西横浜国際総合病院は、横浜市南西部に位置し、自然豊かな丘陵地に囲まれたロケーションの病院です。 同院は“安心・安全の医療・介護 ~患者さん、利用者さんと共に~”という理念を掲げて予防医療から急性期・回復期また在宅医療まで幅広い医療・サービスを提供しており、地域の方々が安心して生活できるよう一人ひとりの尊厳に寄り添った医療の取り組みを行っています。同院の医療の特徴について、院長の三瓶建二(さんぺい・けんじ)先生にお話を伺いました。
西横浜国際総合病院は昭和63(1988)年に西横浜国際病院としてスタートし、開設35年を迎えた現在はさまざまな科に常勤医を配置し、188床を有する総合病院となっています。
近隣には高度急性期病院が複数存在しているため、当院は一般急性期医療を行いつつ回復期医療にも力点を置き、当院が属する医療法人横浜博萌会が運営する整形外科クリニックや在宅クリニック、さらには訪問看護ステーションなどの介護施設とも緊密に連携しながら回復期〜退院後のケアサポートまで重点的に行っております。
当院があるこの戸塚区南西部は、高齢化率が40%近いエリアであり、いわゆる「老老介護」も多くなっています。このような地域の特性を踏まえ、患者さんが自宅での生活が楽にできること目指した地域医療のハブとなるべく、今後も当院は進化し続けたいと考えています。
当院の耳鼻咽喉科は横浜市立大学耳鼻咽喉科の関連病院として、耳鼻咽喉科部長の河野敏朗先生を中心に、幅広い疾患に対し迅速な診断治療を行っています。
特に突発性難聴の治療には力を入れています。突発性難聴は、40~50代を中心に年間約4万人が突然発症する原因不明の難聴ですが、発症から治療開始が早ければ早いほど効果が高いことがわかっている病気です。
症状に応じた治療法があり、その中の1つである高気圧酸素療法は気圧を高めたカプセルに入り、100%濃度の酸素を吸入することで体内に大量の酸素を送り込む治療方法です。当院には2台(2024年5月からは3台)の高気圧酸素治療装置があり、年間5,000回ほど、約600人の患者さんに対して治療を行っています。
この治療はしっかりとした治療の運用が鍵になりますが、これを維持することは難しいとされています。当院では医師と技師による緊密な連携によって治療効果を上げており、その実績を学会発表などでも公開し、横浜市内だけでなく県内、県外からの患者さんが当院の治療を求めてお越しになっています。
当院は総合病院として近くの高度急性期病院と連携しながら、地域の皆さんの急な病気に対してQOL(生活の質)を重視した高度で専門的な医療を提供しています。また、急性期の治療を終えた患者さんにリハビリテーションなどの回復期医療を提供するほか、通院が難しい方への訪問診療も行っています。特に在宅医療については常勤医師7名、非常勤医師4名という人数が交替で訪問診療や往診を行っているほか、泉区にある横浜市営地下鉄ブルーライン下飯田駅の駅前に2023年6月に「にしよこ在宅クリニック」を拠点として開設し、泉区を中心に在宅医療を必要とされる方への訪問診療を行っています。にしよこ在宅クリニックは24時間365日体制の当院がバックアップに入っているのですが、総合病院が患者さんをバックアップするのは珍しく、患者さんやご家族にとっては心強いのではないでしょうか。
高齢化が進むと転倒、関節の痛みなどから整形外科のニーズが高くなりますが、泉区の下飯田駅周辺では整形外科專門のクリニックがありませんでした。そこで我々はにしよこ在宅クリニックとともに「にしよこ整形外科クリニック」を開設し、その状況を改善しようとしています。
にしよこ整形外科クリニックの特長は、クリニックでありながら診断から治療、リハビリテーションまで我々西横浜国際総合病院との連携のもと総合病院レベルの医療を提供できることです。これによって、クリニックを受診された方で手術が必要な方はすぐに西横浜国際総合病院を紹介し、クリニックの院長が病院ですぐに手術を行うことができたり、手術後のリハビリはご自宅から近いクリニックで受けることができたりと、より患者さんに寄り添った医療を提供できるようになりました。
我々は予防にも力を入れています。たとえば、近年はポリープや大腸がんの発生割合の増加しており、大腸内視鏡検査は検査結果で便潜血がでている方はもちろん、40~50代ごろで症状がない若い方にも積極的に受けてほしいと考えています。当院では大腸ドックのほか、脳ドック、通常の人間ドックなどを用意して早期発見のお手伝いをしています。
当院では、在宅医療の方に特にご利用いただいている「人生会議ノート」の作成を推奨しています。
社会全体で高齢化が進む中、普段からかかりつけ医や病院で診察を受けている方でも急に大きな病気にかかられることがあると思います。そんなときになってどのような医療を受けるべきか迷わないよう、事前に自分の望む生き方や医療の受け方についてご家族とも話し合い、記録しておくことが重要です。
患者さんの意識がない状態や認知機能が低下した際の治療の選択は、当然ご家族と相談しながら行うものの、患者さんご本人の意思にそった医療を提供することは倫理的な観点からも大切なことです。特に認知機能が低下した場合にそなえ、自分が判断できるうちに家族と話し合いご自身がどのような医療を望むのか、意思表示として記録しておくのは大切ではないでしょうか。
しかし、いざ書こうとするとどんなことをどのように書けばいいのか、迷ってしまう方もいると思います。実は私自身も、迷い悩みながら書き上げました。書き方に迷ったときの参考として私自身の人生会議ノートを公開しているので、ぜひご覧ください。
→三瓶先生の人生会議ノート https://www.nishiyokohama.or.jp/img/ebook/?book=acp-sanpei202311_01.epub
今の時代は、患者さんもインターネットなどの情報に慣れている方が多いでしょう。地域の皆さんに当院を上手に使っていただくために、我々は広報活動にも力を入れています。
当院の広報誌「にしよこさんぽ」( https://www.nishiyokohama.or.jp/about/report/ )では、当院で行っている治療や医師の紹介はもちろんのこと、病気ではない方でも読んでいただけるよう、院内の管理栄養士による旬の素材を用いたレシピや「にしよこさんぽ道」という地元・横浜戸塚の歴史にふれるコーナーなども掲載しています。
また、志を同じくする他院の活動を知り、より地域の方との距離を縮める動きができるよう、「病院マーケティングサミットJAPAN」という医療広報シンポジウムにも参加して知見を深めています。
このような取り組みを通じて、少しでも多くの患者さんに当院の取り組みを知っていただき、いざというときに頼っていただけたら幸いです。
当院は「安心・安全の医療・介護」という理念実現を掲げています。
予防から始まり急性期からの回復期・在宅医療や介護まで、ひとつの施設で完結できる医療を展開することで、地域の皆様が安心して生活の質を維持しつつ慣れ親しんだ場所で暮らせるように努めております。
これからも引き続き面倒見の良い病院として、迅速できめ細やかな医療サービスを提供できるよう尽力いたします。
三瓶 建二 先生の所属医療機関