぎなどが挙げられます。

BMI*25.0以上の肥満になると、ホルモンバランスが乱れることから生理の量が少なくなることがあるほか、無月経(生理が来ない状態)になる場合もあります。また、BMI18.5未満の痩せ状態も同様に無月経などの月経異常に陥ることがあります。太り過ぎ、痩せすぎなど体に大きな変化があった場合には、まず生活習慣を改めるようにしましょう。

*BMI……肥満や低体重の判定に用いられる指数のことをいい、体重(kg)÷身長(m)2で求めることができます

子宮に異常がない場合でも、ホルモン(内分泌)などの病気によって無排卵をきたすと、生理(月経)の量が少なくなってしまうことがあります。

無排卵周期症

排卵障害の1つで、排卵がない、あるいは少なくなってしまうことをいいます。多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)PCOS)などが知られています。

高プロラクチン血症

母乳の分泌を促進するプロラクチンが過剰に分泌されることによって排卵障害を招き、過少月経や不妊などの症状が現れます。

甲状腺機能異常

甲状腺のはたらきが亢進(こうしん)したり低下したりすることによって、首の腫れや排卵障害による月経不順などさまざまな症状を呈すことをいいます。

黄体機能不全

女性ホルモンを分泌する役割を持つ卵巣の“黄体”が機能不全を起こしたり、黄体で生産された女性ホルモンが子宮内膜に作用できなかったりすることで、月経量が少なくなってしまう場合を指します。

生理の量が極端に少ない場合、子宮に器質性の病気がある可能性があります。

子宮形態異常

子宮の形状に異常があることをいい、先天性・後天性があります。子宮形態異常は過少月経の原因となるだけでなく、流産を招く場合もあります。

子宮発育不全症

何らかの理由で子宮が十分に発達していないことを指します。ターナー症候群など、染色体異常の病気によって生じることもあります。

子宮内腔癒着症

アッシャーマン症候群とも呼ばれ、子宮内膜増殖症子宮体がんなどの治療・検査で行われる子宮内膜掻爬術(しきゅうないまくそうはじゅつ)の後に子宮の内腔が癒着(ゆちゃく)を起こし、過少月経や不妊が生じやすくなる病気をいいます。また、子宮内膜掻爬術を行った後は、癒着が生じていない場合でも過少月経が生じることがあるといわれています。

子宮頸がん

子宮頸しきゅうけいがんの治療・検査などで行われる子宮頸部円錐切除術と呼ばれる治療を行った場合、子宮の入り口部分である頸部に狭窄(きょうさく)が生じることによって子宮の内部に経血がたまり、排出される経血が少なくなることがあります。

子宮内膜炎

子宮内膜炎とは子宮に入り込んだ細菌によって生じる感染症です。腹痛などの症状が見られるほか、過少月経の症状が現れることもあります。

生理の量が少ない(過少月経)場合は、必ずしも治療が必要なものではありません。しかし、子宮や機能性の病気が原因と考えられる場合には、不妊を招く可能性があり、治療が必要になることもあります。そのため、妊娠を希望する場合には特に注意し、前述したような気になる症状があり、それが続く場合には放置せずに婦人科・産婦人科の受診を検討しましょう。

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  • 山王病院 リプロダクション・婦人科内視鏡治療センター部長

    久須美 真紀 先生

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