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症状

多発性骨髄腫は病気の進行が比較的遅く、初期には自覚症状が乏しいですが、徐々に以下のような症状が現れます。

骨病変

もっとも多くみられるのが骨の症状です。骨髄腫細胞は骨を破壊する破骨細胞を刺激し、骨を作る骨芽細胞(こつがさいぼう)のはたらきを抑えます。その結果として、骨が脆くなって骨折しやすくなったり、背骨や腰骨などに痛みが出現したりします。

高カルシウム血症

体内にあるカルシウムの90%以上が骨に存在し、骨髄腫細胞によって破骨細胞が活性化されることで、カルシウムが血液中に放出されて血中のカルシウム濃度が高くなります。

これによって、体のだるさや疲れ、食欲不振、吐き気、喉の渇き、多尿などの症状がみられるようになります。重篤な場合には昏睡状態に陥ることもあります。

腎臓の機能低下

腎臓は血液から不要な物質をろ過して排泄する役割を持っていますが、骨髄腫細胞が作り出すMタンパクの一部が腎臓の糸球体でろ過された後で尿細管に詰まってしまうことがあります。また、まれに腎臓の糸球体や尿細管に沈着することもあります。その結果、体内の不要物のろ過・排泄がスムーズに行われなくなります。

腎機能の低下の程度が軽い間は自覚症状がほとんどありませんが、腎機能が著しく低下すると、むくみや息切れ、吐き気などの症状が現れます。

貧血

骨髄腫細胞によって正常な血液細胞の産生が妨げられ、酸素を運搬する赤血球が減少することで貧血が生じます。貧血が進行すると、動悸や息切れ、頭痛、胸痛などが起こります。

そのほか

細菌やウイルスなどの異物から体を守る正常な免疫グロブリンが少なくなるために免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなります。また、頭痛や視覚障害、出血傾向、下肢の麻痺などの症状が現れることや、心臓や腎臓など全身の臓器にMタンパクの一部が沈着するアミロイドーシスを合併することもあります。

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