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インタビュー

公開日 : 2015 年 06 月 30 日
更新日 : 2017 年 05 月 08 日

多発性骨髄腫の治療、高齢者や重い肝機能・腎機能障害がある方への治療について。

多発性骨髄腫」とは、身体を異物から守る免疫系で重要な役割を担っている「形質細胞」という細胞が「骨髄腫細胞」にがん化してしまうという、治療の難しい病気です。多発性骨髄腫の高齢者向けの治療について、引き続き第一人者である国立国際医療研究センターの萩原將太郎先生に前々回前回に引き続きお聞きしました。

高齢者など移植の適応ではない患者さんの治療

一般的に66歳以上の方や、65歳以下であっても重い肝機能障害・腎機能障害などがある方の場合には、造血幹細胞移植は行ないません。
このような移植非適応の患者さんに対する治療は、「寛解導入療法」とそれに引き続く「維持療法」によって行います。
移植非適応の場合での寛解導入療法では、移植適応患者に対する「寛解導入療法」と同様にボルテゾミブ、サリドマイド、レナリドミド、デキサメサゾン等を骨格として使いますが、造血幹細胞採取を行わないため、これらに加えてメルファランを最初から使うことができます。
維持療法では、サリドマイドやレナリドミド、ボルテゾミブなどを用います。維持療法は、病勢が再び悪化するまで、あるいは1-2年間続けます。

高齢の患者さんでは、個人によって体力が随分異なります。そのため、個人の状態、体力に合わせて抗がん剤の量を調整する必要があります。

高齢者のリスク評価と治療量の調節

高齢者のリスク評価と治療量の調節

上の表は、高齢者の方に多発性骨髄腫の治療薬を投与するときの指標です。高齢であっても元気で心臓や腎臓などの臓器に障害がなければ、抗がん剤の減量はそれほど必要ではありません。しかし、日常生活に介助を要するような状態であれば60代の患者さんでも抗がん剤は減量した方がよいと思われます。このように3つのリスクファクターのうち、いくつ当てはまるかで評価していきます。レベル0、レベル1、レベル2と徐々に抗がん剤を減らしていきます。

専門的な話:今後登場する新規薬剤について

少し前まで、多発性骨髄腫の治療といえば「ビンクリスチン・アドリアマイシン・デキサメタゾン」の3種の薬を用いるVAD療法や、「メルファラン・プレドニン」の2種を用いるMP療法が中心でした。しかし、数年前から新しい薬剤が続々と開発され、今後大きく治療が変わっていく可能性はあります。

「サリドマイド」「レナリミド」「ボルテゾミブ」に加え「ポマリドマイド」が2015年5月から保険収載され、さらに今後「パノビノスタット」「カーフィルゾミブ」「エロツズマブ」「ダラツムマブ」「イクサゾミブ」など新薬の治験が進んでいます。

多発性骨髄腫に対しては様々な新規薬剤が出てきており、選択肢が増えてきました。今は難病であることは間違いありません。それでも、予後(治療後の見通し)は大きく変わっていく可能性があります。

そんな中でも引き続き必要になりそうな薬が「メルファラン」です。新規薬剤とメルファランの組み合わせがよく効きます。メルファランは1950年代に開発された長い歴史を持つ薬です。古い薬ですが、移植非適応の患者さんでの寛解導入療法だけでなく、新規薬が効きにくい再発の際などで、メルファランだけは有効なこともあります。

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