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インタビュー

公開日 : 2015 年 06 月 28 日
更新日 : 2017 年 05 月 08 日

多発性骨髄腫の治療。完治が難しい病気

東京女子医科大学 血液内科講師
萩原 將太郎先生

多発性骨髄腫」とは、身体を異物から守る免疫系で重要な役割を担っている「形質細胞」という細胞が「骨髄腫細胞」にがん化してしまうという、治療の難しい病気です。多発性骨髄腫にはどのような治療を行っていくのでしょうか。多発性骨髄腫診療の第一人者である国立国際医療研究センターの萩原將太郎先生にお聞きしました。

多発性骨髄腫の治療とは

がん細胞である「骨髄腫細胞」を死滅させていくことが、多発性骨髄腫の治療です。そのためには、さまざまな種類の抗がん剤を用います。抗がん剤による治療のことを化学療法と言います。

比較的若くて元気な方(具体的には、年齢が65歳以下で肝機能・腎機能・心肺機能に大きな問題のない方)には、「寛解導入療法」という初期治療のあとで、大量の抗がん剤による化学療法をもちいた「造血幹細胞移植」を行います。造血幹細胞移植の際に行う化学療法は非常に強力で、がん細胞である骨髄腫細胞も正常な血液細胞も、一度はすべて死滅させてしまいます。その後に造血機能(血液を造る機能)を再生させるために造血幹細胞を移植します。移植した幹細胞が骨髄で生着すると新しい血液細胞が増えてゆきます。十分に白血球、赤血球、血小板などの血液細胞が回復したのちに、地固め療法という比較的強力な治療を行い、引き続いて維持療法という弱めの治療を長期間続けます。造血幹細胞移植の効果が不十分であった場合には、施設によっては移植を2回連続で行うこともあります。

年齢が高い方(一般に66歳以上)にはこの大量化学療法・造血幹細胞移植は行えないため、治療は、寛解導入療法と、それに引き続く維持療法が中心となります。治療法についての詳細は、別記事でより詳しく説明します。

多発性骨髄腫の治療は、どの段階で開始するのでしょうか?

CRAB症状
C:カルシウム(calcium)値の上昇 カルシウム値>11mg/dL
R:腎臓(renal)の障害 クレアチニン値>2mg/dL
A:貧血(anemia) ヘモグロビン値<10g/dL
B:骨(bone)の病変 骨の病変がある

多発性骨髄腫には、「無症候性(症状がない)」の骨髄腫、「症候性(症状がある)」の骨髄腫の二つがあります。上図の「CRAB」症状のうち一つでも当てはまる場合には症候性の多発性骨髄腫と診断します。一般に「CRAB」がない場合には早めに治療をする必要はありません。しかし、「CRAB」がない骨髄腫でも以下のようなケースでは症候性骨髄腫と診断します。
具体的には、

  • 骨髄腫細胞(がん化した骨髄腫細胞)が60%以上ある
  • フリーライトチェーン(抗体の検査法)の結果、比率の数値が100以上である
  • 全身のMRIを撮影して、2箇所以上に異常が見られる(ただし、全身のMRIをとるには時間がかかり、どこの施設でもできるわけではありません。)

無症状なのに「検査で分かる」のはなぜ?

タンパク質のいろいろな指標(A/G比(アルブミンとグロブリンの比)、TTT、ZTT)が健康診断や人間ドックの検査に組み込まれることがあり、そこから見つかることがあります。

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