原因
脱毛症は毛周期の成長期が短くなったり、休止期が長くなったりすることで生じますが、症候性脱毛症は何らかの病気が原因となって毛周期の乱れが引き起こされます。原因となる病気はさまざまですが、代表的なものは以下の通りです。
ホルモンの異常
人の体には、さまざまなホルモンが存在しますが、そのなかでも甲状腺ホルモンは新陳代謝を促すはたらきがあります。このため、甲状腺ホルモンが低下する橋本病などでは、毛のもととなる毛母細胞の新陳代謝が低くなり、休止期が延長することで脱毛症が生じやすくなります。
また、妊娠による女性ホルモンの変化も脱毛症につながることがあります。女性ホルモンは通常、毛の維持を促す効果があります。このため、妊娠中に増加した女性ホルモンによって、本来なら退行期や休止期に突入するはずの毛が成長期のまま保たれ、出産後に女性ホルモンが減少すると、その古くなった毛が一気に退行期や休止期に突入して抜け落ちることがあります。一気に毛が抜け落ちるため、しばしば産後の脱毛症と捉えられます。
栄養障害
毛は体内のさまざまな栄養素を取り入れて作られます。このため、極端に栄養が不足している人は脱毛症になりやすいとされています。
特に重要な栄養素は、たんぱく質、ヨウ素、亜鉛、ビタミン類ですが、神経性食思不振症やがんなどで胃腸にダメージが加わっている状態の人に発症しやすい傾向にあります。
皮膚の病気
アトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎などの、皮膚に炎症を生じる病気でも脱毛が生じることがあります。これは、強いかゆみが生じて頭皮を始めとした皮膚を掻きむしったり、皮膚に炎症が生じたりすると、その部位の毛根にダメージを与えて成長期を短くすることが原因のひとつと考えられています。
薬の副作用
抗がん剤を始めとした薬のなかには、毛根を長く休止期にとどまらせる副作用を持つものがあり、これらを服用すると脱毛症を引き起こします。
その他
その他の原因として、精神的なストレスなどによって生じる抜毛症があります。これは、自分で自分の髪の毛を抜くことを繰り返す病気です。一般的には精神的なケアで抜毛症が改善すると新しい毛が生えますが、抜毛を繰り返すことで毛根に過度なダメージが与えられると永久的に毛が生えないこともあります。
また、皮膚に深い外傷や重度な熱傷が生じると毛根に強いダメージが加わって発毛能力を失い、脱毛症を引き起こすことがあります。
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