外陰がんとは、外陰部(大陰唇・小陰唇・陰核など)に発症するがんのことです。女性生殖器がんの3〜5%を占める比較的まれながんで、年間の発生頻度は腟がんと合わせても100万人に5〜10人程度といわれています。初期には症状がないこともありますが、進行すると外陰部のしこり、かゆみ、ほてり、痛みなどさまざまな症状が現れることがあります。
では、外陰がんの好発年齢はどれくらいなのでしょうか。また、原因は明らかになっているのでしょうか。このページでは、外陰がんの好発年齢や原因、種類などについて解説します。
外陰がんは高齢の方に多く、大半は70歳以上の患者だといわれていす。ただし若年の女性にも発症することがあり、高齢の女性と若年の女性では発症の主な原因が異なるといわれています。
外陰がんの発症の原因は、完全に解明されたわけではありません。現在明らかになっている主な発生要因として、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染と喫煙があります。特に若年女性の外陰がんは、HPV感染に関与して発症する傾向があります。
ヒトパピローマウイルス(HPV)とは、人から人へ感染するウイルスのことです。実に100種類以上の型があり、そのうち高リスク型と呼ばれる種類に感染すると、子宮頸がん・腟がん・外陰がん・肛門がん・陰茎がん・中咽頭がんなどを引き起こす可能性があります。また、がん以外に尖圭コンジローマなどの病気の発症に関わる型もあります。
HPVの主な感染経路は性交渉であることが分かっており、性経験のある女性の半数以上が一生に一度は感染すると考えられています。
外陰がんの多くは粘膜組織から発生する“扁平上皮がん”です。また扁平上皮がんに至る前、外陰の皮膚の上皮内にとどまっている腫瘍は“外陰上皮内腫瘍(VIN)”と呼ばれ、これが進行し上皮内にとどまらず深く浸潤すると“扁平上皮がん”と診断されます。VINはHPV感染に関与するものとそうでないものに区分されます。
ヒトパピローマウイルス(HPV)感染に関連のある外陰上皮内腫瘍(VIN)は、比較的若年の女性に生じやすいことが特徴です。軽度の病変はがんにならず、時間の経過とともに自然消滅してしまう可能性もあるため、経過観察が検討されます。
一方、高度の病変ではがんに発展する恐れがあるため、必要に応じて何らかの治療が検討されることが一般的です。
ヒトパピローマウイルス(HPV)感染に関連のない外陰上皮内腫瘍(VIN)は、高齢の女性に多いことが特徴です。また、特徴的な症状として“白斑”がみられる傾向があります。
HPVに関連しないVINは悪性度が高い傾向にあるため、何らかの治療が検討されることが一般的です。
外陰部には扁平上皮がんだけでなく、悪性黒色腫やパジェット病など皮膚科領域のがんが発症することもあります。悪性黒色腫とは皮膚の色素を作る細胞ががん化し、皮膚を中心にさまざまな病変がみられる病気です。
またパジェット病は乳房や腋、会陰部、肛門部などに発症する上皮内がんで、一般的に赤い斑状の病変がみられます。これらのがんが外陰部周辺に発生した場合、婦人科と皮膚科が協力して治療を行うこともあります。
外陰がんの発生に関与するヒトパピローマウイルス(HPV)については、HPVワクチンを接種することで感染を予防できます。HPVワクチンは子宮頸がんの発症予防効果で知られていますが、外陰上皮内腫瘍(VIN)の予防にも効果があることが分かっています。
外陰がんの多くは70歳以上といわれていますが、比較的若年の方でもかかる可能性があります。特に若年の方の外陰がんはヒトパピローマウイルス(HPV)への感染が関与して発症する傾向があるため、HPVワクチンの接種など予防を心がけましょう。
また外陰部のしこりやかゆみ、ほてり、痛みなど、気になる症状が続くときは、医療機関の受診を検討しましょう。
がん研有明病院 婦人科 部長
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