院長インタビュー

分け隔てない医療で地域に深く根ざす東京都済生会中央病院

分け隔てない医療で地域に深く根ざす東京都済生会中央病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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東京都港区にある社会福祉法人 恩賜財団 済生会支部東京都済生会 東京都済生会中央病院(以下、東京都済生会中央病院)は、1915年に開院して以来、100年以上にわたり地域の保健、医療、福祉を支えている伝統的な総合病院です。

次の100年を見据えてさらなる飛躍を目指す同院の特徴について、病院長である海老原(えびはら) (たもつ)先生にお話を伺いました。

当院の母体である社会福祉法人 恩賜財団 済生会は「生活に困窮して医療を受けられない人々にも救いの手を差しのべるように」という明治天皇の済生勅語をきっかけに設立されました。

当院は、日本最大の社会福祉法人である済生会グループの中でも二番目に古く、1915年に本部直轄となる恩賜財団 済生会芝病院を開院したことが始まりです。初代院長には近代日本医学の礎を築いた北里 柴三郎が就任し、これまで100年以上にわたって保健、医療、福祉の面から地域医療を推進してきました。

現在は、36の診療科をもつ総合病院として専門的な治療を行うほか、災害拠点病院としてまた救命救急センターとして三次救急医療を提供しています。また、がん治療においては東京都がん診療連携拠点病院に指定されており、緩和ケアを含めた包括的な治療が強みです。診療範囲は多岐にわたりますが、主に血液内科や腫瘍内科を筆頭に豊富な実績があります。

2024年4月には心臓血管センターやロボット手術センターを新設しました。医療機器の放射線治療装置(リニアック)や手術支援ロボット“hinotori”などを活用し、医療体制の拡充に取り組んでいます。

当院は“済生の精神”に基づき、分け隔てなく公平に医療を提供することを使命としています。そのため開院から100年以上経った今でも、路上生活者のために40床の専用病床を確保しています。

もちろん路上生活者の方だけでなく、救命救急センターではどんな患者さんも24時間体制で受け入れています。脳卒中センターのSCU(脳卒中集中治療室)も常に満床で、一人ひとりの患者さんに対して常に全力で向き合っています。

当院は、地域の皆さんに対して職員一同で考えた三つの約束を打ち出しています。それは“治し支える医療”の実現に向けた“治しながら次のことを考えます”“あなたの「いいね」を大切にします”“地域の絆をより深めます”という約束ごとです。

私たちは高度急性期の医療機関として、一日も早い患者さんの回復を最優先に考え、最善の治療とケアに専念しなければなりません。しかし、それだけでは不十分です。治療前の段階から患者さんの治療後の日常生活を視野に入れ、福祉、介護、かかりつけの先生と連携していくことが重要です。また、患者さんやご家族からの声に耳を傾け、患者さんにとって最善の治療を提供できるように努めなければなりません。

そのような約束を実践することにより、少しずつ私たちの思い描く理想の病院に近づいているように感じます。来院された全ての患者さんに“当院で治療を受けてよかった”と思っていただけるよう、日々地道な医療活動に励んでいます。

当院は、地域の方々との絆をさらに深めるため、施設の1階にユニクロを誘致しました。全国的に見ても非常に珍しい取り組みかと思います。患者さん以外でユニクロを目当てに来院される方々も見受けられ、地域交流の場となっています。

着脱しやすい前開きの女性用下着など、病院ならではの品ぞろえも特徴的です。ユニクロの誘致は職員のアイデアから生まれた企画でしたが、他の済生会グループでもイオン、無印良品、コープ(生活協同組合)とも続々と提携し、各施設が地域のインフラとして機能し、住民のみなさんの生活に役立つ企画を生み出していくことと思います。

MN

当院の理念は、分け隔てなく全ての人々に医療を提供することであり、それは開院してから100年以上にわたり一貫しています。その理念を守りながら、これからは新たな100年を見据え、より質の高い医療を提供できるように挑戦していきます。

当院のように伝統的な病院は敷居が高いと思われるかもしれませんが、いつでも気軽に頼れる身近な存在でありたいと考えています。病気の治療だけでなく医療や介護のことなど何でもご相談いただけるように、今後も地域の方々との絆をより一層深め、誠実な医療活動に努めて参ります。

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