インタビュー

突発性難聴の症状と治療-突発性難聴の可能性を見逃さない!

突発性難聴の症状と治療-突発性難聴の可能性を見逃さない!
鈴木 伸嘉 先生

なのはな みみ・はな・のどクリニック 院長

鈴木 伸嘉 先生

この記事の最終更新は2016年02月15日です。

前の記事「突発性難聴とは-原因はいまだわかっていない」で、突発性難聴はまだ原因が解明されていない難病のひとつとご説明しました。突発性難聴ではどのような症状が現れるのか、さらにその診断や治療法について国際医療福祉大学三田病院の鈴木伸嘉先生にお話しいただきました。

  • 通常は一側性(左右いずれか片側のみ)の難聴
  • 発作は1回で、再発はほとんどない
  • 難聴が悪化したり改善したりする変動はみられない
  • 耳鳴りをともなうことが多い
  • 回転性または浮動性のめまいをともなうこともある

ゆっくりと進行する難聴の場合、聞こえにくさの程度が一定のレベルに達しないとないと難聴に気づかないこともあるため、突発性難聴ではごく短期間のうちに高度な難聴が生じていると考えられます。しかしながら、難聴が軽度であるか高度であるかは患者さんの主観によるところが大きいため、耳鳴り・耳閉塞感・めまいなどが主な自覚症状で、難聴の訴えがない場合でも、突発性難聴の可能性があることを見逃さないようにする必要があります。耳鳴りやめまいの症状を多角的に計測することで、突発性難聴の病態を解明しようという取り組みも行われていますが、まだ成果は出ていません。

突発性難聴の原因が明らかになっていないため、その診断法においても、急性感音難聴の中から原因の明確なムンプス難聴や外リンパ瘻の可能性が除外されたものを突発性難聴として診断するという、除外診断が基本となっています。しかし、これらの病気を正確に診断できる医療機関は限られるため、実際には突発性難聴と診断されている症例の中に、このような別の病気が含まれてしまっている可能性は否定できません。

突発性難聴の治療としてもっともよく行われるのはステロイド薬の投与です。医師によっては血管拡張剤のプロスタグランジンを使う場合もあります。また、麻酔科であれば星状神経節ブロックも選択肢に入ってきます。高圧酸素療法も行われますが、使用できる施設が限られているのでスタンダードな治療とはなっていません。いずれの治療法も十分なエビデンスがあるとはいえません。

突発性難聴の患者さんには基本的に入院をおすすめしていますが、点滴治療などのためだけではなく、過労や睡眠不足の方には、ゆっくり休んでいただくことも大切です。突発性難聴の発症には複合的な要因が関わっていて、生活習慣の影響も少なからずあるのではないかと考えられます。

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