
「多発性骨髄腫」とは、身体を異物から守る免疫系で重要な役割を担っている「形質細胞」という細胞が「骨髄腫細胞」にがん化してしまい様々な症状を起こす治療の難しい病気です。国立国際医療研究センター(当時。現・東京女子医科大学)の萩原將太郎先生は、「基本的には多発性骨髄腫は完治する病気ではありませんが、上手に病気と付き合って行くことで生活の質を維持することが可能です。“上手に病気とつきあってゆく”ためには、患者さんも正しい知識を身に着けることが大切です。」とおっしゃいます。萩原先生に多発性骨髄腫とはどのような病気なのかについてお聞きしました。
多発性骨髄腫は、説明が難しい病気です。まずは骨髄腫の元である「形質細胞」について理解することが大切です。形質細胞は免疫系において親玉のような存在であり、「抗体」を作る細胞です。「抗体」は、本来であれば細菌やウイルスなどの外部から入ってきた異物から体を守る役割を果たしています。しかし、多発性骨髄腫においては、この形質細胞が「がん化」して「骨髄腫細胞」というものになってしまいます。そのためにいろいろな症状を起こす病気です。
本来であれば異物を排除するための抗体をつくる形質細胞ですが、癌化して骨髄腫細胞になると「Mタンパク」という役に立たないタンパク質を作り始めます。逆に正常な抗体が作られなくなるため免疫の機能は弱くなります。このMタンパクが原因となって、多発性骨髄腫による様々な症状が起こります。また、骨髄腫細胞自身も骨髄の中で異常に増殖し、それにより様々な悪さを始めます。
多発性骨髄腫は、貧血や腎障害、高カルシウム血症、骨折を含む骨病変などさまざまな症状で発症しますが、これらの症状がなく、M蛋白と骨髄での骨髄腫細胞の増加が見られる「無症候性骨髄腫」として見つかることもあります。また、M蛋白のみが見られ骨髄での骨髄腫細胞の増加がない「MGUS(臨床的意義の不明なM蛋白血症)」という状態も知られています。
MGUSは、実は50歳以上の成人の約1-2%に見られる頻度の高いものです。そのうち年間1%の人が多発性骨髄腫などの病気に進展すると考えられています。
多発性骨髄腫は主に中高齢者に発症する病気ですが、若い人に起きないというわけではなく、少数ですが30代の患者さんもいらっしゃいます。
多発性骨髄腫にかかりやすくなる要因は特にないと考えてよいでしょう。遺伝による影響についても、一部の例外を除いては、基本的に、ほとんどないとされています。
多発性骨髄腫の検査としては、まずは血液検査を行います。血液検査では貧血がないか、腎機能障害(BUN、Cre)がないか、高カルシウム血症がないかを中心に見ます。健診や人間ドックからの紹介の場合、タンパク質のいろいろな指標(A/G比(アルブミンとグロブリンの比)、TTT、ZTT)から見つかることもあります。
・血液検査から、「タンパク質の電気泳動」という検査でMタンパクがみつかります。以下に正常所見と異常所見の差を示します。
これが正常所見です。右のほうはなだらかになっています。
右のほうに急な山型があります。これはMタンパクがあることを示しています。
2014年に提唱されたIMWG(国際骨髄腫ワーキンググループ)の診断基準を説明します。
多発性骨髄腫は、骨髄に10%以上の形質細胞を認めるか、骨髄外に形質細胞腫を認めるもので、以下の症状を1つ以上伴うものとします。
1.形質細胞の増加に伴う臓器障害
2.以下の悪性所見が1つ以上ある
また、骨髄中の形質細胞が10%~60%未満で、IgGあるいはIgAのM蛋白が3000mg/dl以上あるいは尿中のベンスジョーンズ蛋白が1日500mg以上あるにもかかわらず、上記の骨髄腫症状(高カルシウム血症、腎障害、貧血、骨病変)がない場合には、「くすぶり型骨髄腫」と診断します。
東京女子医科大学 血液内科講師
萩原 將太郎 先生の所属医療機関
周辺で多発性骨髄腫の実績がある医師
東京女子医科大学 血液内科講師
内科、血液内科、膠原病リウマチ内科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、緩和ケア内科、消化器内科、内視鏡内科、糖尿病内科、内分泌内科、代謝内科、人工透析内科、脳神経内科、内分泌外科、放射線診断科、精神神経科、総合診療科、病理診断科
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東京都立多摩総合医療センター 血液内科・輸血科部長
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順天堂大学大学院医学研究科 血液内科学 主任教授
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