東京ベイ・浦安市川医療センター センター長、ハートセンター長
渡辺 弘之 先生
順天堂大学 心臓血管外科 主任教授、虎の門病院 循環器センター外科 特任部長
田端 実 先生
東京ベイ・浦安市川医療センター 循環器内科 部長
小船井 光太郎 先生
心臓の疾患のひとつに、僧帽弁閉鎖不全症というものがあります。日常生活に支障をきたすだけではなく、重症化すると命にかかわる重大な疾患です。今回の記事では、僧帽弁閉鎖不全症はどのような症状が出る病気なのか、どのような場合に医療機関に受診する必要があるのかについて説明します。
僧帽弁閉鎖不全症とは、以下の図のように、心臓の左心室の入り口にある僧帽弁がうまく閉まらなくなってしまう病気です。これが原因となり、左心室から左心房に血液が逆流してしまいます。
僧帽弁閉鎖不全症は、軽症の場合は特に症状を感じることはありません。しかし進行すると、外出したときに階段や坂道の昇り降りで息切れを感じるようになります。さらに進行すると、平地を歩くだけでも息切れを感じるようになり、やがて安静にしていても息切れをするようになります。これは病気がかなり進んでいることを意味します。
そして次の段階では、夜、寝た後に急に息切れが起こり(夜間発作性呼吸困難)、さらには横になっただけで息苦しくなり、常に体を起こした姿勢でいるしかなくなります(「起座呼吸」と呼ばれる状態)。最後には激しく咳き込み、ピンク色の痰がでるようになります。この段階では病状は非常に進行しているので、一刻の猶予もありません。ただちに医療機関を受診しましょう。
自覚症状なしでも、健康診断で発見されることがよくあります。それ以外で受診のきっかけになるのは、軽い動作をした時の息切れ症状です。また、僧帽弁閉鎖不全症とともに現れる不整脈で、動悸(どうき)を感じて受診する人もいます。
僧帽弁閉鎖不全症の重症度は、「NYHA分類」と呼ばれる分類法に基づき、自覚症状によって四段階で分類されます。
NYHA(New York Heart Association)分類
Ⅰ度:心疾患はあるが身体活動に制限はない。
日常的な身体活動では著しい疲労、動悸、呼吸困難あるいは狭心痛(締め付けられる胸の痛み)が生じない。Ⅱ度:軽度の身体活動の制限がある。安静時には無症状。
日常的な身体活動で疲労、動悸、呼吸困難あるいは狭心痛が生じる。Ⅲ度:高度な身体活動の制限がある。安静時には無症状。
日常的な身体活動以下の労作(運動)で疲労、動悸、呼吸困難あるいは狭心痛が生じる。Ⅳ度:心疾患のためいかなる身体活動も制限される。
安静にしていても、心不全症状や狭心痛がある。わずかな労作でこれらの症状は増悪(悪化)する。
この分類とは別に、エコー検査などの画像診断による分類があります。血液の逆流量、逆流率や有効逆流弁口面積など、数字で表せる(定量的な)指標で分類されます。
僧帽弁閉鎖不全症の病気としての重症度は、一つの指標で決まるものではありません。症状の重さや逆流量などの逆流重症度評価のほか、左心室のサイズや機能、右心室の圧、不整脈の有無などを検討し、総合的に判断されます。少しでも疑ったら重症化する前に、医師の適切な診断を受け、治療を行いましょう。
東京ベイ・浦安市川医療センター センター長、ハートセンター長
順天堂大学 心臓血管外科 主任教授、虎の門病院 循環器センター外科 特任部長
東京ベイ・浦安市川医療センター 循環器内科 主任部長、ハートセンター長
渡辺 弘之 先生の所属医療機関
順天堂大学 心臓血管外科 主任教授、虎の門病院 循環器センター外科 特任部長
日本外科学会 外科専門医日本胸部外科学会 評議員・心臓血管外科専門医・心臓血管外科修練指導者日本心臓血管外科学会 評議員・心臓血管外科専門医・心臓血管外科修練指導者日本循環器学会 会員日本内視鏡外科学会 学術委員会 委員日本低侵襲心臓手術学会 代議員・幹事日本経カテーテル心臓弁治療学会 理事日本心臓血管内視鏡学会 理事American Association for Thoracic Surgery MemberEuropean Association for Cardio-Thoracic Surgery MemberThe Asian Society for Cardiovascular & Thoracic Surgery Member
