佐賀駅から車で10分ほどの場所にあるJCHO佐賀中部病院は、前身の佐賀社会保険病院から独立行政法人地域医療機能推進機構へ移行して、2024年で10周年を迎えました。近年は救急医療や予防医療に力を入れて地域住民の健康を支えています。
そんな同院が担う役割や今後の展望について、院長である園畑 素樹先生にお話を伺いました。
当院は1946(昭和21)年に社会保険佐賀病院として開設されました。1996(平成8)年には病院の施設を現在の場所へ移すとともに、名称を佐賀社会保険病院と改めました。その後2014(平成26)年に独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)のグループ病院となり、JCHO佐賀中部病院として新たなスタートを切っています。
JCHO(ジェイコー)は旧社会保険病院、厚生年金病院、船員保険病院を統合する形で設立された公的病院グループです。当院をはじめ全国各地に57の病院を展開し(2024年時点)、グループ内の介護施設や訪問看護ステーションなどと連携して地域医療を支えています。
2024年は病院の体制が変わってちょうど10年になり、この節目の年に新たに開設したのが泌尿器科です。佐賀県は前立腺がんによる死亡率が高いとされる地域ですから、検診によって病気の早期発見に努め、精密検査から経尿道的手術まで一貫した医療をご提供できればと考えています。このほか泌尿器科外来では排尿トラブルをはじめとした泌尿器科領域の病気を幅広く診療しておりますので、お気軽にご相談ください。
また近年は救急医療にも力を入れており、2次救急医療機関として24時間365日体制で救急患者さんを受け入れています。2024年度より当直の医師を2名体制にしたこともあり、私が着任した2022年頃は600台前後だった年間の救急車受け入れ台数が、今年度は1,300台ほどになる見込みです。当院が2次救急に尽力して佐賀県の最後の砦(3次救急医療機関)を支えることは、地域にお住まいの方々の命を守ることにつながるものと考えています。
当院には内科・外科を合わせて14の診療科があり、このうちもっとも医師の数が充実し、入院患者さんの4割ほどを占めるのが整形外科です。私自身も整形外科を専門としており、今も週に一度は外来や手術を担当していますが、当院には手・関節などそれぞれに専門性を備えた整形外科医が8名在籍(2024年9月時点)しています。手外科ではマイクロサージャリー、関節外科では人工関節置換術などの専門性の高い治療を行える点に強みがあります。
マイクロサージャリーとは手術用顕微鏡を用いて行う手術のことを指します。切断された神経や腱は非常に細いため、顕微鏡で患部を十分拡大したうえで1本1本つなぎ合わせていくのです。手術によって神経や腱をつなぎ合わせた後、さらにそこから以前のような機能を取り戻せるかどうかはリハテビリテーションにかかっています。当院では手の外科を専門とする医師が術後のリハビリを担うとともに、手のリハビリに対して研鑽を積んだ作業療法士が親身に患者さんをサポートし、早期の社会復帰を目指しています。
当院の建物には健康管理センターが入っており、各種健診や人間ドックなどを通して病気の早期発見・早期介入に努めています。健康管理センターでは当院の医師も検査を担当しており、日本消化器内視鏡学会認定の専門医が苦痛の少ない内視鏡検査を実施しています。
内科部門では、呼吸器内科と循環器内科が連携して睡眠時無呼吸症候群の専門的な治療を行っています。睡眠時無呼吸症候群の確定診断には入院を伴う精密検査が欠かせませんが、当院では1泊2日の検査入院にも対応しておりますのでご相談ください。
婦人科では日本産婦人科学会の専門医資格を持つ女性医師が診療にあたっており、体への負担が少ない子宮鏡手術を実施しているほか、“女性アスリート外来”を開設していることも特徴です。女性アスリート外来は月経にまつわる女性アスリートのお悩みなどに対応するものですが、月経不順などにお悩みの学生さんなどにもぜひご活用いただきたいと思います。
私は2022年に副院長としてこちらの病院に来て、2023年4月に院長を拝命いたしました。院長就任からこれまで積極的に取り組んでいることは、いろいろなところで“JCHO佐賀中部病院”の名前が挙がるように、病院についてさまざまなメディアで取り上げていただくことです。
佐賀県庁にはプレスリリースを携えて何度も伺いましたし、当院の救急車受け入れ台数が倍増したのも“まずは当院で診させていただく”という姿勢をアピールした成果だと自負しています。JCHO佐賀中部病院として10周年を迎えた2024年には、病院オリジナルキャラクター“ねつききゅん”も誕生いたしましたので、今後もますます地域に愛される病院へと成長していきたいと考えています。
当院は佐賀中部医療圏の東、佐賀駅から車で10分ほどのアクセスのよい場所にあります。2次救急医療機関として救急車を受け入れる一方、健康管理センターでは各種健診や人間ドックを実施し、予防医療にも注力しています。また併設する介護老人保健施設や訪問看護ステーションと連携することにより、医療から介護への切れ目のないサポートを行える点も強みと言えるでしょう。今後も佐賀大学・久留米大学・福岡大学の協力を得ながら、良質な医療を安定的に提供できるよう医療体制の充実に努めてまいります。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
*診療科や医師、提供する医療の内容等についての情報は全て2024年9月時点のものとなります。