症状
22q11.2欠失症候群の症状は非常に多様ですが、典型的な症状は以下のとおりです。
典型的な症状
- 発達遅延……精神的な発達の遅延がみられることがあります。
- 特徴的な顔つき……上瞼が腫れぼったい、目の間が離れている、鼻が平たい、耳が突出している、額が狭いことなどが挙げられます。
- 粘膜下口蓋裂……口の粘膜の下の筋肉が断裂している状態で、発話などに異常が生じることがあります。
- 胸腺低形成……骨髄で作られた未熟なリンパ球が正常にはたらくようにするための組織である胸腺が未熟であることで、免疫の低下につながります。
- 低カルシウム血症……血液中のカルシウム濃度を維持するための副甲状腺ホルモンを分泌する副甲状腺が未熟であることで、カルシウム濃度が低下し、体のしびれ、手指の無意識な筋収縮、けいれんなどの症状を引き起こすことがあります。
主な合併症
22q11.2欠失症候群では、心臓や大血管の形成に関わるTBX1遺伝子が欠失しているため、これらの臓器に関する病気を合併しやすくなります。
心臓に関する合併症――ファロー四徴症など
ファロー四徴症とは心室中隔欠損・大動脈騎乗・漏斗部狭窄および肺動脈狭窄・右室肥大という4つの特徴を持った心臓の病気です。肺の血流が減少することにより低酸素血症が起こり、唇や爪床が紫色になるチアノーゼという症状がみられることがあります。
加えて生後2か月以降はチアノーゼ発作(無酸素発作)が生じることもあり、時に命に関わります。チアノーゼ発作では急な不機嫌やチアノーゼ、呼吸困難などが起こるほか、重症化すると意識を失ったり、けいれんが起きたりします。最初は哺乳後や入浴後、よく眠って起きた時などにみられ、重症化すると一日中生じるようになることもあります。
大血管に関する合併症――大動脈弓離断など
大動脈は心臓から上方向に出たあと、上半身へとつながる血管を出した後に、ヘアピン状に曲がり、下行大動脈となって下半身に血液を送ります。大動脈離断はヘアピン状の弓部大動脈の途中やその直後が途絶している疾患です。生まれた時から肺の血流量が増加することにより心不全症状が現われます。生まれた直後は動脈管という血管が肺動脈から下行大動脈につながって下半身への血流が保たれていますが、動脈管はその後閉じてきて下半身への血流が少なくなってしまい、命に関わることもあります。
その他の合併症
など
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