さいきんせいずいまくえん

細菌性髄膜炎

最終更新日:
2024年02月01日
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2024/02/01
更新しました
2017/04/25
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概要

細菌性髄膜炎とは、細菌感染によって髄膜に炎症を引き起こす病気です。

髄膜は頭蓋骨(ずがいこつ)と脳の間にあり、外側から硬膜、くも膜、軟膜の3層からなります。脳の表面を覆っている軟膜とくも膜の間にくも膜下腔があり、その中にある脳脊髄液(のうせきずいえき)中に細菌が入り込み感染を起こすものを細菌性髄膜炎といいます。発症すると、発熱、頭痛、嘔吐、頸部(けいぶ)が硬くなり曲げにくくなる(項部硬直)、意識障害などの症状がみられます。

細菌性髄膜炎は、全国で年間約1,500人が発症していると推定されています。ウイルス性髄膜炎に比べ重症で、適切な治療を行っても後遺症が残る可能性が高く、死亡率も数〜10数%と高い病気です。そのため、発症が疑われる場合には診断を待たず、直ちに抗菌薬を用いた治療を開始する必要があります。

なお、細菌性髄膜炎の原因菌の多くは肺炎球菌とHib(インフルエンザ菌b型)とされ、ワクチン接種により予防が期待できます。

原因

髄膜に細菌感染が起こることが原因です。感染経路の多くは飛沫感染で、上気道などに原因菌が侵入し、血流に乗って髄膜に運ばれることで発症します。中耳炎副鼻腔炎などから直接細菌が侵入することもあります。

新生児がB群レンサ球菌に感染して発症する場合には、出産による産道感染も原因であると考えられています。なお、原因となる細菌は年齢によって以下のように異なります。

  • 新生児から生後3か月までの乳児……大腸菌、黄色ブドウ球菌、B群レンサ球菌、リステリア菌
  • 生後3か月以降の乳児から幼児……肺炎球菌、Hib(ヘモフィルスインフルエンザ菌b型)、黄色ブドウ球菌
  • 年長児から青年期……インフルエンザ菌、肺炎球菌、髄膜炎菌
  • 成人……肺炎球菌、髄膜炎菌
  • 50歳以上……肺炎球菌、リステリア菌、グラム陰性桿菌

このほか、免疫力が低下している状態では、肺炎球菌や緑菌、黄色ブドウ球菌、リステリア菌などが原因になることがあります。

症状

細菌性髄膜炎の症状は年齢で異なるケースもありますが、多くの場合で発熱、頭痛、嘔吐、項部硬直、意識障害がみられ、けいれんなどの神経症状を現すこともあります。なお、症状は数時間から数日の間に急速に悪化します。

新生児や乳児では典型的な症状が出現しにくく、頭痛も訴えることができません。発熱以外に嘔吐、食欲(哺乳力)低下、不機嫌、不活発などの症状がみられます。また、細菌性髄膜炎でみられる特徴的な症状である項部硬直は、新生児や乳幼児ではみられないケースもあります。

検査・診断

症状から細菌性髄膜炎が疑われる場合、直ちに採血し原因菌を特定します。次に、腰椎穿刺(ようついせんし)による脳脊髄液検査を行い、炎症の有無や程度を調べます。脳脊髄液検査を行う前には安全に検査を実施するため、頭部のCTやMRIなどの画像検査を先に行います。

治療

検査終了後、また脳脊髄液検査の実施までに時間がかかる場合にも、原因菌の特定を待たずに医師が経験的に有効と考えられる抗菌薬による治療を速やかに開始します。

その後、血液検査や脳脊髄液検査の結果が出て原因菌が特定されたら、その細菌にもっとも有効な抗菌薬に切り替えます。

抗菌薬の投与期間は原因菌や感染のもととなる病気によって異なり、2~3週間の投与で治癒する場合もあれば、長期に投与されるケースも少なくありません。また、治療には抗菌薬に加えて副腎皮質ステロイド薬を使用することもあります。

細菌性髄膜炎の治療は基本的に入院のうえ、集中治療が行われます。早期診断・早期治療が重要です。

予防

細菌性髄膜炎は死亡率が高く、治癒できた場合でも後遺症が残る可能性が高いため、事前に予防することがきわめて重要です。

細菌性髄膜炎の原因菌として多くを占める肺炎球菌やHibはワクチン接種によって高い予防効果が期待できます。いずれも乳児早期(生後2か月)から接種を開始し、1歳で追加接種を受けることが必要です。

また、万が一細菌性髄膜炎を発症した場合には、早期発見と早期治療が重要です。頭痛、発熱、嘔吐、意識障害、項部硬直、けいれんなどを認めた場合には速やかに医療機関を受診しましょう。

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