院長インタビュー

地域住民に信頼される病院づくりを目指す公立豊岡病院

地域住民に信頼される病院づくりを目指す公立豊岡病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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兵庫県豊岡市にある公立豊岡病院は1871年に創立された歴史ある病院です。兵庫県北部の拠点病院として、ますます存在感が高まりつつある同院の役割や今後について、病院長である三輪 聡一(みわ そういち)先生に伺いました。

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当院は1871(明治4)年の開院以来、150年以上にわたって地域にお住まいの方々の暮らしと健康を支えてまいりました。1876(明治9)年までこの辺りは“豊岡県”に属しており、医療過疎状態にあった地域に医療の拠点を設けようと、当院が設立された経緯があります。

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開院にあたって掲げられた理念は、現在に至るまで変わることはありません。“但馬地域の基幹病院として、高度かつ最適な医療を安定的に提供し、地域住民の健康と生命を守り続ける”ことを目指し、職員一丸となって取り組んでまいります。

兵庫県の北部に位置する但馬医療圏は、東京都と同等レベルの面積でありながら病床を有する医療機関は8つのみです。このうち当院は唯一の三次医療救急機関であり、地域にお住まいの方々の“最後の砦”としての役割を担っています。2010年4月には但馬救命救急センターを開設し、24時間365日体制で患者さんを受け入れています。

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当院がカバーする医療圏は面積の大きさに対して人口は少なく、救急車で患者さんを搬送しようと思うと到着まで1時間以上かかってしまう地域もあります。こうした背景から、救急医療においてドクターヘリは欠かせないものになっており、当院のドクターヘリ出動件数は日本トップクラスを誇ります。ドクターヘリの飛行エリアは兵庫県北部、京都府北部、鳥取県東部地域など3府県にわたり、1日平均5~6件、年間でおよそ2,000件*と、絶え間なく救急患者さんの搬送にあたっています。

しかしながらドクターヘリは、天候の悪い日や夜間に飛ぶことはできません。この部分を補ってくれるのがドクターカーであり、当院では2017年5月よりドクターカーの24時間運行をスタートしました。医療過疎と呼ばれる地域にお住まいであっても、都市部と同等の医療を受けていただけるように、精一杯力を尽くしたいと考えています。

*ドクターヘリ年間出動件数……2018年度:2,105件、2019年度:1,858件、2020年度:1,812件、2021年度:1,812件、2022年度:1,921件

当院は一般病床473床・感染症病床4床・精神病床51床の計528床を有する総合病院です。但馬医療圏において高度医療に対応している医療機関は当院だけとなっており、地域の中で必要とされる治療や手術をしっかりと行えるよう努めています。

近年の手術は患者さんの体への負担が少ない低侵襲手術(ていしんしゅうしゅじゅつ)が主流になっており、前立腺がんをはじめとした一部の病気については手術支援ロボットを用いた手術が保険適用となっています。当院でも泌尿器科・外科・産婦人科において手術支援ロボット・ダビンチによる手術を行っており、地域の方々の“最後の砦”をしっかりと守っています。

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当院は但馬医療圏において唯一の機能を多く持っています。

たとえば、“救命救急センター”。これは先程申し上げたとおり、24時間365日体制でこの地域の患者さんを全て受け入れています。“但馬こうのとり周産期医療センター”では地域の分娩の約9割を担当し、必要な場合は他科と連携しながら新しい命の誕生をサポートしています。また一方で高齢化社会が進む地域の特色もふまえ、“認知症疾患医療センター”では認知症に対する適切な診断・治療が求められています。

このようなセンター以外にも、当院にしかない診療科を多く有し、ガイドラインに基づいた標準治療を行っていますので、地域の皆さまに安心して受診いただければと思います。

当院では患者さんやご家族のリアルな声を伺うために“ご意見箱”を設置しています。皆さまから寄せられたご意見やご要望に担当職員が対応しており、お褒めの言葉をいただいた職員には“Good Jobカード”を作成して病院長から表彰を行っています。

こうして職員のモチベーションを高めつつ、よりいっそう質の高い医療サービスをご提供できるよう取り組みを続けてまいります。

私が病院長を拝命したのは2017年1月でした。私に課せられた使命は、地域の患者さんが地域の中で必要十分な医療を受けられるようにすることです。都市部と同様の検査や治療を受け、必要があれば手術のために入院し、リハビリテーションを行うことができる……。地域の患者さんが住み慣れた場所で長く暮らしていかれるように、サステナブル(持続可能)な医療をご提供することが私たちの役割だと考えています。

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このことを実現するためには引き続き医療体制の充実に努め、患者さんや職員から“選ばれる病院”になる必要があるでしょう。現在計画しているところでは、ヘリポートに隣接した新棟を整備し、ハイブリッドER(血管撮影装置とCT装置を備えた救急初療室)、最新鋭放射線治療装置、ハイブリッド手術室(血管撮影装置を備えた手術室)の導入に加え、一般患者さんと導線を分けた感染外来の整備も予定しています。この地域の医療を維持していくために、今後も私たちにできることにしっかりと取り組んでまいります。

*病床数や診療科、提供している医療の内容等についての情報は全て、2024年5月時点のものです。

*写真提供:公立豊岡病院

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