せんていせいふくじんひしつかけいせいしょう

先天性副腎過形成症

最終更新日:
2024年04月25日
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2024/04/25
更新しました
2017/04/25
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概要

先天性副腎過形成症とは、副腎の機能が生まれつき低下しており、副腎皮質ホルモンが十分に分泌されないことから副腎が腫れる病気です。

副腎は左右の腎臓の上に一対ずつ存在する小さな臓器で、外側を覆う“副腎皮質”と内側の“副腎髄質(ふくじんずいしつ)”から成り立っています。副腎皮質からは糖質コルチコイド、鉱質コルチコイド、副腎アンドロゲンの3つのホルモンが、副腎髄質からはカテコラミンというホルモンが分泌され、それぞれのホルモンに体の機能を維持するための役割があります。

先天性副腎過形成症は、副腎皮質ホルモンをつくるための酵素のはたらきが生まれつき弱く(先天性副腎皮質酵素欠損症)、そのためホルモンを十分に分泌することができなくなり、副腎が腫れて(過形成といいます)さまざまな症状が現れます。

先天性副腎皮質酵素欠損症とされる6つの病気

副腎皮質ホルモンをつくるための酵素は複数存在し、不足する酵素の種類によって以下6つの病気に分類されます。

  • 21-水酸化酵素欠損症
  • 先天性リポイド副腎過形成症
  • P450オキシドレダクターゼ欠損症
  • 17α-水酸化酵素欠損症
  • 3β-水酸化ステロイド脱水素酵素欠損症
  • 11β-水酸化酵素欠損症

このうち、P450オキシドレダクターゼ欠損症を除いた5つの病気が先天性副腎過形成症の原因として挙げられます。上記いずれかの病気の診断を受け、不足する副腎皮質ホルモンを補充するための薬物療法を受けている場合には、指定難病の対象となります。

それぞれの病気によってさまざまな症状がみられますが、日本人の先天性副腎過形成症のうちもっとも発症頻度の高い21-水酸化酵素欠損症では、生まれて間もないうちに副腎クリーゼという重篤な症状をきたし、迅速な治療を要するケースがあります。21-水酸化酵素欠損症によって生じる副腎クリーゼの早期発見・早期治療のため、国内では全ての新生児にスクリーニング検査が行われています。

原因

先天性副腎過形成症は遺伝性疾患の一種で、生まれつき副腎皮質ホルモンをつくる酵素のはたらきが弱かったり不足したりすること(先天性副腎皮質酵素欠損症)が原因で発症します。先天性副腎皮質酵素欠損症は、不足する酵素によって6つの病気に分けられ、そのうち1つを除いた5つが先天性副腎過形成症の原因となります。

遺伝形式は、常染色体潜性(劣性)遺伝で、発症の原因となる遺伝子を両親から受け継ぐことによって発症します。発症の原因となる遺伝子を持つ両親から生まれた場合、先天性副腎過形成症を発症する確率は25%とされています。

症状

先天性副腎過形成症では、欠損する酵素の種類によって多彩な症状が現れます。もっとも発症頻度の高い21-水酸化酵素欠損症では、皮膚が黒くなるほか、女児の場合は女性器が通常とは異なる形態を示すことがあります。重症になると生後2週間以内に哺乳が困難になったり嘔吐したりするほか、副腎皮質ホルモンの著しい不足による “副腎クリーゼ”を起こし、食欲不振や低血圧、低血糖、循環障害、電解質異常、意識障害などのさまざまな症状がみられ、命に関わることもあります。そのほかの先天性副腎過形成症でも欠損する酵素によってさまざまな外性器の異常がみられます。たとえば、男児の先天性リポイド副腎過形成症や17α-水酸化酵素欠損症、3β-水酸化ステロイド脱水素酵素欠損症では、性ホルモンの分泌不足によって男性器の女性化がみられます。また、女児の3β-水酸化ステロイド脱水素酵素欠損症や11β-水酸化酵素欠損症では、アンドロゲンが過剰となり男性化兆候がみられます。17α-水酸化酵素欠損症では性ホルモンの分泌不足によって男女ともに二次性徴の発達不全がみられることがあります。さらに、先天性副腎皮質酵素欠損症のうちP450オキシドレダクターゼ欠損症では、頭蓋骨癒合症や関節の拘縮、大腿骨(だいたいこつ)の湾曲、橈骨上腕骨癒合症(とうこつじょうわんこつゆごうしょう)など骨の異常がみられる場合もあります。

検査・診断

先天性副腎過形成症は、もっとも発症頻度の高い21-水酸化酵素欠損症に対して新生児期にスクリーニング検査(新生児マススクリーニング検査)が行われます。新生児マススクリーニング検査により先天性副腎過形成症が疑われる場合は、血液検査、尿検査によって診断が行われます。

治療

先天性副腎過形成症では、不足する副腎皮質ホルモンを補うための薬物療法が行われます。主に、鉱質コルチコイドとしてフルドロコルチゾン、糖質コルチコイドとしてヒドロコルチゾンという薬が用いられます。

また副腎クリーゼ発症予防のため、発熱や胃腸炎外傷などによって身体的なストレスが増加している場合や、全身麻酔で手術を行う場合には、薬の投与量を増量して使用することもあります。副腎クリーゼが疑われる場合には、迅速にヒドロコルチゾンの点滴を行う必要があります。

女児の場合、外性器の異常に対して1~3歳の間に外科的手術が行われることもあります。

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