院長インタビュー

地域完結を目指し、幅広い診療科で専門性が高い医療を提供する和泉市立総合医療センター

地域完結を目指し、幅広い診療科で専門性が高い医療を提供する和泉市立総合医療センター
松下 晴彦 先生

和泉市立総合医療センター 病院長

松下 晴彦 先生

目次
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大阪府和泉市にある和泉市立総合医療センターは、泉州二次医療圏の2次救急をはじめ、泉州地域南部の地域医療を担っている中核的な病院です。

初期診療から急性期、回復期の医療まで、専門性の高い医療を提供している同院の役割や今後について、病院長の松下 晴彦(まつした はるひこ)先生に伺いました。

病院外観
病院外観(提供:和泉市立総合医療センター)

当院は1963年に公立和泉病院分院として発足しました。1972年には和泉市立病院となり、2018年に現在の場所に移転したのに伴って和泉市立総合医療センターに名称を変更しました。その後、2021年に地域がん診療連携拠点病院とがんゲノム医療連携病院に、2024年に大阪府難病診療連携拠点病院になるなど診療体制の充実を推し進め、現在の病床数は307床、診療科は35科になります。

当院があるのは、和泉市をはじめ岸和田市、貝塚市、熊取町、泉佐野市など、大阪府の中でも和歌山県に近い8市3町で構成されている泉州二次医療圏です。その中で当院は、同医療圏の北部を中心にしたエリアの2次救急(入院や手術を要する重症患者への救急医療)を担っています。入院患者さんの居住エリアは約6割が和泉市で、泉大津市と岸和田市が約1割などとなっており、和泉市にお住いの患者さんが多いです。外来では泉佐野市や貝塚市など、やや遠方地域の方もいらっしゃいます。

当院は泉州二次医療圏において2次救急を担っています。原則として24時間・365日体制で救急を専門とする医師が常駐し、『いつでも、だれでも、いますぐに』をモットーに、急性期疾患から持病の悪化、急外傷など、さまざまな症例の患者さんを受け入れています。

可能な限り1人でも多くの患者さんを受け入れるために、チームを組んでほかの診療科と連携したり、薬剤師や放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士などのスタッフも24時間・365日体制で対応したりするなど、受け入れ態勢を強化しました。

現在、和泉市全体で年間10,000件くらいの救急があるといわれていますが(2024年4月時点)、当院が受け入れている救急車の数は年間約3,700件です*。今後、受け入れ件数をさらに増やしていくためにどのような方策があるのかを検討しているところです。

*2023年1~12月実績:救急搬送受け入れ3,764件(うち入院1,211件)

当院の呼吸器センターは、和泉市を中心にした医療圏における呼吸器疾患に対応するため設立しました。

肺がん治療については、以前は初診から肺がん治療を開始するまで約2か月を要していましたが、呼吸器内科と呼吸器外科、腫瘍内科が合同で呼吸器カンファレンスを行うなど、センター設立によって約1か月に短縮されました。

診療においてはセンター長の富沢 健二(とみざわ けんじ)先生(外科部門)と田中 秀典(たなか ひでのり)先生(内科部門)が中心になって、胸部手術や気管支鏡検査、化学療法、放射線療法などを行っており、より適切な治療の提供に努めています。中でも肺がんの手術件数は泉州一となっており*、地域の肺がん診療を担っていると自負しています。

*2023年1~12月実績:168例

当院には35の診療科があり、基本的にはほとんどの診療科で医師が常勤しています。複数の医師が常勤している診療科がほとんどであり、病床数が300床の病院に対して約140名の医師が在籍しているのはかなり多いほうだと思います(2024年4月時点)。これは“地域で医療を完結させること”を目指しているためで、それぞれの診療科で専門的な医療サービスを提供しています。

たとえば、脳神経内科ではパーキンソン病などの神経難病、急性脳炎や運動麻痺など、脳や脊髄、末梢神経、筋肉の病気を対象に診療を行っています。医療用ロボットスーツなど用いた神経難病に対する治療も行うなど、部長の濵田 征宏(はまだ ゆきひろ)先生がチームを引っ張って診療にあたっています。

肝胆膵外科では肝胆膵外科高度技能指導医*などの資格を持つ田中 肖吾(たなか しょうご)先生が中心になって、肝がんや胆道がん、膵がんなど、肝臓・胆道(胆嚢)・膵臓にできた腫瘍(しゅよう)などの外科治療を専門に行っています。他科と定期的にカンファレンス行って患者さん一人ひとりに合った治療方法を検討し、よりよい治療を行えるよう努めています。

また、当院は専門的ながん医療が提供できる“地域がん診療連携拠点病院”、がんゲノム医療を提供できる“がんゲノム医療連携病院”に認定されています。がん診療の経験と実績が豊富で、地域のがん診療を支えていると自負しています。

*肝胆膵外科高度技能指導医:日本肝胆膵外科学会が認定する専門資格

当院は和泉市や医師会と連携しながら、地域医療に貢献するため、さまざまな活動に取り組んでいます。

行政や企業、医療の関係者を対象に、年に1回開催している『和泉の地域医療を考えるシンポジウム』もその1つで、医療に関連した今後の取り組みや方向性について話し合っています。新型コロナウイルス感染症の拡大が懸念された際には、『和泉市におけるコロナワクチン接種』をテーマに開催しました。

『治療と仕事の両立支援推進のための今後の取り組み』や『薬から見える地域医療』などをテーマに、毎年、和泉市の地域医療について意見交換などをしています。

当院は“命をつなぐ”ということに使命感を持って、和泉市で専門的な医療サービスを提供できる体制を整えてきました。

当院が目指しているのは救急医療と専門医療の両立です。高いレベルの救急医療と専門医療を提供しつつも、敷居の低い病院作りに努めています。

「なにかあったら和泉市立総合医療センターに行こう」「和泉市立総合医療センターを頼りにしている」と思っていただけるよう、今後も地域の皆さんへよりよい医療を提供できる体制を整えてまいりますので、気軽に受診いただければと思います。

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