院長インタビュー

ホスピタリティ重視で地域の医療パートナーを目指す西京都病院

ホスピタリティ重視で地域の医療パートナーを目指す西京都病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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京都府京都市西京区にある西京都病院は、半世紀以上にわたって地域の健康を支えてきた病院です。2023年の新築移転を機に急性期医療から回復期リハビリテーション、在宅療養の支援まで包括的な医療を提供できるようになったという同院の地域での役割や今後ついて、理事長・病院長である飯田 洋也(いいだ ひろや)先生に伺いました。

西京都病院は、1958年(昭和33年)に地域のクリニックとして開院しました。当初は入院設備を持たないかかりつけ医でしたが、次第に患者さんが増えて要望が大きくなったことから、1968年(昭和43年)には100床の病床を備えた病院となり、名称も現在の西京都病院に変更しています。

2000年(平成12年)には199床に増床し、近隣に高度急性期医療機関が複数あることから、急性期の治療を終えた回復期の患者さんの受け入れ、慢性期の患者さんの長期療養をメインとし、周辺医療機関と連携して患者さんの在宅復帰を支えていました。

その後建物の老朽化が進んだことから、2023年3月に、現在の国道9号と桂川街道の交差点に面した場所に新病院を建築し移転しました。車でのアクセスが非常に便利になったとともに、近隣の主要な駅である阪急電鉄・桂駅、JR・桂川駅の3か所を結ぶ無料シャトルバスを運行ており、患者さんがご来院しやすいよう体制を整えています。

また、新築移転を機に、急性期医療にも対応できる設備を整えました。病床数に変化はないものの、内訳としては急性期病棟50床、地域包括ケア病棟50床、回復期リハビリテーション病棟49床、障害者病棟50床と、急性期から回復期、慢性期、在宅復帰まで幅広く対応できる病院となっています。

さらに、当院を運営する医療法人京都翔医会では高齢化が進む状況を見据え、当院の近くに訪問看護ステーション、サービス付き高齢者向け住宅、デイサービスなどの関連施設を開設しています。これらの施設では当院のスタッフが医療サポートを行うなどの連携を行っており、医療だけでなく介護や緩和ケアの面でもグループ一丸となって地域の方々を支えられる病院を目指しています。

慢性腎臓病の患者さんにとって、人工透析は命をつなぐための重要な治療です。当院では新築移転を機に、4階に透析センターを設置し、58床の透析専用ベッドを用意しました。透析患者さんの多くは人工腎臓のフィルター(ダイアライザー)を介して行う血液透析ですが、患者さん自身の腹膜を利用して行う腹膜透析など専門性が必要な透析にも対応しています。

また人工透析治療を受けている患者さんは、日常生活面での制限が多く、長期の出張や旅行などが難しい状況にあります。当院では外来での日帰り透析はもちろんのこと、入院透析や旅行中の透析にも対応し、患者さんの負担をできる限り軽減できるよう努めています。

整形外科では新築移転を機に、新たに肩・スポーツ整形の専門外来を設置。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医などの資格をもつ副院長の鈴木 隆(すずき たかし)先生が診療にあたっています。

整形外科の中でもスポーツ整形は特殊な分野です。患者さんは日常生活が不自由なく送れるだけでなく、体により大きな負担のかかるスポーツ独特の動作が可能なまでに回復することを求めて来院します。要求に応えるためには、身体機能だけでなくスポーツのこともよく知る医師でなければなりません。鈴木先生は肩関節分野では日本も非常に多くの症例経験をもつスペシャリストです。また当院の整形外科には鈴木先生以外にも日本整形外科学会スポーツ医の医師が在籍しており、患者さんの期待に応えています。

スポーツ外来の対象は、プロレベルで各種スポーツをたしなむ方とは限りません。運動系の部活動で体を痛めてしまった学生の方、趣味でスポーツをして不調を覚えた方など、お困りであればぜひ当科にご相談ください。

