種類
心臓腫瘍は大きく“良性腫瘍”と“悪性腫瘍”に区分されます。
良性の心臓腫瘍
心臓腫瘍の大半は良性腫瘍です。良性腫瘍は転移がなく、それ自体が命に危険を及ぼすことはありません。しかし、発生部位に応じて心臓のはたらきに悪影響を及ぼすことがあるほか、腫瘍の一部が壊れて血液とともに流されることにより血管が詰まる“塞栓症”を引き起こすこともあるため、注意が必要です。
心臓の良性腫瘍には心臓粘液腫、脂肪腫、乳頭状弾性線維腫、横紋筋腫などさまざまな種類がありますが、中でももっとも割合が高いのは心臓粘液腫で、心臓に生じる良性腫瘍全体の50%程度、心臓腫瘍全体の30〜40%を占めるといわれています。心臓のあらゆる部分に発生する可能性がありますが特に左心房に発生しやすく、男性より女性に多くみられます。
また、心臓粘液腫のおよそ5%は血縁者に遺伝しやすい“家族性”であるといわれており、この場合は若い男性によくみられ、腫瘍が多発したり再発したりしやすいことが特徴です。
悪性の心臓腫瘍
悪性の心臓腫瘍には、心臓で発生した“原発性”の腫瘍と、ほかの臓器で発生したがんが転移して生じた“転移性”の腫瘍があります。いずれも心臓からほかの部位へ転移する可能性があり、命に関わることも少なくありません。
心臓原発の悪性腫瘍のうち、原発性の心臓腫瘍の95%は肉腫、ごく一部は悪性リンパ腫または心臓を包む心膜原発の悪性中皮腫が挙げられます。悪性中皮腫は若い人に多くみられる傾向があり、心臓肉腫、悪性リンパ腫は中年以降の人に多くみられます。原発性の心臓悪性腫瘍はかつて治療が困難で長期生存が難しい病気といわれていましたが、近年手術や化学療法、放射線療法を組み合わせて行う集学的治療の進歩により治療成績は改善傾向にあります。
なお、転移性の心臓腫瘍は、原発性の心臓腫瘍と比較すると30~50倍多いとされています。がん全体の10〜20%程度に起こるといわれており、特に心臓に転移しやすいがんとして白血病、悪性黒色腫、甲状腺がん、肺がん、肉腫などが挙げられます。
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