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僧帽弁閉鎖不全症の入院から退院後の生活まで

僧帽弁閉鎖不全症の入院から退院後の生活まで
渡邊 剛 先生

ニューハート・ワタナベ国際病院 総長

渡邊 剛 先生

目次
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僧帽弁閉鎖不全症の手術後は、十分な期間を安静にして過ごすことが大切です。2か月ほどで家事や力仕事ができるようになりますが、それまでは周囲の方のサポートも必要です。

 今回は、僧帽弁閉鎖不全症の入院から退院後の生活で注意すべきことについて、ニューハート・ワタナベ国際病院総長兼理事長の渡邊 剛先生にお伺いしました。

僧帽弁閉鎖不全症の手術の前には、検査が必要です。当院では、遠方からお越しの患者さんもいらっしゃるので、できるだけ初診時に必要な検査を全て済ませるようにしています。記事1『心臓の病気のひとつ、僧帽弁閉鎖不全症とは?』でもお話ししたように、超音波検査や採血などを行います。

手術が決まったら入院が必要です。多くの場合、手術日の2日ほど前に入院していただき、カテーテル検査を行います。その後、1日休んで、翌日に手術を行うことが多いです。患者さんのご希望に合わせて、手術の前日や当日に入院していただくこともあります。

手術を受けるに当たって、患者さんが前もって準備しておくことは特にありません。ただし、虫歯があることが分かっている場合は、虫歯の治療を終えておいたほうがよいでしょう。虫歯がある状態で手術すると、せっかく治療した心臓の弁に、細菌感染が起こる可能性があるからです。虫歯を全て治療できていなくても構いませんが、クリーンアップという歯のクリーニングをして、口の中に虫歯菌がいない状態にしておいてください。

僧帽弁閉鎖不全症の手術後の通院頻度は、当院では、患者さんのご自宅の場所によって調整します。近隣にお住まいの方は、術後2週間、1か月、3か月、6か月、1年と、定期的に通院していただいています。遠方にお住まいの方は、お近くの病院に通院することをおすすめし、当院には1年に1回など、来られるときに来ていただくようにしています。

僧帽弁閉鎖不全症の手術のあとは、心臓の負担が増えるため、十分に体を休めることが大切です。「傷が小さい手術を行ったはずなのに、なぜ回復に時間がかかってしまうのか」と、疑問に思われるかもしれません。実は、僧帽弁閉鎖不全症は、ほかの心臓弁膜症などと違って、術後は安静にする期間を長くとらなければならない病気なのです。

心臓は、全身に血液を送り出すポンプのような役割を担っています。僧帽弁閉鎖不全症を発症すると、血液が逆流して肺に流れ込むため、全身に血液を送り出すはたらきが弱まり、心臓は通常よりも怠けている状態になります。手術によって血液の逆流が改善すると、心臓は、再び全身に血液を送り出すためにはたらかなければならず、一時的に負担が増えるのです。

手術後の心臓の負担は、逆流の量が多い患者さんほど大きくなります。できるだけ早く手術を実施すれば、手術後の心臓の負担を減らすことにもつながります。

僧帽弁閉鎖不全症の手術が終わったら、院内でリハビリテーションを行います。日常生活を送れる程度のリハビリテーションに留めて、退院後は安静にすることを心がけてください。無理に体を動かしたり、血圧が上がったりすると、肺に水が溜まったり、縫ったところが切れてしまったりする可能性があります。しばらく安静にして、傷がしっかりくっつけば、心配いりません。

仕事に復帰できる目安としては、デスクワークの方で約1か月、力仕事や肉体労働の方で約2か月、様子をみていただいています。家事をする場合も、約2か月間は、ほかの家族に代わってもらうなど工夫するようにしてください。

僧帽弁閉鎖不全症の手術のあとは、処方された薬を必ず飲んでください。利尿剤、ストレス潰瘍の予防薬、胃薬などが処方されます。それに加えて、弁形成術では術後3~6か月、弁置換術では生涯にわたって、血液を固まらせないようにする抗凝固薬を服用します。

もともと飲んでいる薬も含めると、手術後は薬の量が増えてしまったと感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、医師の指示にしたがって、薬をきちんと飲むことが大切です。

僧帽弁閉鎖不全症の患者さんには、症状が出ていないときでも、手術をおすすめすることがあります。そのときは、患者さんにご納得いただけるよう、しっかりと病状を説明するように努めています。

たとえば、狭心症は、胸が痛いからこそ手術するので、治療が必要だと分かりやすい病気かもしれません。それに対して、僧帽弁閉鎖不全症は、あまり症状が出てきません。治療することがいかに大事なのか、患者さんに分かりやすくお伝えしなければならないと思っています。

修復した弁は、将来的にいつか壊れることは「あり得る」と、患者さんにはお話ししています。もちろん、必ずしも再手術が必要になるわけではありませんが、心臓手術に根治術はありません。患者さんにとってどのような治療が必要なのか、ご説明しますので、気になることがあれば遠慮なくご相談ください。

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