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インタビュー

公開日 : 2015 年 06 月 21 日
更新日 : 2017 年 05 月 07 日

多発性骨髄腫の生存率はどのくらい?ステージごとの生存率

多発性骨髄腫の完治は、極めて難しいと考えるべきです。これは、基本的には一生付き合っていかなければいけない厳しい病気です。しかし、造血幹細胞移植など強い治療を行うことで10年以上再燃しなかったり、中には20年以上再発せずに生存されている報告もあります。また、新しい薬剤も少しずつ増えています。多発性骨髄腫の生存率と予後(病気のたどる経過)について、多発性骨髄腫の第一人者である国立国際医療研究センターの萩原將太郎先生にお聞きしました。

多発性骨髄腫の生存率。5年生存率は概ね50%

以前、多発性骨髄腫の治療後の平均生存期間は3~5年と言われていました。しかし、近年は様々な治療が発展したこと(造血幹細胞移植や新規薬剤の効果)によってかなり改善されてきています。特に65歳以下の比較的若い患者さんの生存率は年々向上して、5年生存率は概ね50%くらいまで改善しています。(下図参照)

ISSの病期分類と生存期間中央値の関係

(多発性骨髄腫の病期は「β2 ミクログロブリン」と「アルブミン」により決定します。「生存期間中央値」は、おおまかに言って「平均余命」のことだと考えてください)

ISS (国際病期分類):

血液検査で測定できる血清β2ミクログロブリン(β2MG)値と血清アルブミン(Alb)値によって分類します。

病期 基準 生存期間中央値(月)
β2MG<3.5mg/L 62
Alb≧3.5mg/dl 44
β2MG>5.5mg/L 29

β2MGは骨髄腫細胞の量が多い場合や活動性が高いときに高くなります。また骨髄腫による腎機能障害が進んだ時にも高くなります。M蛋白が増加して正常蛋白が減少してくるとAlbが低下します。これら2つの数値が骨髄腫の勢いを表します。

65歳以下の生存曲線 / Tresson I. et al. Journal of Clinical Oncology 2010

65歳以下の生存曲線 / Tresson I. et al. Journal of Clinical Oncology 2010

66歳以上の生存曲線 / Tresson I. et al. Journal of Clinical Oncology 2010

66歳以上の生存曲線 / Tresson I. et al. Journal of Clinical Oncology 2010

骨髄腫の病期分類には、前述の国際病期分類(ISS)とDurie-Salmon分類(DS分類)があります。

Durie-Salmon分類は、予後を予測できるもではありませんが、腫瘍の量を反映していると言われており、ISSと併記されることが一般的です。

DS分類の表

病期  
Ⅰ期 腫瘍量=少量
  IgG<5g/dl, IgA<3g/dl, 尿中ベンスジョーンズ蛋白<4g/dl
  ヘモグロビン>10g/dl, 血清カルシウム<12mg/dl
  骨病変なし、あるいは1か所のみの形質細胞腫
Ⅱ期 腫瘍量=中等量
  Ⅰ期およびⅢ期のどちらにもあてはまらない
Ⅲ期 腫瘍量=大量
  IgG>7g/dl, IgA>5g/dl, 尿中ベンスジョーンズ蛋白>12g/dl
  ヘモグロビン<8.5g/dl, 血清カルシウム≧12mg/dl
  進行した骨病変
A、B 腎機能障害の有無で分類
  A<血清クレアチニン値2mg/dl
  B≧血清クレアチニン2mg/dl

また、最近は、骨髄腫細胞の遺伝子異常も加えた改訂ISS(R-ISS)も使われるようになりました。

改訂ISS

改訂ISS病期 基準
I 以下の1)~3)をすべて満たす
  1) ISS病期I
  2) FISH法で予後不良細胞遺伝学的異常がない
  3) LDH正常値
II R-ISS病期I、IIIのどちらにも合致しない
III 以下の1)2)をすべて満たす
  1) ISS病期III
  2) FISH法でdel(17p), t(4;14), t(14;16)
   あるいはLDH>正常値
予後不良細胞遺伝学的異常:FISH法でdel(17p), t(4;14), t(14;16)

*FISH法とは、遺伝子検査の一つで、染色体の中の遺伝子を蛍光色素で光らせて、遺伝子の異常や欠失などを調べる方法です。特に17番染色体の短腕(17p)の欠失、4番と14番染色体の転座、14番と16番染色体の転座など予後不良な因子は、FISH法で調べることができます。

多発性骨髄腫の予後には年齢や染色体異常等が影響する

多発性骨髄腫の予後(病気の経過)を考える上では、どのような人がハイリスクである(状態が悪くなりやすい、あるいは治療が効きにくい)のかについて考えることが重要です。これまで、予後に関するさまざまな研究がなされてきました。最近の国際骨髄腫ワーキンググループの報告では、高齢者、ISS(国際病期分類)Ⅰ<Ⅱ<Ⅲ、骨髄腫細胞の染色体異常のうち17番染色体短腕の欠失(17p-)あるいは4番14番染色体の転座(t(4;14))が認められる場合などが予後不良に関係が深いことが示されました。

骨髄腫の予後に深く関係している要因
1)年齢
若年者よりも高齢者の方が予後不良
2)ISS(国際病期分類)
Ⅰ<Ⅱ<Ⅲの順で予後不良
3)染色体異常
・国際骨髄腫ワーキンググループの報告
17p-、t(4;14)
・その他予後不良であることが報告されている染色体異常
1q21増幅、t(14;16)、t(14;20)

 

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