治療
治療法は、保存的治療と手術に大別されます。乳幼児期の場合や陥凹が軽度で症状もない場合は、特別な治療をせず経過観察となることもあります。
保存的治療
軽症かつ骨が比較的柔軟な若年層を中心に、陰圧吸引療法(バキュームベル療法)が選択肢となることがあります。これは、胸部に装着したカップ状の器具で胸骨を吸引し、時間をかけて陥凹を矯正する方法です。自宅で行うことができますが、2~3年ほど毎日2回(約1時間/回)、器具を装着する必要があり、健康保険の適応外です。手術を望まない場合や手術後に変形が残っている場合などに検討されます。
手術
漏斗胸によって心肺が圧迫されている場合や精神面への影響が大きい場合は、手術が検討されます。現在の標準的な手術は“Nuss法”と呼ばれる方法です。この手術では、胸の両側の切開創から、体内に金属製のバーを挿入し、内側から胸骨を持ち上げて陥凹を矯正します。入院期間は一般的に1~2週間程度が目安です。バーは2~3年ほど入れたままにした後に、再度手術を行い抜去されます。バーを入れている間は、バーがずれる場合があるため、接触の多いスポーツは避けたほうがよいといわれています。思春期の急激な成長によってバーのサイズが合わなくなることを防ぐために、急激な成長が終わった後に手術を行うことが推奨されています。
過去に行われていたRavitch法などは、現在では第一選択としては行われません。本邦で考案された肋軟骨の一部を切除再縫合して陥凹を引き上げる胸肋挙上術は、年間70例程度が行われています。漏斗胸の方の胸の形はさまざまであり、それに対応した手術はどのような術式でも技術的に難しい手術です。経験豊富な信頼できる医師に依頼することが必要です。
「漏斗胸」を登録すると、新着の情報をお知らせします