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連載WHO(世界保健機関)と考えるコロナ報道のあり方

【WHOセミナー】新型コロナワクチンの副反応・安全性に関する最新研究

公開日

2021年04月20日

更新日

2021年04月20日

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2021年04月20日

掲載しました。
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この新型コロナウイルス感染症に関する記事の最終更新は2021年04月20日です。最新の情報については、厚生労働省などのホームページをご参照ください。

人々の生活にさまざまな影響を及ぼしている新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)。日本ではまん延防止等重点措置(まん防)が適用される地域が増え、再び混乱が起きていますが、今、いくつかの国で積極的にワクチンの研究・開発が進められています。2021年4月9日に行われたセミナー「WHO(世界保健機関)と考える、非常時のメディアのあり方とは-新型コロナとワクチンをめぐる報道-」から、現行のワクチンの副反応や妊婦への接種の安全性、イスラエルでの研究結果など、最新の情報をまとめました。【第3章 木下喬弘先生 講演後半】

【プログラム】

どのような副反応が起こりうるのか?

副反応について現状で分かっていることをお伝えします。

今回のmRNAワクチンは、ファイザー社とモデルナ社のどちらも、若年者のほうが高齢の方よりも副反応が起こりやすく、また、2回目の接種のほうが1回目より副反応が起こりやすいことが知られています。

以下のグラフは、2社のワクチンの副反応についてです。

mRNAワクチンの副反応(2回目)

どちらも頻度の多い症状は接種部の痛み、だるさ、頭痛、筋肉痛、寒気の5つです。これらはプラセボ(偽薬)を打った人たちと比べて明らかに頻度が異なりますので、ワクチン接種による副反応であるといえます。

重い副反応の心配は?

重い副反応があるのかどうかも気になる部分だと思います。ファイザー社ワクチンの臨床試験に参加された方の中に、原因不明でかかとの皮膚が壊死(えし)してしまった方がいました。ただし、この方はプラセボ群、つまりワクチンを打っていない方です。

ここで再確認したいのは、このようにワクチン接種とは関係なく原因の分からない病気になる可能性があるということです。もしそのような例が1つ起きたとして、それを根拠に「ワクチンのせいだ」と伝えてはいけないということを、皆さんにはあらためて認識していただけたらと思います。

現状、mRNAワクチンではアナフィラキシーを除く重い副反応は見つかっていません。先にお伝えしたとおり、ワクチン接種との因果関係はランダム化比較試験で頻度の違いを見ることで検討するのが大原則です。

重篤な有害事象の発生率

上で示すとおり、重篤な有害事象、すなわちワクチン接種後に何らかの健康上の問題を抱えた人の頻度はワクチンを打っていない人とまったく変わりません。

しかしながら、今アストラゼネカ社のワクチンで話題になっている血栓症など、そういったまれな副反応に関しては継続的にモニタリングするシステムが機能しています。特にアメリカでは発達しており、たとえば「v-safe」という有害事象検出システムではスマートフォンにCDC(アメリカ疾病予防管理センター)からテキストメッセージが送信され、利用者がアプリ上で有害事象を報告できます。

妊婦への接種の安全性は?

次に、妊婦への接種における安全性についてのデータ(v-safe上の報告)を示します。

妊婦における安全性

上のデータは、妊婦に起こり得る有害事象について、自然発生とワクチン接種後にv-safe上に報告された割合を比較したものです。妊娠20週未満の流産率についてv-safe上の報告が明らかに少ないのは、妊娠初期を過ぎてからワクチンを接種する方が多いため、そもそも流産する可能性が高い時期を過ぎている方が多いと解釈されます。

それ以外の割合については、自然発生と比べてまったく増加していないことが分かります。そのため、現状では妊婦への新型コロナワクチン接種の安全性は高いと期待できます。

イスラエルにおける最新の研究結果

最後に、イスラエルで行われた大規模研究の結果についてお伝えします。

前提として、ランダム化比較試験には「症例数に限界がある」という課題があります。すなわち、男性と女性では効果がどう異なるのか、高齢の方や基礎疾患のある方には効果がどのように変わるのかなど、個々の属性における効果を推定するには全体の症例数が少ないということです。

これを解決するために、イスラエルで新型コロナワクチンを打った人60万人と、彼らと属性(基礎疾患・居住地・年齢層・過去のインフルエンザワクチン接種回数など)をそろえた60万人とを比較する研究が行われました。下のデータは、男女と年齢による違いを見たものです。

属性ごとの効果

まず注目すべきは、70歳以上の方にも95%以上という高い感染予防効果・発症予防効果が認められたことです。インフルエンザワクチンなどは高齢の方で効果が低下することが分かっていることを考えると、これは非常にポジティブなニュースだと思います。

また、下のデータは基礎疾患がある方との効果の違いを見たものです。3つ以上の基礎疾患がある場合、基礎疾患がない方に比べると少々効果が低下しています。ただ、基礎疾患がある方、特に免疫不全の方などは抗体ができにくくワクチンの効果が落ちるのではないかと懸念されていた状況において、基礎疾患がある方に対しても感染予防効果と発症予防効果共に80%台後半の効果が認められたことは朗報といえます。

属性ごとの効果

ワクチンに関してまだ不明なこと

これまでお話ししたように、新型コロナワクチンに関して非常にたくさんのことが分かってきました。一方で、現時点では分からないこともいくつかあります。

1つ目は、どの程度の人がワクチンを接種すれば集団免疫が成立するのか。これはイスラエルですでに60%ほどの人がワクチンを接種し感染者数が激減していることからも、おそらく集団免疫が成立すると見込まれます。ただ、属性による効果の変化などはまだ検証の結果が出ていない現状です。

2つ目は、極めてまれな副反応、たとえばアストラゼネカ社のワクチンで問題になっている何十万人に1人、何百万人に1人という頻度で現れる副反応については、今後さらに検討していく必要があります。しかしながら、アメリカではすでにかなりのサーベイランス(調査監視)が行われ、1億5000万回以上のワクチン接種が実施されているなかで問題になっている例はありません。そのため、極めてまれな副反応についてすら、そこまで心配する必要はないと考えてよいでしょう。

3つ目は、妊婦や小児に接種したときの有効性と安全性です。小児に関しては、プレスリリースレベルではありますが、12〜15歳(2260人)に対する第3相臨床試験(治験)において100%の有効性が報告されました。

4つ目は、変異ウイルスに対するワクチンの有効性と安全性です。この話題については、この後のページで詳しく説明されていますのでご覧ください。

最後は、ワクチンの長期的な有効性がどのくらい担保されるのかという点です。これもプレスリリースレベルですが、ファイザー社のワクチンについては2回目の接種後6カ月の時点での有効性は91.3%という研究結果が報告されています。しかしながら、さらに年単位で時間が経過したときに効果がどう変化するのかは今後の課題になるでしょう。