僧帽弁狭窄症とは、僧帽弁閉鎖不全症と同じく、心臓の僧帽弁という部分の病気です。病気の初期の段階では自覚症状がないことが多いですが、進行すれば呼吸困難などの症状を起こすようになります。どのような症状を起こす病気なのか、また病気を早く自覚するためには何に気を付ければ良いのかについて、渡辺弘之先生にお話を聞きました。
僧帽弁狭窄症とは、僧帽弁が狭くなることによって左心房から左心室へ血液が通りにくくなってしまう病気です。ほとんどの場合、リウマチ熱の後遺症として出現します。近年、リウマチ熱は減少していますので、僧帽弁狭窄症も減少してきました。
軽症のうちは症状がありません。しかし、病気の進行に伴って「労作時呼吸困難」が現れます。「労作時呼吸困難」は安静時には症状を感じませんが、階段を上がる・坂道を登るなどの日常生活の動作や軽い運動で、呼吸がしにくく息切れがするといった状況です。さらに進行すると、夜間に横になると苦しく、起き上がると楽になる「起坐呼吸」という症状が時々現れるようになります。さらには、ピンク色のバブル状の痰が出るようになってきます。
僧帽弁狭窄症は、他の弁膜症と比較して息切れなどの症状が出やすいのが特徴です。今まで普通にできていた行為がしにくくなった時には、僧帽弁狭窄症の可能性があります。さらに、心房細動という不整脈を起こすため、動悸を伴うことがあります。軽い動作でも息切れが必ず出るようになれば、病気はかなり進んだ状態になってしまっています。
僧帽弁狭窄症に限らず弁膜症の症状に早く気づくためには、活動性を高く保つ、つまり日常生活の中で適度に体を動かすことが大切です。活動性が低いと、症状が出にくく(異変を自覚しにくく)発見が遅れてしまいます。
特に男性の場合は、家事などをせずに活動性が高くないことが多いため、注意が必要です。一方、女性の場合は、外出や家事などにより一定の活動性を確保できるケースが多く、症状に気付きやすい傾向にあります。
また、活動性を高く保つことは、動脈硬化の予防にもつながります。ウォーキングなどの、激しすぎず継続できる運動を行いましょう。
その他に、検診を受けることも大切です。弁膜症は聴診で発見できるため、診察の際には聴診をしてもらうようにしましょう。
また、ある程度の年齢になったら、心エコー検査を含む人間ドックを受けることをお勧めします。弁膜症をCTやMRIで発見することは難しいため、心エコー検査を受けることが大切です。
僧帽弁狭窄症は遺伝しないと言われています。
東京ベイ・浦安市川医療センター 副センター長 循環器内科/ハートセンター長
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