埼玉県戸田市に位置する戸田中央総合病院は、1962年に開設された60年以上の歴史を持つ病院です。24時間365日の救急医療体制や最新の医療機器導入を通じて地域医療を支え、グループ施設や地域の医療機関との連携を通じて、包括的な医療サービスを展開しています。
同院の取り組みや今後の展望について、院長の佐藤 信也先生にお話を伺いました。
当院は、東京都に隣接する埼玉県戸田市で1962年に開院し、2022年には開院より60周年を迎えました。当初29床だった病床は、現在517床まで拡大しており、半世紀以上にわたりこの地域に寄り添いながら医療を提供してきました。
当院は、開院当初から戸田市(旧・戸田町)より救急病院として指定を受け、民間病院でありながら、24時間体制で地域の救急医療を担ってきました。また、当時は消防署がなかったため、救急隊員の育成および救急車の運用も行っており、以来、大きな発展を遂げてきた戸田市と共に成長し、高度急性期病院として地域医療を支え続けてきました。
患者さん、地域の皆さん、そして職員からも“愛し愛される病院“という理念のもと、地域完結型の医療提供を目指して日々邁進しています。
当院は現在、30以上の診療科を有し、地域に根ざした総合病院として救急医療をはじめ、高度急性期医療を中心に幅広く対応しています。
当院では、年間約7,000件弱*の救急搬送を受け入れており、"断らない救急"を目指し、実践しています。また、緊急手術にも柔軟に対応しており、高度な医療技術や設備を活用した診療を提供しています。
* 2023年度:6,720台
当院の位置する戸田市は、東京都に隣接していることもあり地域の皆さんが東京都の病院へ足を運びやすい環境にあります。そのため、当院の創設者である故・中村 隆俊名誉会長は常々「高度な医療を求めて荒川を渡る(東京へ行く)患者を、ここでくい止めたい」と仰っていました。
その思いを現在も受け継ぎ、当院は“大学病院にできて当院にできないことは何か”を常に考え、それを解決するよう努力してきました。その一例として、心臓手術の実施や、肝胆膵外科の強化などが挙げられます。
肝胆膵領域は、専門の医師も少なく高度な技術を要する領域ですが、当院では東京医科大学病院との連携により胆膵がんなどの高難度手術にも対応が可能となっています。また、手術体制をより一層強化するため、2012年には埼玉県内初となる手術支援ロボット"ダビンチ"導入に踏み切りました。そうした努力もあり、2024年には“肝胆膵外科高度技能専門医修練施設B(日本肝胆膵外科学会認定)”に認定されました。
ダビンチは現在、肝胆膵外科をはじめ外科・消化器外科、泌尿器科で活用しています。当院の泌尿器科は、移植外科(腎センター)も備えており、県内でも数少ない腎移植にも取り組んでいます。
今後も医療機器や体制の充実に取り組みながら、地域の皆さんが安心して来院できる病院を目指すとともに、研修医を含め若い先生が“ここで働きたい”と思える病院づくりを目標としてまいります。
当院は、地域がん診療連携拠点病院としての認定を受けており、がん医療にも力を入れて取り組んでいます。がんの治療はもちろん、緩和ケアやがん相談外来(がん看護外来)なども実施しており、がんゲノム医療の外来も2025年4月より開設予定です。
当院では、20年近く前から“するプロ”という病院独自の改善プロジェクトを実施しています。これは、各部署がそれぞれに改善すべき課題を見つけ、それを解決するための取り組みを考えて、実際に実施することでよりよい病院を目指すものです。
また、職員同士が褒め合う“いいねカード”を導入しており、月間表彰を行いながら職員のモチベーションアップにつなげています。
私たちは、創設者の思いを受け継ぎ、“医療の地域完結”を目指しています。当院は、幅広いニーズに対応できる総合病院として、高度な専門医療から日常的な診療までカバーする体制を整えています。
また、当院の属する“戸田中央メディカルケアグループ”は、医療機関だけでなく介護・福祉施設、訪問看護ステーションなど医療から看護・介護まで一貫して提供できる環境を整えています。当院では、これらのグループ施設と密に連携を取り、治療を終えた後も患者さんを支えられるよう努めています。
“ローマは一日にして成らず”という言葉があるように、病院の改革も1つ1つ少しずつ積み重ねていくことが重要であるとつくづく感じています。これからも投資を惜しまず、地域の皆さまに質の高い医療を提供できるよう努めてまいります。ソフト面もハード面も充実させ、安心して受診いただける病院を維持してまいりますので、今後も戸田中央総合病院をよろしくお願いいたします。
*写真提供:戸田中央総合病院
*医師や提供している医療についての内容および本文中の数字は全て、2025年1月時点のものです。