じょうだいじょうみゃくしょうこうぐん

上大静脈症候群

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

上大静脈症候群とは、上大静脈の閉塞や外部からの圧迫によって血液の流れが滞り、顔面・頭部・上肢などにうっ血や浮腫を起こしている状態を指します。上大静脈症候群では、頭痛・視力障害・眼球突出・意識障害などさまざまな症状が生じる可能性があります。

肺がんなどさまざまな病気が上大静脈症候群の原因になります。特にがんに関連した上大静脈症候群では、急速な病状進行に伴い患者さんのQOL(生活の質)を著しく障害することがあります。

原因となった疾患を治療することはもちろん、症状緩和のためにステント留置などの治療方法が選択される場合もあります。

原因

頭や脳・上半身に流れた血液は、最終的に上大静脈と呼ばれる血管へと流入して心臓へと戻ってきます。内部が閉塞したり、外部から圧迫されたりすると、上大静脈内の血液の流れが阻害されることになります。すると頭や脳・上半身に血液が滞り、脳の浮腫や上半身のむくみなどを引き起こします。上大静脈症候群はこのようにして発症します。

肺がんは、上大静脈を閉塞もしくは圧迫する原因のひとつです。その他、リンパ腫や胸腺腫、胸腺がん胚細胞腫瘍悪性胸膜中皮腫、転移性腫瘍などの腫瘍性病変も原因となります。これらの腫瘍が上大静脈内に侵入することもありますし、リンパ節に転移した結果、上大静脈を圧迫することもあります。

腫瘍性病変以外にも、胸部大動脈瘤からの圧迫、カテーテルやペースメーカーなどの血管内デバイスによる塞栓症なども上大静脈症候群の原因となります。

症状

上大静脈症候群の症状は、上大静脈に流入するべき血液の流れが阻害されることに関連したものが出現します。上半身の血液が阻害されると、頭頸部や上半身がむくみます。脳の浮腫が起きると、

などの症状が出現します。その他にも難聴や耳鳴りなどの症状も生じます。また、肺や心臓の周囲に水がたまりやすくなるので、呼吸循環動態に悪影響が生じます。

症状は、上大静脈の狭窄・圧迫の進行スピードによっても異なってきます。上大静脈症候群が発症すると、上大静脈以外の経路を使って心臓に血液を戻そうという反応が生じます。

その結果、上大静脈の代わりをする側副血行路と呼ばれる血液の流れが形成されるようになります。これは心臓へと血液を戻すバイパスの役割を担い、側副血行路が発達する時間的な余裕があれば上大静脈症候群の症状は現れにくくなります。

しかし、急速に上大静脈の狭窄・閉塞が進行するような状況では、側副血行路が形成されるだけの十分な時間がないため、症状が強く現れます。特に肺がんをはじめとした悪性腫瘍では、急速な呼吸循環の増悪をみることもあり、緊急対応が必要になることが多いです。

検査・診断

上大静脈症候群の診断では、画像検査が中心となります。胸部単純レントゲン写真では、上大静脈に相当する部位が拡大していることが確認されます。より詳細に病状を評価するためには造影CTが行われます。

造影剤を使用すると血管内の血液の流れがより詳細に描出されるため、上大静脈内の血液の流れが乏しくなっていることが確認できます。さらにCT検査では、上大静脈症候群を引き起こしている基礎疾患を推定することも可能です。

肺がんであれば肺に腫瘍性病変を認めますし、胸部大動脈瘤であれば大動脈に瘤を認めます。その他、造影CT検査では側副血行路の発達の程度を評価することも可能です。

治療

上大静脈症候群では、原因となった疾患の治療に加えて、上大静脈狭窄部位への局所的アプローチが検討されます。肺がんをはじめとした悪性腫瘍が原因となっている場合には、病気の進行度や病気の種類によって、手術療法や化学療法、放射線療法が適宜選択されます。リンパ腫や胸腺種などが原因となっている場合、ステロイドを投与することで腫瘍の縮小が期待できます。

上大静脈症候群の症状が急速に進行している場合には、高度の脳浮腫(意識障害)や咽頭浮腫(呼吸困難)、循環障害(失神・血圧低下)を呈することがあります。こうした症状を伴っている場合には、基礎疾患の治療よりも先に呼吸循環動態の安定が優先されるため、狭窄部位に対してステント留置が行われます。

また、原因となった疾患の進行具合によっては治療の効果が乏しく、上大静脈狭窄の進行も抑制できないこともあります。このような場合にもステントを留置し、対症療法的な治療を行うことがあります。

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