血管肉腫とは皮膚にできるがんで、がんの中でも非常に珍しいタイプのものです。全身にできる可能性がありますが、多くは頭や首の皮膚に発生します。まれな病気であるために研究があまり進んでおらず、治療が難しいがんのひとつです。一般的に予後不良であることから、早期に治療を始めることが重要となります。
それでは、血管肉腫は具体的にどれくらい珍しい病気なのでしょうか。また、どのような症状が現れるのでしょうか。
血管肉腫とは血管やリンパ管が悪性化したもので、悪性軟部腫瘍と呼ばれるがんの一種です。悪性軟部腫瘍は脂肪、筋肉、神経などの軟部組織にできるがんであり、悪性軟部腫瘍のなかでも非常に多くの種類があること、いずれも発症頻度が極めて低いことが特徴です。
まれな病気であることから発症原因や治療方法については、あまり研究が進んでいません。また、進行が速く再発や転移を起こしやすいことから、悪性度の極めて高いがんであるといわれています。
血管肉腫などの悪性軟部腫瘍は非常にまれながんであり、悪性軟部腫瘍全体で見ても罹患率は10万人に3.6人程度といわれています。数が少ないことから血管肉腫単体の正確な罹患率は明らかになっていませんが、悪性軟部腫瘍の1~2%程度と考えられています。
好発年齢は60歳以上の高齢者で、女性よりも男性に多い傾向があります。
血管肉腫の原因や特性については不明な点が多いものの、リンパ浮腫と放射線照射の二つが発症に関わっている可能性が考えられています。
リンパ浮腫とは、リンパの流れが悪くなることで起こる浮腫です。がんの手術などによって、リンパ節を取り除いたときに発生します。このリンパ浮腫に続いて血管肉腫ができることがあるといわれており、特に乳がん治療を行った場合に頻度が高いことが知られています。
がん治療のために放射線照射を行うことをきっかけに、血管肉腫ができることがあるといわれています。
上記のほか、けがが発症のきっかけになるとも考えられていますが、詳しいことは分かっていません。血管肉腫のほとんどはこのように原因が不明なものであり、特発性と呼ばれます。
初期から見られる代表的な症状は皮膚の表面の赤み(紅斑)や青あざ(紫斑)です。多くの場合、痛みやかゆみを伴いません。進行とともに皮膚の盛り上がりや血豆のようなものが見られるようになり、さらに大きくなると出血することもあります。
血管肉腫は全身の皮膚にできる可能性がありますが、特に頭や首などの頭頸部にできることが多いといわれています。また、血管肉腫の症状は一部分だけではなく、複数の箇所に点在して見られることもあります。
一般的に、がんの予後を反映する指標として5年生存率が用いられます。ただし、血管肉腫はまれながんであるため、正確な5年生存率は明らかになっていません。ある研究によれば、国内の血管肉腫患者の5年後生存率は17.5%程度であり、早期に治療を開始するほどよい予後が得られることが報告されています。国内のがん患者の5年生存率が62.1%であることを踏まえると、血管肉腫は予後不良ながんであるといえるでしょう。
しかし、がんの範囲が小さく、遠隔転移のない状態で治療を始めれば根治が見込めることもあります。血管肉腫は進行が速いため、初診後も速やかに検査を進め、治療を始めることが大切です。
血管肉腫は悪性度が高く、どれだけ早く治療を開始できるかが予後を大きく左右します。皮膚の赤みや青あざがなかなか消えない場合は、痛みやかゆみがなくても皮膚科を受診し、相談するようにしましょう。
近畿大学医学部皮膚科学教室 皮膚科 主任教授
大塚 篤司 先生の所属医療機関
関連の医療相談が10件あります
右足血管腫治療の為 硬化療法手術後 足首したむくみがひどい
6/26日に右足血管腫の治療の為、日帰り手術で硬化療法手術をしました 手術箇所は右足ふくらはぎと 足首下のくるぶし真下の足側面の2箇所です。26日夜より足首下の足が全体的にむくんでしまい。指で押すとぺこんと凹んでしまいます。 原因はなんでしょうか? ほっといてむくみは治りますか? 尚手術内容は 私の右足全体の血管が奇形で、いろんな箇所より血管腫ができてしまい、最近は血栓もできて、その度に硬化療法で治療しています。 何度も手術していますが、こんなに足がむくんだのは初めてです 助言をお願いしたいです
高脂血症で要医療
昨年の健康診断で高脂血症(要加療)の診断が出ています。 その後特に通院や再検査はしておらず、今年も同様の結果が出た場合は通院を考えているのですが、どのような病院にかかれば良いのか分かりません。 昨年の結果は中性脂肪が要指導、LDLコレステロールが要医療でした。 肝機能のγ-GTPが要指導です。習慣的な飲酒はしていません。 肉親もコレステロール値が高く、食生活の影響もあるかと思いますが、もしかしたら体質的に高い可能性も考えています。 ご指導いただければ幸いです。
左臀筋内脂肪腫における普段の生活、手術、入院期間等について。
骨盤内がんドックをうけたところ、癌の結果は問題なかったのですが、左臀筋内脂肪腫疑いと結果が出ました。「左腸骨の外側、臀筋内に脂肪と等信号の腫瘤あり。脂肪腫と思われます。サイズは大きいが脂肪以外の軟部組織など脂肪肉腫を積極的に疑う所見は指摘できず。」画像を見るとかなり大きいようで、半年前くらいから時々ある下腹部、子宮周辺の痛みの原因はこれだとわかり早く手術をしたいと思っていますが、なかなか病院の予約が取れず、まして緊急性もないようでこのご時世では手術するのも先になりそうです。サイズは10cm以上はありそうな感じです。①一般的に手術、入院期間、等はどのくらいか例などありますでしょうか。②また普通に生活で破れたり問題はないのでしょうか。③体力維持、ダイエット目的でストレッチ、筋トレ水泳等を行っていますが問題はありますでしょうか。
鼻から茶色い液体が出る
数年前から時々、鼻から茶色い液体が出てくる症状があります。鼻の調子が悪く喉が痛かったり、副鼻腔炎のような症状が出た後に起こることが多いのですが、知り合いが似たような症状で受診した際に「髄液が出てきてる」と言われたらしいので、髄液ではないかと心配になり相談しました。 何かしらの病気による症状なのか、受診するとすれば何科に行けばよいか知りたいです。
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「血管肉腫」を登録すると、新着の情報をお知らせします
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。