院長インタビュー

救急医療と地域医療をつなぐ中核として ―浜松医療センターが担う高度急性期医療と地域医療との連携―

救急医療と地域医療をつなぐ中核として ―浜松医療センターが担う高度急性期医療と地域医療との連携―
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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浜松医療センターは、静岡県西部地域における基幹病院として高度急性期医療を担い、24時間365日、救急患者の受け入れ体制を維持しています。現在は、救急医療、がん診療、小児・周産期医療を三本柱として機能強化を進めるとともに、地域医療機関との連携を基盤とした医療提供体制の最適化に取り組んでいます。

同院だからこそ果たせる役割と、これからの地域医療での役割について、院長の海野(うんの) 直樹(なおき)先生に伺いました。

当院は救命救急センターとして「原則応需」の方針を掲げ、年間約7,000台の救急搬送を受け入れています。高度急性期医療とは、生命の危機にある重症の患者さんに対し、専門性・緊急性の高い医療を集中的に提供する機能であり、当院はその中核を担っています。

一方で、地域完結型医療の実現には、紹介・逆紹介(かかりつけ医から病院へ患者さんを紹介し、病院での治療が終わった後はかかりつけ医へお戻しすること)の適切な運用が不可欠です。当院では来院される患者さんの約8割が紹介の患者さんであり、急性期治療後は速やかに地域のかかりつけ医へ逆紹介する体制を徹底しています。逆紹介率は120%に達しており、初診時に未紹介の患者さんに対しても責任を持って地域医療機関へつなぐ運用を行っています。

この循環により、医療資源の適正配分と患者さんの継続的ケアの両立を図り、地域全体で患者さんを支える医療体制を実現しています。

当院は36診療科を有し、多疾患併存が常態であるご高齢の患者さんに対しても、臓器横断的な診療(1つの臓器に限らず、体全体を見ながら行う診療)が可能な体制を整えています。

特にがん診療においては、外科治療に加え、腫瘍内科による薬物療法、放射線治療を統合した集学的治療を推進しています。2024年の新病院開院に際しては新しい放射線治療装置を導入し、手術支援ロボット da Vinci Xi による低侵襲(体への負担が少ない)手術も積極的に展開しています。

さらに、がんゲノム医療にも注力し、個別化医療の実装を進めています。これらを通じて、地域におけるがん診療の質の向上と、どこに住んでいても同じようながん医療を受けられる体制づくりに貢献しています。

当院の特徴は、単なる機能分担にとどまらず、それを確実に機能させる「仕組み」の構築と運用にあります。

逆紹介に際しては必ず診療情報提供書を作成し、診療経過を可視化・共有することで、地域医療機関との信頼関係を築いています。また、緊急紹介においてはかかりつけ医と当院医師が直接情報交換を行う“ドクター to ドクター”体制を徹底し、迅速かつ的確な受け入れを実現しています。

加えて、2024年の新病院開院に伴い進めてきた計画的な人材確保により、医師数は過去数年で大幅に増加し、高度急性期医療を支える体制の強化を図ってきました。

今後の重要な取り組みとして、浜松市と浜松医科大学が連携して設立した地域医療連携推進法人**Hamamatsu Academic Medical Alliance(HAMA)**があります。

本取り組みでは、浜松医療センターと浜松医科大学医学部附属病院が連携し、診療・教育・研究を一体的に推進しています。人材育成や配置の最適化に加え、将来的には電子カルテの統合や共同治験の実施なども視野に入れ、地域全体として高度医療を提供できる体制の構築を目指しています。

一方で、医療人材不足や働き方改革の影響は依然として大きく、急性期医療の持続可能性確保は喫緊の課題です。これらは単一施設では解決困難であり、地域連携の枠組みの中で取り組むべき課題と認識しています。

当院は特定領域に特化した医療機関ではなく、救急医療を含め多様な背景を有する患者さんを受け入れる急性期医療を担い、その後を地域へつなぐ役割を担っています。

かかりつけ医と急性期病院がそれぞれの機能を発揮することで、患者さんは切れ目のない医療を受けることが可能となります。今後も当院は、地域医療連携の中核として、質の高い急性期医療を提供し続けてまいります。

※本内容は2025年12月時点の情報に基づきます。

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