日本赤十字社 高山赤十字病院(以下、高山赤十字病院)は、1899年に飛騨三郡立大野郡病院として設立され、日本赤十字社 岐阜県支部斐太療院として1922年に移管されたのが始まりです。“ふるさとを守る医療”を目指して、救急医療、がん診療、地域医療を柱に、岐阜県高山市で診療を行っています。また日本赤十字社の病院として、災害現場や紛争地域などでも医療活動を展開しています。
超急性期に対応する三次救急医療機関でもある同院の診療体制や地域医療における役割などについて、院長の清島 満先生にお話を伺いました。
当院には飛騨地域で唯一、厚生労働省によって認可された救命救急センターが設置されており、近隣から救急患者さんが搬送された際に対応できるように当直医などが待機しています(2020年2月時点)。当院での対応が難しいときは岐阜大学医学部附属病院などとも連携を取ります。
このように、さまざまな体制を整えて緊急時になるべく対応できるように心がけ、地域の皆さんが安心して暮らせる毎日を提供できるように努めています。
当院は厚生労働省から地域がん診療連携拠点病院に指定されています。各科の医師、薬剤師、看護師など多職種のスタッフでチーム医療を行っているほか、当院でより専門的ながん治療が行えるよう、ほかの医療機関と連携しながら医療レベルの向上を図っています。
血液内科では、2017年のクリーンルーム設置によって造血幹細胞移植など免疫力低下を伴う治療に対応できるようになり、治療の幅が広がりました。
当院では、外科の中でも消化器の分野を強みとしています。手術の方針を決める際には患者さんの希望を尊重しつつ、医師だけでなく看護師などの他職種も含めながら内科をはじめとする他科と横断的にカンファレンスを行っています。また低侵襲な内視鏡手術も積極的に取り入れ、患者さんの身体的負担が軽減できるように努めています。
救命救急センターを開設している当院では、外傷を含めた緊急手術が多いことも特徴です。
岐阜県地域周産期母子医療センターに認定されている当院は、母子両方の緊急時にも対応しています。他院での対応が難しい妊婦さんや赤ちゃんの受け入れも行っており、飛騨地域の産婦人科領域を支えられるよう努めています。また、慣れ親しんだ地元で出産したいという妊婦さんの要望に応えるため、里帰り出産を受け付けています。
当院は日本赤十字社の病院としてその使命を果たせるよう、災害時には県からの要請に応じて災害派遣医療チームを編成し、現地へ駆け付けます。また、医師や看護師などから構成される“救護班”がいつでも現地へ向かえるよう待機しております。
国際援助については、研修を受けた医療スタッフが保健衛生分野を中心に災害や疫病などに対する支援活動を行います。
これらの活動には日々の診療における経験だけでなく、訓練も必要です。いつでも対応できるよう各種訓練に参加し、器材の点検も定期的に行っています。
地域包括ケア病棟と回復期リハビリ病棟では、治療が終わってすぐに自宅へ帰るのが不安な方に寄り添い、安心して退院できるようお手伝いいたします。
地域包括ケア病棟では、急性期を脱した患者さんがスムーズにご自宅や施設で療養できるように、経過観察やリハビリテーションなどを行います。
回復期リハビリ病棟は、骨折や脳の障がいなどで身体機能の訓練が必要な患者さんを対象としています。術後に早い段階から集中的にリハビリを行うことで、日常生活動作に支障が出ないよう身体機能回復を図ります。
どちらの病棟も退院後は通院リハビリにてフォローを行い、無理なく社会復帰していただけるよう努めます。
2011年、当院は岐阜県から地域医療支援病院として承認されました。病診連携・病病連携では、患者さんの状態やそれぞれの病院の機能に合わせて、紹介患者さんの受け入れと逆紹介を行っています。
今後もほかの医療機関との連携をいっそう強化し、地域の皆さんにより充実した医療サービスを提供できるようにしていきたいと考えております。
当院は、臨床研修病院として研修医の育成を行っています。風邪から救急搬送例までさまざまな患者さんがいらっしゃり、初期研修の段階から指導医と共に患者さんを担当して診療について総合的に学べるので、研修医の方にとって当院は幅広い症例を勉強できる環境なのではないかと思います。
また高山市は観光地であることから、外国の方も多く来院されます。日本語でのコミュニケーションがスムーズにいかないなど、さまざまな背景をお持ちの患者さんを診ることも、医師としてよい経験となるのではないでしょうか。
当院独自の取り組みとして、スピリチュアル研修も行っております。これはお寺に宿泊し、死生観について議論する研修です。
このように当院にはさまざまな研修プログラムがあり、その中で研修医が着実にレベルアップできるよう、勉強会などのサポート体制も整えております。
当院は院内託児所“さくらっこ”を開設し、スタッフが働きやすい環境づくりに努めています。当院スタッフのお子さんのみを対象にお預かりしているので、気兼ねせずお子さんを連れて通勤していただければと思います。
知識や技術を身につけるだけでなく、患者さんの気持ちを理解できる医師を目指してもらいたいと思います。患者さんは、仕事や家族のことなどさまざまな悩みを抱えながら治療を受けられています。事情に深く踏み込むという意味ではありませんが、よりよい診療をするためには患者さんの気持ちを理解したうえで臨むことが大切だと思います。
また、分からないことがあれば指導医にすぐ質問してください。医師仲間を大切にし、コミュニケーションをとることも、医師としての成長に欠かせません。
さらに「何でも経験してみたい」という好奇心も大切です。好奇心があると、吸収できる情報量が違ってきます。さまざまな経験を積み重ねて、患者さんのバックグラウンドまで気配りできるような医師を目指しましょう。
当院には明治時代からの長い歴史があり、三世代、四世代前から通ってくださっているご家族もいらっしゃいます。いつでもかかれる病院として頼りにしていただける存在であり続けたいと思っています。地域の皆さんのための病院ですから、改善してほしい点や分からない点があれば、遠慮なく教えていただきたいですね。
身近な病院として、また日本赤十字社のブランドを背負う病院として、皆さんのお役に立てるようにこれからもまい進していきたいと思います。
高山赤十字病院 院長
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。