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治療

多発性骨髄腫は根治が難しいことから、病勢コントロールを目指すことが治療目標となります。多発性骨髄腫は早期治療によって予後が改善しないことや、治療による副作用のリスクを考慮して、症状がないうち(“くすぶり型骨髄腫”と呼ばれます)は経過観察をし、症状が出てから治療を始めるのが一般的です。

しかし、最近では新薬の開発によって以前よりも予後が大きく改善しています。

薬物療法

現在使用されている薬には、ボルテゾミブ、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、エロツズマブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブクエン酸エステル、シクロホスファミド水和物、メルファラン、デキサメタゾンなどがあります。

一般的に初期治療として、ステロイド剤のデキサメタゾンまたはプレドニゾロン(内服薬)と、プロテアソーム阻害薬であるボルテゾミブ(注射薬)あるいは免疫調節薬のレナリドミド(内服薬)が用いられます。また、ダラツムマブなどの抗CD38抗体の併用でより高い効果が期待できます。

このような初期治療で十分な効果がみられなかった場合や再発した場合には、ほかの薬が用いられます。

移植療法

多発性骨髄腫に対する主な移植療法として、患者自身の造血幹細胞を移植する自家末梢血幹細胞移植療法(じかまっしょうけつかんさいぼういしょくほう)があります。

がん剤を大量に使用することで腫瘍細胞を多く減らすことができますが、その一方で造血幹細胞もダメージを受けて血液を作る能力が失われるため、造血幹細胞をあらかじめ採取して保存しておき、大量化学療法(大量のメルファラン投与)後にそれを戻して血液を作る能力を回復させます。

また、同種移植療法という方法もあります。これは自分の造血幹細胞ではなく、健康な血縁者もしくは非血縁者から採取した造血幹細胞を移植する方法です。自家末梢血幹細胞移植療法よりも高い効果を得られる可能性がある反面、合併症の発症率が高く、副作用も多いといわれています。

そのほかの治療法

骨病変の進行をおさえる目的でビスホスホネート製剤やデノスマブの投与、骨病変による局所的な痛みを抑えるために放射線療法が行われることもあります。また、薬の副作用によっては必要に応じて薬を減量・休薬したり、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の投与や成分輸血が行われたりすることもあります。

セルフケア

多発性骨髄腫では、免疫力が下がって感染症にかかりやすくなるため、日頃から基本的な感染症対策(マスクの着用・手洗い・うがい)を心がけましょう。

適度な運動を行うことも大切です。運動によって骨に適度な刺激が加わり、骨の丈夫さをある程度維持することができます。ただし、負荷の強い運動は骨折の危険もあるため、軽い運動を行うようにしましょう。腰背部痛がひどいときにはコルセットを装着したり、下肢痛があるときには杖を使用して、それ以上の骨折の進行を予防することも大切です。

また、多発性骨髄腫では腎機能の低下がよくみられます。腎機能の負担を軽くするためにも、水分を意識的に取るようにしましょう。

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