せんてんせいたいしゃいじょうしょう

先天性代謝異常症

肝臓

目次

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概要

先天性代謝異常症とは、先天的な遺伝子変異のために酵素蛋白が量的・質的異常を来し、代謝産物が異常蓄積したり、欠乏したりする疾患を指します。

関連する代謝異常としては、アミノ酸、有機酸、糖質、糖鎖、ムコ多糖体、脂質、コレステロール、リピドーシス、ペルオキシソームでの極長鎖脂肪酸、核酸、金属代謝、ビタミン代謝などが挙げられます。

障害される遺伝子異常の種類により、その遺伝様式は、常染色体性優性、常染色体劣性、X連鎖性劣性と多様です。先天性代謝異常症は、国の指定難病等医療給付制度に指定されている難病です。

多種多様な先天性代謝異常症が知られていますが、日本においては頻度の高いものや早期の治療介入が必須のものに対して、新生児期のスクリーニング検査が導入されています。先天性代謝異常症の患者さんは、疾患に応じて食事内容を工夫し、代謝できないものの摂取を避けることが大切です。

原因

先天性代謝異常症は、遺伝子異常により代謝に必要不可欠な酵素が不足することを原因として発症します。糖分やタンパク質、脂質などを始めとして、体の代謝には、無数の物質が関与しています。不足する物質に応じて、どのような疾患・病態の発症に至るかが決定します。

先天性代謝異常症には多くの種類が存在しますが、新生児マススクリーニングという形で一定数の先天性代謝異常症がスクリーニング検査の対象疾患となっています。

新生児マススクリーニング対象の22疾患

2015年発刊の新生児マススクリーニングガイドラインでは以下の22種の疾患が対象となっています。
1.フェニルケトン尿症および類縁疾患
2.メープルシロップ尿症
3.ホモシスチン尿症(シスタチオニンβ合成酵素欠損症)
4.シトリン欠損症
5.尿素サイクル異常症
6.メチルマロン酸血症
7.プロピオン酸血症
8.イソ吉草酸血症
9.HMG―CoAリアーゼ欠損症
10.メチルクロトニルグリシン尿症
11.複合カルボキシラーゼ欠損症
12.β―ケトチオラーゼ欠損症
13.グルタル酸血症I型
14.グルタル酸血症II型
15.極長鎖アシル―CoA脱水素酵素(VLCAD)欠損症
16.三頭酵素(TFP)欠損症
17.中鎖アシル―CoA脱水素酵素(MCAD)欠損症
18.全身性カルニチン欠乏症(OCTN―2異常症)
19.カルニチンサイクル異常症
20.ガラクトース血症
21.糖原病
22.Wilson病

症状

先天性代謝異常症は、疾患の種類に応じて症状が異なります。同じ疾患であっても、残存している酵素の量や活性によって重症度が異なります。

産まれてから間もなくして、けいれんや意識障害、哺乳障害、呼吸障害などの症状がみられることがあります。短期間のうちに亡くなってしまうこともあります。

その一方、年齢を経てから初めて診断されることもあります。風邪や脱水などにより体にストレスがかかっている状況において、倦怠感や疲れやすさ、けいれんや意識障害などが顕在化して初めて病気に気付かれることもあります。

検査・診断

先天性代謝異常症の一部に対しては、日本においては新生児期のクリーニング検査が実施されています。出生後哺乳が開始されて数日後、母子ともに産院に入院している期間に検査が行われます。

具体的には、ろ紙に採取した血液を用いて検査します。このスクリーニング検査は、症状が明らかになる前に診断をし、より早期に治療につなげることを目的としています。

また、先天性代謝異常症では疾患を確定するための詳細な検査も必要です。血液や尿などを用いて検査しますが、症状が明らかになっているときに初めて異常値を示すこともあるため、複数回の検査が必要とされることもあります。

疾患によっては遺伝子異常を検出するための遺伝子検査が行われることもあります。

治療

先天性代謝異常症では、疾患の種類によって代謝できない物質が異なります。そのため、疾患に応じて食事内容を工夫し、代謝できないものの摂取を避けることが大切です。特殊ミルクを使用することもあります。

新生児マススクリーニングにより、早期に疾患の存在を確認し、上記のような対策をとることができるため、重篤な症状の出現を予防することができます。