概要
先天性副腎過形成症とは、副腎のステロイドホルモンの産生に異常が生じることによって、さまざまな症状が引き起こされる病気を指します。
具体的には、脱水や血圧低下、食欲不振、嘔吐などの症状が挙げられます。
ただし、日本では出生後の新生児マススクリーニング検査の対象となっている病気であるため、症状が現れる前に病気の存在に気づくことが多いです。
原因
先天性副腎過形成症は、先天的な遺伝子異常が原因で、副腎でのステロイドホルモン産生に異常が生じます。
副腎では、ステロイドホルモンとしてコルチゾールやアルドステロン、アンドロゲンなど複数のホルモンが産生されます。
これらのステロイドホルモンを産生するに際には複数の酵素が関与しています。
なかでも、21水酸化酵素が欠損したタイプの先天性副腎過形成症がもっとも頻度が高いといわれています。
症状
先天性副腎過形成症では、ステロイドホルモンが異常を来すことに関連した症状が現れます。
具体的には、脱水や電解質異常、血圧低下、低血糖などと関連して食欲不振や吐き気、嘔吐、また哺乳低下などの症状が引き起こされます。ショック状態に陥り、命の危険に瀕するほど重篤な状態に陥ることもあります。
さらに、性ホルモンの異常を伴うことがあり、女児の外性器が男児の外性器のように見えたり、思春期が早く生じたりすることもあります。
また、皮膚の色素沈着がみられる場合もあります。
検査・診断
先天性副腎過形成症は、日本においては出生後の新生児マススクリーニング検査の対象疾患に含まれています。
そのため、症状が現れる前に病気の存在を疑うことが可能であり、早期に治療介入につなげることもできます。
診断の際には、ホルモン異常を検出することを目的として、血液検査や尿検査などが適宜検討されます。
また、外性器に異常が生じることもあり、性器の見た目から男女の区別がつきにくい場合もあります。その場合には、染色体検査によって性別の判断を行うこともあります。
その他にも、ステロイドホルモン産生に関与した遺伝子異常を調べるために遺伝子検査も検討されます。さらに、血糖の異常や血圧の異常、電解質変化が見られることもあるため、これらを評価するための血圧測定や血液検査なども検討されます。
治療
先天性副腎過形成症では、不足しているステロイドホルモンを補充する治療が行われます。具体的には、プレドニゾロンなどの副腎皮質ホルモン製剤(ステロイド)が適宜使用されます。
特に、手術前や、感冒(いわゆる風邪)、胃腸炎にかかった際には、身体は通常より多い量のステロイドホルモンを必要とするため、相対的な副腎不全を発症し症状が重症化することがあります。そのような場合を想定して、医師は必要時におけるステロイドの増量を事前に指示します。ステロイドの使用量の調整が必要です。
先天性副腎過形成症は、適切に対処することで症状が現れることなく経過することも期待できる病気です。
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