鹿児島県鹿児島市にある鹿児島徳洲会病院は、急性期医療から在宅医療まで対応するケアミックス病院として、高齢化に対応した幅広い地域医療を担っています。
2021年に新病院へと移転し、さらなる躍進を目指す同院の特長について、院長の保坂 征司先生にお話を伺いました。
当院は、全国に77の医療施設をもつ徳州会グループの病院です(2024年時点)。1987年の開院以来、鹿児島市を中心とした地域医療の拡充に努め、2021年に現在の谷山地域へと移転して再スタートを切りました。現在は救急・災害医療、充実したリハビリテーション、へき地・離島医療の三本柱を重点目標に掲げ、徳州会グループの理念でもある“健康と生活を守る病院”を目指しています。
谷山地域は小規模な病院や開業医が多いため、特に救急医療のニーズが非常に高く、当院は現在年間2,000台*を越えるペースで救急車を受け入れています。また、リハビリテーションの充実については、急性期から慢性期まで対応できるケアミックス病院として、病気を治すだけでなく患者さんが日常生活に復帰できるよう支援します。医師、理学療法士、作業療法士や言語聴覚士などが連携し、チーム医療による質の高いリハビリテーションを提供していることも特徴です。
近年は、地域での医療完結を目指して、2024年に一次脳卒中センター(PSC:Primary Stroke Center)の認定を受けたほか、先進的な遠隔手術の外部研修に参加するなど、着実に医療体制の拡充を図っています。
*救急搬送件数実績(2022年)……2,061件
当院は、2024年に循環器内科の医師を3名増員し、高齢者によく見られる循環器疾患の診療に力を入れています。また当院の三本柱の1つであるリハビリテーションを充実させるため、心臓リハビリテーションも積極的に行っています。心臓リハビリテーションとは、狭心症や心筋梗塞の再発予防や術後の早期回復に取り組むことで、心臓病の患者さんが安心して社会復帰できるように支援するものです。当院では安全面にも十分配慮し、心肺運動負荷試験などを取り入れています。
当院の使命の1つは、医療資源が圧倒的に乏しいへき地や離島を支援することです。その一環として、2023年から屋久島に週1回のペースで医師が出張し、現地の患者さんの外科手術などを行っています。
屋久島にある唯一の総合病院は屋久島徳洲会病院です。そのほかにも、全国には徳州会グループの病院しかないへき地や離島が多数あります。グループを挙げて離島医療を支援する徳州会の一員として、当院も全力でへき地や離島での医療活動をサポートしています。
また、鹿児島空港を経由して離島に出張する医師が多いため、これからは当院の立地を生かし、離島医療の基幹病院としての役割を果たしていきたいと考えています。
昨今、高齢者のフレイル(加齢により心身が衰えた状態)が社会問題となっています。高齢の患者さんの中には、介護を必要としないまでも、フレイルによって健康的な生活を送ることが難しい方もいます。
当院にはリハビリテーション専用の病棟がありますので、病気が治ってすぐ退院するのではなく、しっかり体力を回復してから在宅復帰することが可能です。医療という枠組みにとらわれず、患者さんに寄り添った心身両面のサポートを心がけています。そのためにも、これまで以上にホスピタリティの高い病院を目指し、患者さんへの接し方について職員教育を徹底していきたいと思います。
これからも当院は、地域で必要とされている救急医療に全力で取り組みつつ、ケアミックス病院として急性期から慢性期までワンストップの診療に取り組んで参ります。