小児がんは、その発症年齢の特徴から患者さんの長い人生を考慮する必要があり、QOLへの配慮が特に必要な病気です。引き続き京都府立医科大学大学院小児外科学教授の田尻達郎先生に、神経芽腫の治療の考え方についてお伺いしました。
小児がんが大人のがんと最も大きく異なる点は、手術で全部を切除することが、必ずしもいい結果にはつながらないということです
神経芽腫の患者さんのほとんどは、まだ就学前の子どもたちになります。彼らは命を助けた後,その20年、30年先もずっと生きていくことになります。だからこそ、私たちは患者さんの命もQOLも助けるということをとても意識しています。
その観点から考えると、手術による合併症のリスクのほうが高くなってしまうと判断された場合、全摘出ではなくあえて部分摘出を選択することもあります。例えば、原発部位が骨盤部の場合、腫瘍の周囲には、排尿・排便を調節する神経がありますが、腫瘍の全摘出によって今後自力で排尿・排便ができなくなってしまうことが考えられる場合、全摘出は行いません。また、手術後に行う化学療法の妨げになる手術は避け、臓器温存を重視した手術を行います。
小児がんにおいては、そこに腫瘍があるから取りにいけばいい、というものではありません。数十年前までは、腫瘍は全部摘出するべきという方針で、浸潤している周囲の臓器も一緒に摘出されていました。例えば子宮を一緒に摘出した女の子は、生涯子どもを産むことができませんでした。しかし、現在は腫瘍の性質を遺伝子レベルでも分類できるようになってきています。その腫瘍の性質や悪性度をきちんと理解した上で、取り残してもその後の経過がいいと判断できれば「あえて全部とらない」という選択もするべきであり、その判断は非常に重要です。
九州大学大学院医学研究院 小児外科学分野 教授
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小児がんサバイバーの寿命と晩期合併症について
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