編集部記事

ヘルパンギーナの薬には何があるの?~特効薬はなく、症状に対する治療が行われる~

ヘルパンギーナの薬には何があるの?~特効薬はなく、症状に対する治療が行われる~
阿部 克昭 先生

鎌ヶ谷総合病院 小児科 部長

阿部 克昭 先生

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ヘルパンギーナとは、エンテロウイルス属のウイルス(主にコクサッキーウイルスA群)の感染によって引き起こされるウイルス性の感染症です。乳幼児を中心に、夏季に流行するという特徴があり、患者の大部分が5歳以下で、特に1歳で発症することがもっとも多いとされています。主な症状は突然の発熱、口から喉にかけての赤みや痛み、また口の中に発疹(ほっしん)が現れます。

では、ヘルパンギーナを発症した場合はどのような薬が処方され、どのような治療が行われるのでしょうか。

ヘルパンギーナには特効薬や確立された治療法がありません。ヘルパンギーナの原因は、細菌ではなくウイルスであるため、抗菌薬(抗生物質)は効果がありません。そのため、発熱や頭痛などに対してアセトアミノフェン(解熱鎮痛薬)を処方したり、脱水に対して生活習慣の指導や治療が行われたりします。

なお、まれですが無菌性髄膜炎や急性心筋炎といった病気を合併することがあります。無菌性髄膜炎とは頭蓋骨(ずがいこつ)と脳の間にある髄膜に炎症を起こした状態で、頭痛や嘔吐といった症状が現れることがあります。また、急性心筋炎とは心臓の筋肉(心筋)に炎症を起こした状態で、顔色が悪くぐったりしている、呼吸が苦しそうなどの症状があるときには注意が必要です。無菌性髄膜炎や急性心筋炎を合併した場合は、入院してそれぞれの治療を行う必要があります。

ヘルパンギーナは、2~4日程度の潜伏期を経て突然の発熱、喉の痛みが現れ、続いて口から喉にかけての赤み、口の中に水ぶくれなどの症状が現れるとされています。基本は発症から2~4日程度で熱が下がり、それに続いて赤みや水ぶくれも消えることが一般的です。また、発熱時に熱性けいれんが現れることがありますが、そのような症状がなければ受診が翌朝になっても、問題ないとされています。

ヘルパンギーナを発症すると、喉の痛みによって飲食が難しくなることがあり、これによって脱水症状に陥ることもあるため、飲み込みやすい食事を心がける必要があります。

たとえば、牛乳やアイス、スープ、醤油をかけない豆腐、プリン、ゼリーなど刺激が少なく柔らかい、水分の多い食品を取るとよいでしょう。おかゆやうどんは冷ますと食べやすくなる場合があります。また、脱水をきたす可能性もあるため、小まめに水分を取ることも大切です。

ヘルパンギーナにはワクチンなどの特異的な予防法がないため、特に流行する夏の時期には感染対策を講じることが大切です。主に手洗いやうがい、手指の消毒をするといった基本的な感染対策や、周りに感染した人がいる場合は密接に接触することを避けるようにしましょう。

また、もし感染した場合は症状が治まってもしばらくは便からウイルスが排出されることがあるため、注意が必要です。感染した子どものおむつ替えやトイレを手伝った際には、その後にしっかり手を洗い、特にほかの子どもが感染しないように注意を払う必要があります。

ヘルパンギーナには確立した治療法がなく、必要に応じて対症療法がとられることが一般的です。場合によっては喉の痛みや発熱に対してアセトアミノフェン(解熱鎮痛薬)が処方されることもあります。

また、ヘルパンギーナを発症した場合は喉の痛みによって飲食が困難になることもあり、脱水症状に陥る可能性があります。そのため、刺激の少ない食事や小まめな水分摂取を心がけ、脱水症状に注意するとよいでしょう。なお、熱性けいれんや脱水症状が見られる場合は早めの受診を検討する必要があります。しかし、そうでなければ翌朝の受診でも問題ないとされているため、状況に応じて受診を検討するとよいでしょう。

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