えんすいかくまく

円錐角膜

最終更新日:
2025年05月07日
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2025/05/07
更新しました
2017/04/25
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医師の方へ

概要

円錐角膜とは、角膜(黒目の部分)の中央が徐々に薄くなり、円錐状に前方に突出する病気です。多くは思春期に発症し、原因ははっきりとは分かっていません。円錐角膜は進行すると角膜の歪みが強くなり、不正乱視による視力低下を引き起こします。

治療方法は進行度によって異なります。初期には眼鏡矯正できることもありますが、進行すると不正乱視矯正のためハードコンタクトレンズが必要となります。さらに進行してハードコンタクトレンズが装用困難になった場合は角膜移植が必要となります。

原因

明確な発症メカニズムは解明されていませんが、円錐角膜は目をこする習慣があると発症しやすくなるとの報告があります。また、アトピー性皮膚炎ダウン症候群など特定の病気に合併しやすいことも知られています。多くは孤発例ですが、遺伝的な要因が関与している症例も報告されています。

孤発例:遺伝子の突然変異による発症など、親から子への遺伝が明らかでない症例。

症状

目から入る光は角膜と水晶体で調節され、目の奥にある網膜に焦点を合わせることで物が見える仕組みになっています。角膜が歪んでいると焦点を合わせることができず、乱視近視が生じ、視力が低下します。また、病状が進行し角膜の突出が強くなると、内側にある膜(デスメ膜)が破れて水が溜まり、角膜が白く濁ることで急激な視力低下を引き起こすこともあります(急性水腫)。

円錐角膜は思春期に発症することが多く、症状の程度には個人差があるものの徐々に進行しますが、年齢とともに進行しにくくなるといわれています。

検査・診断

円錐角膜が疑われるときは、以下のような検査を行います。

視力検査

視力の程度を評価するために視力検査を行います。検査は診断時だけでなく定期的に行い、病状を確認することも大切です。

細隙灯顕微鏡検査(さいげきとうけんびきょうけんさ)

目に光を当てながら、顕微鏡で拡大して角膜や目の奥に傷や炎症がないかなどを詳しく観察する検査です。ただし、角膜の突出がごく軽度の場合には細隙灯顕微鏡検査のみでは評価ができないことがあります。

角膜形状解析検査

円錐角膜の診断では基本的に細隙灯顕微鏡検査を行いますが、はっきりとした病変が分からないこともあります。そのような場合には、角膜形状解析検査を行います。角膜形状解析検査は、角膜の断面図を撮影して角膜の形状をより詳細に評価する検査です。

治療

症状の現れ方には個人差がありますが、視力の矯正が可能な場合には特別な治療は必要ありません。初期段階では眼鏡による視力矯正を行いますが、進行した場合にはハードコンタクトレンズによる矯正を行います。さらに進行しハードコンタクトレンズによる視力の矯正が困難になった場合には、角膜移植が検討されます。

また、近年では角膜内にポリメチルメタクリレート製のリングを挿入して突出した角膜の平坦化を目指す角膜内リングや、角膜にビタミンB₂を点眼して紫外線を照射し円錐角膜の進行を予防する角膜クロスリンキングなどの新たな治療も試みられています。

予防

円錐角膜は明確な発症メカニズムが解明されていませんが、目をこする習慣があると発症しやすくなるとの報告もあり、角膜に刺激を与えるような習慣を改善することが予防につながる可能性があります。

また、円錐角膜はアトピー性皮膚炎ダウン症候群などの病気に併発しやすいことも知られているため、これらの病気がある人は物の見え方に変化が生じたら早めに医師に相談しましょう。

角膜クロスリンキングは本邦ではまだ未承認ですが、アメリカではFDA*の承認を得ており、ヨーロッパではCEマーク*を取得しています。臨床研究でも予防に有効な成績が報告されており、今後の有効な予防法として期待されています。

*FDA:アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration)の略称。医薬品や医療機器の安全性や有効性などの審査を行っている機関。

*CEマーク:欧州連合(EU)の安全性・健康・環境保護に関する基準を満たす製品に表示されるマーク。

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