院長インタビュー

阪神圏域における循環器・血管専門病院の確立を目指す西宮渡辺心臓脳・血管センター

阪神圏域における循環器・血管専門病院の確立を目指す西宮渡辺心臓脳・血管センター
増山 理 先生

西宮渡辺心臓脳・血管センター 病院管理者 兼 院長

増山 理 先生

渡邊 慶明 先生

西宮渡辺心臓脳・血管センター 副管理者/放射線科統括部長

渡邊 慶明 先生

目次
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JR西宮駅から徒歩7分ほどの場所にある西宮渡辺心臓脳・血管センターは、循環器内科・心臓血管外科・脳神経外科の3つの専門領域に特化した医療機関として2008年に設立されました。

“断らない医療”を徹底し、24時間365日体制で緊急カテーテル治療・心臓血管手術に対応する同センターの役割や今後について、病院管理者である増山 理(ますやま とおる)先生・副管理者/放射線科統括部長の渡邊 慶明(わたなべ よしあき)先生に伺いました。

当センターは、1965(昭和40)年開設の西宮渡辺病院(開設当時は渡辺病院)の分院として2006年に設立されました。“西宮渡辺心臓脳・血管センター”という名称どおり、循環器内科・心臓血管外科・脳神経外科(脳外科・脳卒中センター)の3つの専門領域に特化した診療を行い、これまで20年近くにわたってこの地域の急性期医療を担ってまいりました。開院当初40床だった病床数は112床まで増え、常勤医の数も20人を超えるまでになりました。

当センターのある西宮市は、他の地方都市と同様に人口の減少傾向がみられるものの、全世代の人口が減っているわけではありません。人口に占める高齢者の割合は確実に高まりつつあり、地域の医療ニーズにマッチした機能を充実させることが急務になっています。当センターは高齢者に多い心不全患者さんを積極的に受け入れるなど急性期医療に尽力し、慢性期医療、回復期・維持期リハビリテーションなどを含めた包括的な診療を行っています。

当センターには日本循環器学会認定の専門医が在籍しており、24時間体制で救急診療を行っています。循環器内科と心臓血管外科からなる“ハートチーム”では24時間365日体制で緊急カテーテル治療・心臓血管手術を行っており、大動脈弁狭窄症(だいどうみゃくべんきょうさくしょう)に対する新しい治療“TAVI”に対応することも可能です。また2014年には、民間病院としては県内初となるラピッドレスポンスカー(ラピッドカー)を導入し、心肺停止の患者さんが発生した現場に医師を派遣して心肺蘇生や低体温療法などを積極的に行うことによって、社会復帰率の向上につなげています。

ST上昇型心筋梗塞(じょうしょうがたしんきんこうそく)に対する緊急カテーテル治療については、来院から90分以内に経皮的冠動脈形成術(バルーンやステントを用いた治療)を行うことが求められており、これを“door-to-balloon time”といいます。当センターは心臓や血管の病気に特化した診療体制のおかげで、door-to-balloon timeの平均60分未満にまで短縮させることに成功していますがこれに満足することなくさらなる改善を目指して、スタッフ一丸となって取り組んでまいります。

当センターが設立された2008年当時、私は兵庫医科大学病院の循環器内科にいました(※増山 理先生)。医局から当センターへの医師の派遣をやりくりする中で、強く印象に残っているのが各種医療機器の充実ぶりでした。CT、MRI、エコーといった検査機器が一通りそろっているのはもちろんのこと、全てが最新と言っても過言ではないハイスペックな機種ばかりでした。

“絶えず最新の機器を導入する”――この姿勢は現在まで変わることはありません。患者さんの体への負担が少なく、より精度の高い検査を可能にする機種が登場すれば適宜機器の入れ替えを行うなど、今もなお診療体制のアップデートに努めています。

この2024年5月には関西圏の民間病院で初となる photon‐counting型のCTを導入し、ハイブリット手術室もロボットアーム型に更新する予定です。

当センターは24時間検査ができる体制が整っており、特に冠動脈CTは提携病院からの依頼を含め年間1,500件近く*となります。心臓や血管の病気は一刻を争うものが多いですから、高性能な機器で検査を行って適切な診断を導き出すことにより、1人でも多くの患者さんを救いたいと考えています。

* CT検査数

単・造CT/2018年:5,308件、2019年:5,202件、2020年:5,871件、2021年:7,227      、2022年:7,805件

冠動脈CT/2018:1,143(紹介:92)、2019年:1,035(紹介:87)、2020年:944(紹介:47)、2021年:1,265(紹介:59)、2022年:1,468(紹介:51)

高齢の患者さんは1人で複数の病気をお持ちの方が多くいらっしゃいます。たとえば骨折で入院された患者さんが心不全などを発症した場合、当センターであれば迅速かつ適切に対応することが可能です。発症から術後すぐに行う急性期のリハビリ、回復期のリハビリなど、段階を踏んで患者さんをサポートできることも医療法人グループならではの強みと言えるでしょう。

保険診療で行えるリハビリは診断または手術を受けた日から150日間(脳血管疾患は180日間)との規定があるものの、当センター併設の“健康塾(メディカルフィットネス)”では再発予防を目的とした運動に取り組んでいただくことが可能です。健康運動指導士*の資格を持つスタッフが利用者様の健康状態を把握したうえで適切な運動プログラムをご提案いたしますので、ぜひご活用ください。

*健康運動指導士……公益財団法人 健康・体力づくり事業財団の認定者を指す。

急性期医療を担う当センターの役割は、患者さんの命を救うことだけではありません。当センターにおいて治療を受けられた患者さんが1日でも早く元の生活に戻れるように支援することも、私たちの重要な使命です。

当センターでは、それぞれの患者さんに適したサポートを行えるよう、医師、看護師、臨床心理士*などの多職種によるカンファレンスを行いつつ、オーダーメイドの治療計画を立案しています。主治医の独断で治療を進めるのではなく、各分野の専門家の意見を広く取り入れることで、より質の高い医療をご提供できるものと思います。患者さんの身体機能の回復をサポートするだけでなく、メンタル面のケアを担うことができるのも、当院ならではのことでしょう。

*臨床心理士……日本臨床心理士資格認定協会の認定者を指す。

当センターの母体である医療法人グループには、病院、クリニック、通所リハビリ、介護老人保健施設などがあり、医療から介護まで一貫してサポートできる仕組みがあります。本院(西宮渡辺病院)に歯科口腔外科(しかこうくうげか)が新設されたこともあり、今後は当センターでも入院患者さんの口腔ケアに力を入れたいと考えています。

当センターは“断らない医療”を掲げて救急車を積極的に受け入れておりますが、応需率(救急車を受け入れた割合)約9割を維持することができているのは、ひとえにスタッフの力によるものだと思います。当センターのスタッフは総じてレベルが高いと感じますし、医師をサポートする特定行為看護師や専門技師が複数活躍しており、また全国トップクラスの開講区分を有した特定行為の研修施設に認定されるなど育成にも積極的に取り組んでいる点も強みとなっています。

心臓や血管の病気は“できるだけ早く受診する”ことが大事です。当センターは質の高い医療をご提供する一方で敷居は低く、検査の枠が空いていれば受診したその日のうちにCTやエコー検査を行うことが可能です。紹介状がなくても受診していただくことができますので、何かご心配なことがありましたら遠慮なくご相談いただければと思います。

*病床数や医師数、提供する医療の内容等についての情報は全て2024年4月時点のものです。

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  • 西宮渡辺心臓脳・血管センター 病院管理者 兼 院長

    増山 理 先生

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