高い技術力とチームで難手術に挑む
診療科や職種を跨いで構成されるハートチームを率いて、内視鏡下MICSやTAVI、MitraClipなど体に負担の少ない最新治療方法を追求しながら、オーソドックスな手術から複雑な難手術までを手掛け、個々の患者さんにとって最善な方法で治療に尽力している。心臓手術の質向上のためには、医療現場の労働環境改善や効率化が欠かせないと考え、革新的なチーム作りにも取り組んでいる。既存のやり方にとらわれず、新しい術式やチーム体制を生み出しながら、水準の高い心臓手術の提供を目指し続ける。
田端 実 先生の所属医療機関
東京ベイ・浦安市川医療センター 循環器内科 主任部長、ハートセンター長
日本循環器学会 循環器専門医日本内科学会 認定医
アメリカで磨いた技術を活かし、ハートチームで挑む心臓治療
心臓の病気に対して、カテーテル治療を中心に実施。心に寄り添う丁寧なコミュニケーションのもと、患者さん一人ひとりに適切な治療方法を提案している。また、海外留学で培った知識と経験、そしてそれにともなうカテーテル治療の技術で、患者さんが1日でも早く普段の生活に戻れるように力を尽くしている。
小船井 光太郎 先生の所属医療機関
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拡張型心筋症について
生後2ヶ月間近の娘が僧帽弁逆流と診断され現在薬で治療中です。 重症度は中度で、体重が問題なく増えているので今は薬で経過観察となっております。 そこで問題なのが、心臓の動きが通常と比べて動きが悪いと言われています。 拡張型心筋症の可能性も0ではないので頭の片隅に入れておいて欲しいと言われました。 本人がしんどそうではないので心臓が元気になる薬は使わずに利尿剤と血管拡張剤を処方されています。 拡張型心筋症だった場合、どういう症状がでてくるのでしょうか。 いろいろ調べましたが、とても怖い病気だと言うことは分かりました。 ミルクも健常者の子以上に飲みます。 よく笑うし、すごく大きな声で泣きます。 とても心臓が悪い子には見えません。 もし拡張型心筋症だった場合、急に症状がでるものでしょうか? それとも徐々に悪くなるのでしょうか。
脈が飛んでます
今日のお昼頃から 脈がおかしいです。 脈拍は1分間に90回でした。 ドク、ドク、ドクと脈は正常なはずなのですが、 脈が何回も何回も飛びます、、 吐き気などはありませんが 不快感があります、横になって休んでも脈が大きいせいか落ち着きません。。 深呼吸してもあまり意味がないです ホルター心電図をしたときに限って 脈が正常で、異常なしと言われます。 昨晩お酒を飲んでしまいました。350mlを4.5本ほど。 お酒は関係してますかね?、、、 怖くてなかなか安心して休めません、、 何か家でできる改善方法ないでしょうか?
昨日の昼頃から続く胸の違和感
昨日のお昼頃から胸の真ん中あたりが軽く締め付けられる?ような感じや痛み、息の苦しさがあります。 明日病院に行くべきか、もう少し様子見しても良いかどうしたら良いのでしょうか
手術に関して
双子の兄が僧帽弁閉鎖不全症で、先月胸痛発作、呼吸困難を起こし入院しています。 4月に引っ越してきて病院が変わってしまい、兄自身まだ不安はあるみたいです。 それで、主治医にできるだけ早めの手術を進められました。前の病院でも言われてはいたんですが、兄が嫌だ、と言っていた為手術しませんでした。しかし、今回に関しては心不全になっていて、上の兄も双子の兄を手術するように説得してるんですが、怖いからやだとの一点張り。 私は医療の知識はないので何も言えないですが、兄には生きて欲しいです。 早くしないと心臓が手術に耐えられなくなってしまうとか言ってたんですが、その場合ってどうなるんですか? 私が兄にできることって何かあるのでしょうか? 長文すみません。
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