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写真でみる血管肉腫の症状とは〜皮膚に発生する稀少ながん〜

写真でみる血管肉腫の症状とは〜皮膚に発生する稀少ながん〜
大塚 篤司 先生

近畿大学医学部皮膚科学教室 皮膚科 主任教授

大塚 篤司 先生

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血管肉腫とは皮膚(ひふ)にできるがんで、がんの中でも非常に珍しいタイプのものです。全身にできる可能性がありますが、多くは頭や首の皮膚に発生します。まれな病気であるために研究があまり進んでおらず、治療が難しいがんのひとつです。一般的に予後不良であることから、早期に治療を始めることが重要となります。

それでは、血管肉腫は具体的にどれくらい珍しい病気なのでしょうか。また、どのような症状が現れるのでしょうか。

血管肉腫とは血管やリンパ管が悪性化したもので、悪性軟部腫瘍(あくせいなんぶしゅよう)と呼ばれるがんの一種です。悪性軟部腫瘍は脂肪、筋肉、神経などの軟部組織にできるがんであり、悪性軟部腫瘍のなかでも非常に多くの種類があること、いずれも発症頻度が極めて低いことが特徴です。

まれな病気であることから発症原因や治療方法については、あまり研究が進んでいません。また、進行が速く再発や転移を起こしやすいことから、悪性度の極めて高いがんであるといわれています。

血管肉腫などの悪性軟部腫瘍は非常にまれながんであり、悪性軟部腫瘍全体で見ても罹患(りかん)率は10万人に3.6人程度といわれています。数が少ないことから血管肉腫単体の正確な罹患率は明らかになっていませんが、悪性軟部腫瘍の1~2%程度と考えられています。

好発年齢は60歳以上の高齢者で、女性よりも男性に多い傾向があります。

血管肉腫の原因や特性については不明な点が多いものの、リンパ浮腫(ふしゅ)と放射線照射の二つが発症に関わっている可能性が考えられています。

リンパ浮腫とは、リンパの流れが悪くなることで起こる浮腫(むくみ)です。がんの手術などによって、リンパ節を取り除いたときに発生します。このリンパ浮腫に続いて血管肉腫ができることがあるといわれており、特に乳がん治療を行った場合に頻度が高いことが知られています。

がん治療のために放射線照射を行うことをきっかけに、血管肉腫ができることがあるといわれています。

上記のほか、けがが発症のきっかけになるとも考えられていますが、詳しいことは分かっていません。血管肉腫のほとんどはこのように原因が不明なものであり、特発性と呼ばれます。

初期から見られる代表的な症状は皮膚の表面の赤み(紅斑)や青あざ(紫斑)です。多くの場合、痛みやかゆみを伴いません。進行とともに皮膚の盛り上がりや血豆のようなものが見られるようになり、さらに大きくなると出血することもあります。

血管肉腫は全身の皮膚にできる可能性がありますが、特に頭や首などの頭頸部(とうけいぶ)にできることが多いといわれています。また、血管肉腫の症状は一部分だけではなく、複数の箇所に点在して見られることもあります。

一般的に、がんの予後を反映する指標として5年生存率が用いられます。ただし、血管肉腫はまれながんであるため、正確な5年生存率は明らかになっていません。ある研究によれば、国内の血管肉腫患者の5年後生存率は17.5%程度であり、早期に治療を開始するほどよい予後が得られることが報告されています。国内のがん患者の5年生存率が62.1%であることを踏まえると、血管肉腫は予後不良ながんであるといえるでしょう。

しかし、がんの範囲が小さく、遠隔転移のない状態で治療を始めれば根治が見込めることもあります。血管肉腫は進行が速いため、初診後も速やかに検査を進め、治療を始めることが大切です。

血管肉腫は悪性度が高く、どれだけ早く治療を開始できるかが予後を大きく左右します。皮膚の赤みや青あざがなかなか消えない場合は、痛みやかゆみがなくても皮膚科を受診し、相談するようにしましょう。

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