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僧帽弁閉鎖不全症の治療の選択肢

僧帽弁閉鎖不全症の治療の選択肢
メディカルノート編集部 [医師監修]

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僧帽弁閉鎖不全症の治療方法には、内科的治療と外科的治療があります。病気が進行すると外科的治療が必要になり、弁置換術あるいは弁形成術を行います。本記事では僧帽弁閉鎖不全症の治療の選択肢について解説します。

僧帽弁閉鎖不全症は、進行すると心臓の僧帽弁で血液の逆流が起こる病気です。逆流する血液の量が少なければ、内科的治療により症状を抑えることができます。逆流の量が増えてくると、外科的治療の必要が生じてきます。

内科的治療と外科的治療のそれぞれの特徴は次のとおりです。

僧帽弁閉鎖不全症の内科的治療としては、利尿剤や降圧剤によって、応急処置的な治療を行います。

僧帽弁閉鎖不全症は、急激に悪化する病気ではないため、内科的治療を行いながら、手術が必要なタイミングを見定めることが重要です。しかし、症状が軽いからと様子を見ていると、心臓が大きくなって、手術自体が困難になる場合があります。診断がついた時点でセカンドオピニオンを活用するなど、主治医以外の意見を聞いてみることも大切です。

ただし内科的治療は、あくまで進行を抑える対症療法であり、僧帽弁そのものを修復することはできません。

一般に、呼吸困難などの症状が出ていたり、心臓の負担が増していたり(左心室の収縮力の低下、左心室の拡大、心不全の出現)心房細動が生じていたりする場合は、根治に向けた治療が必要で、その基本は手術です。超音波検査で重度の逆流がみられれば手術適応です。逆流率は超音波検査で計測することができます。50%以上の逆流がある場合は手術をすすめることが多いです。

また、不整脈の1つである心房細動を合併している場合は、僧帽弁を修復するだけではなく、心房細動を抑える手術(メイズ手術など)も検討します。

僧帽弁閉鎖不全症の外科的治療には、“弁置換術”と“弁形成術”という2つの方法があります。リウマチが原因の僧帽弁閉鎖不全症に対しては弁置換術を、そのほかの原因で起こった僧帽弁閉鎖不全症には、弁形成術を実施することが多いです。

弁置換術は、心臓の弁を人工の弁に置き換える手術です。リウマチが原因で僧帽弁閉鎖不全症を発症した患者さんで、リウマチ熱の後遺症により弁の破壊が進んでいる場合には、弁置換術を選択することが多いです。

弁置換術で用いられる人工弁には、機械弁と生体弁という2種類があります。

機械弁は、人工の素材から作られた人工弁です。耐久性に優れている点が特徴ですが、体の中に入れた機械弁に血栓が付着する危険性があるため、患者さんは、血液の凝固を阻止する薬(抗凝固薬)を生涯にわたって飲み続ける必要があります。

生体弁は、ブタやウシの組織を利用した人工弁です。抗凝固薬を飲み続ける必要はありませんが、機械弁と比べて耐久性は低く、長期的にみると再手術が必要になることが多いです。

弁形成術は、患者さん自身の弁を修復する手術です。手術のリスクが弁置換術と比べて低く、治療の後で抗凝固薬を長く飲み続ける必要はありません。

修復した弁を使い続けているうちに、別の部分がまた壊れる可能性はありますが、術後およそ10年が経過しても、多くの方は再手術の必要がありません。

僧帽弁閉鎖不全症手術における胸の切開の仕方には、胸骨正中(きょうこつせいちゅう)切開手術と低侵襲手術の2つがあります。低侵襲手術とは、極力体にメスを入れないことで体への負担を抑える手術です。

低侵襲手術には、ダヴィンチ手術(手術支援ロボット“ダヴィンチ〈da Vinci Surgical System〉”を用いた完全内視鏡手術)とMICS(ミックス:ポートアクセス法)があります。

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