院長インタビュー

循環器・整形・高齢者医療の3本柱で地域を支える東京蒲田病院

循環器・整形・高齢者医療の3本柱で地域を支える東京蒲田病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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蒲田駅西口からほど近い場所にある東京蒲田病院は、循環器・整形外科・高齢者医療の3本柱を軸に、地域の特色と課題に正面から向き合っています。独居高齢者や認知症の患者さんなど、さまざまな背景のある患者さんも積極的に引き受ける姿勢は、まさに地域を支える存在です。

救急から退院後の生活までを見据えた“地域完結型”の医療を目指す同院の取り組みについて、院長の小山 豊(こやま ゆたか)先生にお話を伺いました。

外観
病院外観(東京蒲田病院ご提供)

当院の前身となる病院は、今から100年前の1925(大正14)年に開院しました。その後、時を経て2010年に法人化、2012年には西蒲田へ移転し、現在の「東京蒲田病院」の名称となりました。移転した年には、2次救急病院として指定も受けており、救急医療にも積極的に取り組んできました。

蒲田で診療を行ってきた長い歴史のなかで、当院は地域に求められる医療を見極めながら体制を整えてきました。特にこの2年間で大きな転換点を迎え、現在は循環器、整形外科、高齢者医療の3本柱を病院の大きな特徴として、地域に根差した医療提供を実践しています。

循環器領域は、当院の理事長である井上 直人(いのうえ なおと)先生が心血管カテーテル治療を専門とされており、また私自身もカテーテル治療を専門としていることから、当院にとって大きな柱の1つとなっています。

循環器内科には、さまざまな資格を持った循環器を専門とする医師が8名(内非常勤医師2名)在籍*しており、東京都CCUネットワーク**にも参加しています。また、循環器一般診療に加えて救急対応にも力を入れており、大学病院からの紹介患者さんを受け入れることもあります。

*医師数は2025年9月時点の情報です。

**東京都CCUネットワーク:急性心筋梗塞をはじめとする急性心血管疾患に対し、迅速な救急搬送および専門施設への患者収容を目的に東京都によって組織された機構。

整形外科は、高齢者の生活を支えるうえで欠かせない領域です。当院でも、各専門の医師が着任したことで、整形外科の診療内容が大きく厚みを増しています。以前から、膝関節や股関節外傷は専門とし、介護施設や在宅医からの頸部(けいぶ)骨折・関節疾患などの患者さん紹介を積極的に受け入れる基盤を作りました。さらに近年は、脊椎(せきつい)を専門とする医師が着任したことから、圧迫骨折や腰痛の診療にも幅広く対応できるようになっています。手術も積極的に行っており、救急にも対応しているので、ますます地域医療に貢献できる体制となっています。

地域性を踏まえたとき、最も重要なのが高齢者医療だと考えています。当院では、高齢者の救急受け入れも可能な限り断らない方針を掲げています。現在、救急応需率は認知症患者さんを含めて90%以上と高い水準です。患者さんの入院後は、在宅医などと密に連携を取り合い、患者さんの状態や退院後の見通しを相談しながら計画を立てています。

また、昨年(2024年)には、老年医学を専門とする認知症専門医(日本認知症学会認定)が脳神経内科・老年科に着任したことで、認知症患者さんへの対応体制も強化されました。複数の病気を抱えることも多い高齢患者さん一人ひとりに合わせた診療を心がけています。

大田区は在宅医が多く、地域に根ざした医療が発達しているエリアです。当院でも、在宅医と密接なコミュニケーションを取りながら、土日を含め可能な限り受け入れの相談にのれるよう努めています。

一方で、独居や身寄りのない高齢者、認知症の患者さんが多く、生活困難な状況にある方々も少なくありません。そうしたことから、退院先の確保が難しいケースも多くあり、ソーシャルワーカーや行政と協力しながら、退院後も安心して暮らせる環境を整えることが欠かせません。

当院は、2025年4月より徳洲会グループに入ったので、こうした地域の現状を支えるべく、徳洲会グループの協力を得ながら、介護や福祉領域を含めた高齢者支援をますます強化していく方針です。当院の強みを生かしながら、他の病院では担えないような部分を積極的に担っていけるよう、行政や地域包括支援センターなどとも連携しながら仕組みづくりを進めていまいります。

地域の皆さんには「東京蒲田病院ならばしっかり診てもらえて、退院するときもきちんと面倒をみてくれる」と、そんなふうに思ってもらえる病院でありたいと考えています。

“地域医療”という言葉がよく使われますが、これからの医療には単に治療をして終わりではなく、“患者さんが安心して地域に戻れること”まで考える姿勢が大切になっていくのではないでしょうか。これは、医療だけでは完結できません。介護や福祉など多職種での連携や、行政を巻き込んで地域全体で支えていく仕組みが必要です。

当院もその一翼を担えるよう、専門性の高い医療を提供しながら、その先にいる患者さんの暮らしまで見据え、地域全体で支える温かい医療の提供を目指してまいります。

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