はんかいしんけいまひ

反回神経麻痺

最終更新日:
2024年07月04日
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2024/07/04
更新しました
2017/04/25
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概要

反回神経麻痺とは、声帯の動きを司る“反回神経”と呼ばれる神経が麻痺する病気です。神経が麻痺すると声帯を動かす筋肉の動きに異常が生じ、声がかれる、一息で声が長く続かない、水を飲むとむせる、といった症状が現れます。

反回神経麻痺の原因は、甲状腺や食道、肺などに生じた腫瘍(しゅよう)やその手術の後遺症、ウイルス感染など多岐にわたります。また、反回神経麻痺から原因となる病気の発見につながるケースもあります。治療法は、発声しやすい状態に声帯を加工する手術が中心となりますが、薬物療法やリハビリテーションを行うこともあります。

原因

声帯を動かす“反回神経”は、脳(脳幹部)から出た迷走神経という神経が左右の頸動脈(けいどうみゃく)の脇を通って心臓の近くまで下降してから枝分かれしたもので、Uターンして喉(喉頭(こうとう))の筋肉へ至ります。反回神経が何らかの原因で傷害されると、反回神経麻痺が起こります。具体的な原因としてには甲状腺、食道、肺などの腫瘍、大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)などが挙げられます。そのほか、ウイルス感染(主にヘルペスウイルスの仲間)や麻酔のチューブによる圧迫なども原因となります。また、脳腫瘍脳卒中により脳幹部が傷害されたときも麻痺が生じることもあります。

症状

反回神経は左右に1本ずつあります。多くの場合、麻痺が生じるのは片側のみですが、両側に麻痺が起きることもあり、麻痺の発生が片側か両側かで症状は異なります。

片側の反回神経のみに麻痺が生じた場合は、声帯の筋肉が萎縮する(痩せる)ことで、声を出したり飲み込んだりしたときに声帯がうまく閉じなくなり、息漏れしたような声となるほか、声が長く続かない、水を飲むとむせるなどの症状が現れます。症状の程度は麻痺した神経の位置や麻痺の程度によって異なりますが、呼吸に影響が出ることはまれです。

一方、両側の反回神経に麻痺が生じた場合は、声のかすれや飲み込みにくさだけでなく、呼吸しにくくなったり、ヒューヒューといった呼吸音(喘鳴(ぜんめい))が生じたりすることが多くみられます。

検査・診断

患者が声のかすれを訴えたときは、鼻から細い内視鏡を挿入して声帯の状態を詳しく確認します。たとえば手術の後で症状が生じたときなど、反回神経麻痺の原因が分かっている場合は、続けて声の質を分析したり、息漏れの程度を計測したりします。

反回神経麻痺が初めて見つかり、その原因が明らかでない場合は、X線やCT、MRI、上部消化管内視鏡検査胃カメラ)などの画像検査を行い、腫瘍性の病気がないか調べます。調べても異常が見当たらない場合はウイルス感染の可能性を考え、血液検査を行いますが、それでも原因が分からないこともあります。むせやすいなど、飲み込みの問題があるときは嚥下造影検査(えんげぞうえいけんさ)(バリウムを飲む検査)を実施します。

治療

治療法の主体は手術ですが、神経が回復する可能性があるときはしばらく様子を見ます。

発症早期の場合は薬物治療や音声治療と呼ばれるリハビリテーションを行うこともあります。薬物治療では神経の炎症を抑える薬や神経の修復を助ける薬を用い、リハビリテーションでは、主に言語聴覚士のもとで効率的に発声できるように訓練します。

反回神経麻痺が回復する見込みがないと判断した場合は手術を検討します。発症から半年程度が目安となりますが、状況により早期に行うこともあります。手術の目的は、発声しやすい位置に声帯を動かし、痩せた声帯の形態を整えることです。手術法には、患者自身の皮下脂肪や医療用コラーゲンなどを注入して声帯を膨らませる“声帯内注入術”と、皮膚を切開してから声帯の位置や形態を整える“喉頭枠組み手術(喉頭形成手術)”があります。治療法によって効果や負担が異なるため、声帯の状態や患者の希望に応じて選択します。

両側反回神経麻痺により呼吸困難があるときは、声帯の下方で気管に穴を開ける“気管切開術”が必要になります。気管切開の穴を閉じるためには、声帯を外側に移動する“声門開大術”が必要となります。

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