ヘルパンギーナとは、乳幼児を中心に夏季に流行するウイルス性の感染症で、エンテロウイルス属のウイルス、特にコクサッキーウイルスA群の感染が原因で発症するとされています。患者は5歳以下が全体の9割以上であり、なかでも1歳に発症することがもっとも多く、次いで2歳、3歳、4歳の順に患者数は減少していくといわれています。
症状には、突然の発熱や喉の痛み、口や喉の粘膜の赤み、口の中の発疹などが挙げられますが、なかでも発疹が特徴的です。そこで本記事ではヘルパンギーナの発疹をテーマに、発疹の特徴や似ている病気、対処法について詳しく解説します。
ヘルパンギーナの症状の1つに口の中に生じる水疱性の発疹がありますが、これは通常風邪などでは現れることがない特徴的なものです。
まず、喉の手前までの部分に直径1~2mm、大きいものでは5mm程度の紅暈(充血して赤くなった状態)に囲まれた水ぶくれのようなものが現れます。その後、水ぶくれは破れて浅い潰瘍(組織の欠損)になり、その際に痛みを伴うこともあります。
なお、発熱がおさまると、やや遅れて発疹も消えるとされています。しかし、発疹による痛みから食べることや、乳児の場合は哺乳を嫌がることがあり、これによって脱水症状に陥る可能性があるため注意が必要です。
ヘルパンギーナと同様に口の中に発疹が生じる病気があります。それぞれの病気の特徴とヘルパンギーナとの違いは以下のとおりです。
コクサッキーウイルスA6、A16、エンテロウイルス71などに感染することで、口の中、手のひらや足の裏、足の甲などに2~3mmの水ぶくれができる感染性の病気です。ヘルパンギーナと同様に患者の9割程度が5歳以下といわれており、原因となるウイルスや症状、好発年齢ともにヘルパンギーナと類似する点があります。
ただし、手足口病では口の中以外にも発疹が生じるという特徴があり、さらに発熱するのは全体の3分の1程度で、発熱してもあまり高熱にはならないとされています。
単純ヘルペスウイルス1型によって引き起こされる歯肉口内炎です。主に6歳未満の子どもに発症するとされていますが、小児期のどの年代でも発生することがあります。
発熱がみられることもありますが、主に歯肉が赤く腫れあがる点がヘルパンギーナとは大きく異なります。さらに、水ぶくれは1~2日以内につぶれ、季節に関係なく発症する点なども異なります。
一般的には口内炎ともいわれます。痛みはありますが発熱はなく、季節や年齢に関係なく発生する点がヘルパンギーナとの違いです。また、発疹が生じることはなく痛みが4~7日程度続くなど、ヘルパンギーナに比べて痛みの持続期間がやや長い点なども異なります。
口の中に生じる発疹や発熱など、ヘルパンギーナが疑われる症状が現れた場合は、塩分を含んだ水分をしっかり取らせて、安静にすることで数日以内で自然に治癒することが一般的です。
なお、発疹による痛みで食事が取りづらいことがあるため、酸味や塩味などの刺激が強い食品を避け、プリンやゼリーなどの口通りのよいものを食べさせるようにするとよいでしょう。また、飲食ができなくなって脱水が生じることを防ぐために水分を細かく取ることも大切です。
ヘルパンギーナには特効薬はなく、通常は自然に治癒するとされています。ただし、個々の症状に対して対症療法を行うことがあります。口の中の痛み、頭痛や発熱に対してはアセトアミノフェン(解熱鎮痛薬)を用いたり、脱水に対しては点滴などの適切な治療を行ったりすることもあります。
また、まれに無菌性髄膜炎や急性心筋炎といった重篤な病気を合併することもあり、この場合は入院治療が必要になることがあります。そのため、症状が悪化した場合や脱水症状(おしっこが少ない、泣いても涙が出ない、口の中が乾燥しているなど)がある場合は、早めに小児科などの受診を検討しましょう。
口の中に生じる発疹は、ヘルパンギーナ以外にもさまざまな病気で生じる可能性があります。そのため、発疹が現れた場合はその状態やできた場所、発熱などの症状がないかなどをよく観察しましょう。症状が悪化したり、不機嫌や嘔吐、哺乳不良が続いたりするようであれば、脱水が進行していることや、上記のような重症な病気の可能性もあるので、小児科などの受診を検討するとよいでしょう。
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