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サイトメガロウイルス網膜炎

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

サイトメガロウイルスは乳幼児に母親などから感染し、私たちの体のなかに常在しているウイルスです。健康な人にも発症する肝炎やサイトメガロ角膜内皮炎などの例外はありますが、ウイルスの病勢は弱く通常は健康な人では発病しないといわれています。

サイトメガロウイルス網膜炎はエイズ白血病、臓器移植後などの抵抗力の落ちた(免疫不全といいます)方に発症します。発症すると、網膜をカメラでたとえればフィルムに当たる組織が壊死してしまいます。適切な治療を行わないと壊死した網膜の範囲は広がってしまい、失明につながる病気です。

原因

サイトメガロウイルスはヘルペスウイルス科に属するDNAウイルスが網膜に感染することが原因です。日本人では80%~90%が成人になるまでにサイトメガロウイルスに感染するといわれています。

感染経路は胎盤を経て感染する先天性感染もありますが、主には母乳や飛沫・接触感染などで、私たちは気づかないうちに感染しています(生まれた後に感染するのでこれを後天感染といいます)。先天感染では赤ちゃんの低体重、小頭症(頭の大きさが小さくなります)、肝炎難聴発達障害、網膜炎が起こるといわれています。一方、後天感染の場合はエイズ白血病、臓器移植後の免疫抑制剤を内服している方など、免疫力が極端に下がる状態で体に潜んでいたサイトメガロウイルスが活性化され感染症を起こします。

1980年頃までは珍しい病気でしたが、1981年にエイズが出現してから、この病気はまれな病気ではなくなっています。

症状

この病気の症状は初期には無症状のことも多く、病状の悪化とともに霞みがでてきます。さらに進行すると視力が下がる、眼の前に小さなゴミのようなものが見える症状(飛蚊症といいます)、見える範囲が狭くなるなどの症状がでてきます。

はじめ、症状は片眼で出ることがほとんどですが、進行すると両眼に症状が出てきます。病気が進行すると網膜全体が病気に冒されて失明に至ります。また、病気に冒された網膜が痛んだ結果、網膜に孔が開いて網膜剥離になることもあります。その場合は突然視界の一部がかけて見えにくくなるなどの症状がでてきます。

検査・診断

全身の免疫状態が悪い方の眼底検査で、特徴的な黄白色の網膜滲出斑と呼ばれる病変と網膜出血を伴う網膜血管の炎症をみたらこの病気と診断します。

全身状態と眼底の所見からこの病気はほぼ診断できます。しかし、より確実に診断するためには眼の中にある水分(前房水)を小さな注射器で採取して、その水に含まれるサイトメガロウイルスの遺伝子を直接検出する方法(ポリメラーゼ連鎖反応といいます)もあります。この方法で、ほかのウイルスによる網膜感染症と区別することもできます。

治療

サイトメガロ網膜炎は何も治療せず放置すると失明してしまうため、抗ウイルス薬を使った治療を行います。日本では一般的に一部の抗ウイルス薬を内服します。それ以外には、内服薬とは別の抗ウイルス剤を点滴する方法もあります。

薬の副作用として貧血や腎機能低下などがありますので、定期的な採血を行って副作用をチェックすることも必要です。薬による全身の副作用が強く全身投与ができない場合は一部の抗ウイルス剤を目の中に直接注射することもあります(硝子体注射)。

また、いったん病気が治っても免疫力が低下したら再発することもあるため、定期的な眼底検査が必要になります。

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