新潟県上越市に位置する独立行政法人 労働者健康安全機構 新潟労災病院(以下、新潟労災病院)は、1958年に創立され、急性期医療から慢性期医療までを担う病院として、地域に根ざした医療を提供してきました。今後は、さらに地域の方々に求められる医療を提供するために、人材の確保などに前向きに取り組んでいると、院長である入江誠治先生はおっしゃいます。今回は、入江先生に、新潟労災病院の取り組みや今後の展望についてお話を伺いました。
1958年創立当時、この地域では、多くの化学工場などの設立に伴い労働災害が増え、地域の方々から労災病院の招致を望む声が多く寄せられていました。当院は創立から現在まで、労働災害のみならず地域医療支援にも貢献してきました。引き続き、地域の方々から求められる病院であり続けるために、整形外科、脳神経外科、腎臓内科、歯科口腔外科を中心とした一般診療に加え、労災病院として果たすべき勤労者医療も積極的に行ってまいります。
整形外科の分野では、脊椎・脊髄や股関節、膝関節、手関節などの専門分野に特化した診療体制を展開しています。子どもからご高齢の方まで、緊急性のある病気から慢性の病気まで幅広く対応しています。
また、スポーツ整形外科の分野では、前十字靭帯の再建や半月板損傷時の手術も積極的に行っています。日本整形外科学会認定整形外科専門医をはじめ日本手外科学会認定手外科専門医など専門的な知識を持つ医師やスタッフが、チーム一丸となり診療に努めています。
脳神経外科では、回復期や慢性期の患者さんを中心に受け入れています。脳卒中の後遺症がある患者さんなどに対して、退院後も継続した医療を提供しています。
当院で実施しているA型ボツリヌス毒素による治療とは、脳卒中などの後遺症により手足が固まってしまった患者さんに対して、A型ボツリヌス毒素を注射して筋肉の緊張を和らげる効果を期待するものです。患者さんの生活の質の向上を目標とし、患者さんの状態を確認しながら治療を進めています。
当院の歯科口腔外科では、子どもからご高齢の方まで幅広く診療しています。また、糖尿病などの併存疾患を有する患者さんや心身の障害をお持ちの方にも安心して治療を受けていただける体制を整えています。
必要な場合には、血液検査などを行い患者さんの状態をしっかり把握したうえで治療に臨みます。治療中は、血圧計や心電図をつけておくことで、体調や容態の変化に迅速に対応できるようにしています。
また、障害などがある患者さんに対しては、必要に応じて精神鎮静法や全身麻酔などを実施し、恐怖心を抑えた状態で治療を受けていただくことを心がけています。
この地域の抱える人口減少、少子高齢化、医師偏在による医師不足は、当院にとっても大きな課題であり試練となっています。
しかしながら、困難に屈することなく、学びの場としてふさわしい環境を整備し、この地域ならではの経験を活かせる新たな教育研修体制を確立することで、若手医師にも魅力ある病院へと変革を遂げたいと思います。
医療者の思いを尊重し、地域住民の声に応えつつ、回復期医療・在宅医療・緩和ケアなどに注力し、医療者にも地域住民にも魅力ある地域医療の現場となるべく尽力します。
奈良時代からの歴史を誇る直江津で、創立以来60年、社会の変遷の中で病院の在り方を模索しつつ、地域の皆さんにとって本当に必要な医療の提供を目指してまいりました。
待ったなしの高齢者医療や、今、改めてその重要性が叫ばれている産業保健活動など、直江津が今後も住みやすい、魅力ある町であり続けられるよう、当院ならではの地域密着型の医療活動を展開してまいります。
社会情勢の変化と伴に医学の進歩はますますスピードアップしていくことでしょう。常に患者さんやご家族にとってベストな医療とは何かを考え、それを提供できるよう、日々研鑚に励んで下さい。自分の医療によって平穏な日常を取り戻した患者さんやご家族の笑顔は、やがて皆さんの宝となるでしょう。
そして当院は、あなた方が若い力を存分に発揮し、成長する場となることを望んでいます。
独立行政法人労働者健康安全機構 新潟労災病院 前院長
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まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。