ろうじんせいなんちょう

老人性難聴

別名
老年性難聴,加齢性難聴
最終更新日
2017年04月25日
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2017/04/25
掲載しました。

概要

老人性難聴とは、年齢を重ねるにつれて生じる聴力の低下です。会話がしづらくなると他人とのつながりが億劫になり、ひきこもりぎみになります。最終的にはうつ病認知症の発症につながる危険性も秘めています。

原因

「正常に聞く」という動作は耳と脳の複雑な相互作用により達成されています。耳は解剖学的に外耳、中耳、内耳の三つに大きく分類できます。内耳にある蝸牛は聴力に重要な役割を果たします。外部からの音は空気振動として外耳を通過して鼓膜を経た後に、中耳へと伝わります。

中耳にはいくつかの骨が存在しており、「音」すなわち空気の振動は骨の振動として蝸牛へ伝播されます。また、蝸牛の中には液体成分が存在しており、骨の振動は液体の振動に変換され、蝸牛の中に存在する有毛細胞に到達します。有毛細胞は空気振動を脳細胞が理解可能な電気信号へと変換する重要な役割を担っています。加齢により有毛細胞が減少することが老人性難聴の原因です。

老人性難聴は、年齢が上がるにつれて発生頻度は高くなります。65歳以上で25〜40%、75歳以上で40〜66%、そして85歳以上では80%に達します。65歳以上で老人性難聴のある方は約1,655万人と推定されています。高血圧糖尿病喫煙、騒音暴露、心血管系疾患、脳血管系疾患、酸化ストレスなども危険因子と考えられています。

症状

いわゆる音のみでなく、「言葉の聞こえ」も低下することが特徴です。アラーム音やクラクションなどの単純音より、会話で使われる言葉の聴こえの方が悪化します。そのため、何かを言っているのは判るが、何を言っているのか理解できないという状態になります。

また、相手が話している内容を理解しにくくなるため、周囲の雑音などに気を取られやすくなり集中力も低下します。そのため、大勢で同時に話しているときに会話を聞き逃してしまいます。時間分解能の低下といって、ゆっくり話してもらわないと理解しづらいことも特徴です。老人性難聴が生じると会話がスムーズに出来なくなるため、他人との接触を避けるようになります。

家へのひきこもりにつながり、外部からの刺激が低下するため、うつ病認知症の発症につながることもあります。

検査・診断

純音聴力検査や語音明瞭度検査といった聴力検査を行います。純音聴力検査はヘッドフォンを当て、125Hz〜8000Hzの各音程領域を流して、どの大きさの音が聞こえるか調べる検査です。老人性難聴では両側性に障害を認め、特に高音領域が悪化しています。言葉の聞こえがどの程度かは語音聴力検査で評価します。「シ、チ、キ」などの単音を聴いてもらい、正確に語を判別できるか調べます。老人性難聴の方は正答率が著しく低下します。

治療

進行してから改善することは困難です。軽度のときから「補聴器を使って聴覚刺激をきちんと入れる」「大きな音を避ける」「バランスのよい食生活を心がける」「適度な有酸素運動を行う」「禁煙を徹底する」などを行うと進行の予防につながる可能性があります。

補聴器を効果的に使用するには、難聴発症後早くから使い始め、訓練を行うことが大切です。ただし、老人性難聴では聞こえる音が大きくなっても言葉を完全に理解できるわけではありません。また、補聴器を導入することで聞こえる雑音が増え逆に聞き取りが悪くなることもあります。使用に際しては医師や補聴器屋さんとよく相談することが重要です。両側高度難聴となった場合は人工内耳も選択肢となります。

 

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