外科では、切り傷や擦り傷などの小外科分野からヘルニアや胆石などの良性疾患、がんなどの悪性疾患まで、幅広く対応しています。疾患の種類にもよりますが、日本内視鏡外科学会が認定した腹腔鏡手術の技術認定医等が在籍しており、手術例の多くは低侵襲の腹腔鏡手術となっています。

中でも肝臓・胆嚢・膵臓の手術については当院の得意分野と言っていいでしょう。病院長である私自身が日本肝胆膵外科学会の高度技能専門医として診療にあたっており、一般的には手術が難しいとされる疾患にも対応が可能です。

また、患者さんが安心して治療に臨めるよう、セカンドオピニオンにも対応しています。治療に関して気になることや不明な点があったら、いつでもお気軽に当院を頼ってください。

当院では在宅で療養していて通院が難しい患者さんに対し、医師や看護師が定期的に自宅にお伺いして診察・治療・看護を行う訪問診療を実施しています。

基本的には2週間に1回の頻度で訪問できるよう取り組んでいますが、容態によっては頻度が増したり、臨時の診察を行ったりすることもあります。

さらには、夜間に容態が急変したといったケースでも、連絡を受ければ緊急に伺っており、当院では今後も在宅療養中の患者さんだけでなくご家族も安心していただけるよう、ソーシャルワーカーなどとも連携してチームによる訪問診療を推進していく予定です。

どんな疾患であっても、早期発見・早期治療が鉄則です。そこで当院ではさまざまな医療情報を発信し、地域住民の方々が異変にすぐ気づけるように取り組んでいます。

今後は定期的に実施している市民公開講座で、医療に関する最新情報や専門知識の講演を行ったり、同時に当院の取り組みや思いをお伝えすることで、少しでも病院に親しみをもってもらい、気軽に来院できる環境が作れるのではと考えています。

なお、当院はYouTubeやインスタグラムでも情報を発信しています。

ぜひご覧ください。

YouTube https://www.youtube.com/watch?v=P0mrvdLicoU

インスタグラム https://www.instagram.com/nishikyoto_hospy/?hl=ja

京都市では、誕生から40年以上が経ち高齢化や人口減少問題が出てきた洛西ニュータウンに対する再興プロジェクトを行っています。その一環として、当院も京都市と協定を組み、当院の分院といった位置づけで洛西ニュータウンにデイケアサービスを併設したクリニックを開設することとなりました。

2024年12月から開院していますので、洛西ニュータウン周辺にお住まいの方が毎日を安心して過ごせるよう、スタッフ一同力を尽くしてまいります。体調に異変を感じられたらお気軽に来院していただければと思っています。

私は京都市西京区で生まれ育ちました。当院からは実家も近く、まさにこの地域が地元です。医師となったからには、地元の皆さんの健康を支えたい、地域の発展に貢献したいという思いが、病院長としての私のモチベーションになっています。

病院にとって、新しい技術や設備による高度な治療は大事ですが、もっと重要なのは患者さんと当院スタッフとの信頼関係だと思っています。これがなければ患者さんは病院を訪れたいとは思わなくなってしまうのではないでしょうか。

当院の理念は、“地域に認知され、信頼される病院”です。この理念の実現のために、2023年の新築移転ではホスピタリティの向上も図りました。具体的には、インターネット予約や電子カルテなどを導入し、待ち時間を減らしてスムーズに受診できるシステム作りを行っています。

新たなシステム導入で臨床現場の業務が軽減されれば、当院のスタッフにとっても僥倖です。心に余裕ができれば、患者さんとのコミュニケーションやスタッフ間の連携もはかどることでしょう。

今後も、人と人とのつながりを大切にすることで、急性期から回復期、在宅療養、介護、看取りまで、包括的に地域の医療を支えていきたいと考えています。そのためにもより一層努力し、進化を続けていきたいと思っています。

実績のある医師をチェック

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