院長インタビュー

小倉から全国へ――循環器を中心に高度・急性期医療を担う小倉記念病院

小倉から全国へ――循環器を中心に高度・急性期医療を担う小倉記念病院
腰地 孝昭 先生

一般財団法人平成紫川会 小倉記念病院 理事長/病院長

腰地 孝昭 先生

目次
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福岡県北九州市にある小倉記念病院は、656床の二次救急指定病院です。循環器疾患に特に強みを持ち、ライブデモンストレーションを通じて九州のみならず全国へも影響範囲を広げています。2010年に新築移転後、2014年に一般財団法人の私立病院として再スタートした同院。北九州市内の人々を掲載したユニークなホームページなどの広報活動は、医療業界でも病院のブランディングの成功例と評価されています。

そんな同院が現在提供している医療や今後の展望について、理事長兼病院長を務める腰地 孝昭(こしじ たかあき)先生にお話を伺いました。

先方提供
医療安全講習会での全職員対象院長講演を終えて

当院は、1916(大正5)年に小倉市宝町にあった外科病院を母体として私立病院として設立されました。“小倉記念病院”という名称は、大正天皇御大典を記念して名付けられたものです。戦後の1948年に国に譲渡されて朝日新聞の厚生事業団が関与する社会保険病院という公的機関となりましたが、2014年に一般財団法人として再び私立病院に移行しました。

近年のトピックとしては、2010年12月の新築移転が挙げられます。以前は北九州市の別の場所にありましたが、小倉駅の北側、新幹線のホームからも見える海の傍に新築移転しました。この移転によってアクセスが改善し、広くて新しい建物と最新の設備をそろえたことで、これまで以上に患者さんの求める質の高い医療を提供することができるようになりました。

当院は高度・急性期医療に特化した方針を貫いています。各診療科で新しい医療を提供し、北九州や福岡だけでなく、日本全体をリードしていけるよう努力しています。

当院で特に力を入れているのは広い意味で循環器系の医療です。“循環器”にはカテーテル治療の循環器内科だけでなく、その外科部門である心臓血管外科、脳循環を対象に外科手術や血管内治療を行う脳神経外科が含まれます。

循環器内科は当院の看板診療科で、新しいデバイスが次々と導入されており、日本にある機器と技術はほぼ全てそろっていると言えるほど幅広い治療が可能です。また、機器の導入が早いことや症例数が多いことから、全国の病院にそれらを導入する際の技術指導も多く行っています。心臓血管外科は、成人の心臓病や大動脈疾患に対する外科手術を専門としており、着実に手術件数を重ね、地域社会に貢献しています。

脳神経外科は、特に血管内治療において多くの症例数や知見を集める存在となっています。特に脳卒中に対するカテーテル治療が大きく伸びており、血栓回収や血栓融解、脳動脈瘤のコイル塞栓、ステント治療などの当院の治療実績は、全国的にみても多いものと自負しています。

当院の腎臓内科では、末期腎不全の腎代替療法として、腎移植、血液・腹膜透析の実施、導入及び合併症管理を行っています。透析導入患者は150例/年超で、腎不全早期から多職種による複数回の意思決定共同作業を踏まえて透析手段を決定しています。その結果、約4割は腹膜透析(PD)が選択され、より患者さんのライフスタイルの合わせた治療の提供が可能となっています。

当院ではがん手術の分野にも注力しており、約4年前から外科を中心に手術支援ロボットを使用した手術が始まり、現在では外科と泌尿器科、呼吸器外科、心臓外科の4つの診療科で使用しています。

中でも、外科での肝臓切除、通称“ロボ肝”は国内でも非常に多い手術件数を誇っています。手術件数の増加に伴い、1台では対応しきれなくなったため、2023年秋に2台目を導入し、ロボットセンターも設立しました。今後はさらにロボット支援下手術の種類と件数の増加が見込まれています。

先方提供

当院は、これからも地域医療ならびに日本の医療をけん引していける存在となるよう、院内だけでなく全国の医師や地域の皆さんへも影響範囲を広げて活動しています。

当院では、新しいデバイスを自院で展開するだけでなく、すでに述べたように全国の病院に普及させるための指導役も担い、循環器医療の発展に貢献しています。中でも特に注力しているのが、当院が実際に手術などの循環器治療を行う様子を現場や動画でご覧いただく“小倉ライブ”というライブデモンストレーションです。この取り組みは40年間続いており、日本全国の循環器系トップランナーが集まって技術を共有することで、高レベルの治療を全国で実施できるようにすることを目的としています。当院の先々代の延吉院長が全国に技術を広めることを目指して始めたもので、日本の循環器医療の発展に大きく貢献してきました。これからも当院は、循環器医療のリーディングホスピタルとしての自負を持ち、努力を続けてまいります。

当院は患者さんの幸せを願い、患者さん中心の医療を心がけています。その観点から当院では、地域のお住いの方向けの公開講座や出張出前講座を積極的に行っています。

昨年は市民公開講座を10回開催し、ウェブを含めて約1万人に参加いただきました。また、出張出前講座は公民館などで2~30人規模の患者さん向けに行い、昨年の参加者は49回の実施で2,224名にのぼります。当院は公益社団法人ではありませんが、診療以外でも地域の皆さんに情報を提供する公益事業にも注力していきたいと考えています。

病床数や診療科、提供する医療の内容等についての情報は全て2024年8月時点のものです。

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    腰地 孝昭 先生

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