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連載WHO(世界保健機関)と考えるコロナ報道のあり方

【WHOセミナー】世界保健機関 西太平洋地域トップからのメッセージ

公開日

2021年04月20日

更新日

2021年04月20日

更新履歴
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2021年04月20日

掲載しました。
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この新型コロナウイルス感染症に関する記事の最終更新は2021年04月20日です。最新の情報については、厚生労働省などのホームページをご参照ください。

人々の生活に甚大な影響を及ぼしている新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)。世の中を飛び交う大量の情報には、ウイルスやワクチンに関するデマ・根拠のないうわさも含まれ、インフォデミック(不確かな情報が感染症のように伝わり、社会が混乱する状況)が危惧されています。このような非常事態に報道はどうあるべきか、ワクチンの役割とは――。2021年4月9日に行われたセミナー「WHO(世界保健機関)と考える、非常時のメディアのあり方とは-新型コロナとワクチンをめぐる報道-」より、WHO西太平洋地域事務局長 葛西健先生のごあいさつの内容をまとめました。

【プログラム】

葛西健先生(WHO西太平洋地域 事務局長)ごあいさつ

本日は貴重な機会をいただきありがとうございます。このような非常時において、メディアの皆さんは本当に大切なパートナーです。

今、世界におけるCOVID-19の現状は予断を許さない状況です。新規感染者数は2021年1月から減少傾向にあったのですが、3月に入って増加に転じ、ブラジルでは感染者数が医療のキャパシティを超える非常に厳しい状況に陥り、インドでの感染者数も現在急激に増加しています。また、ヨーロッパでも複数の国で非常に厳しい行動制限がかけられています。

葛西健先生(WHO西太平洋地域 事務局長)ご挨拶

西太平洋地域*には37の国・地域があり、世界の人口の約4分の1となる19億人が住んでいます。幸いなことに今のところ西太平洋地域における累積患者数は世界の1.5%、死亡者数は1%に抑制できています。しかし、この地域でも複数の国において変異ウイルスが確認され、患者数が増加している国があるなど、緊迫した状況になってきています。

これまでの15カ月間で、COVID-19への対応には3つ重要なことがあると気付きました。1つ目は政府のリーダーシップ、2つ目は現場の力、そして3つ目は国民一人ひとりの判断と行動です。そして、「情報」は国民一人ひとりの判断と行動を支えるものであり、政府の判断と個人とをつなぐものでもあります。その意味で、COVID-19対策において「情報が人々の命と社会生活の鍵を握っていると言っても過言ではありません。

非常時には、正しい情報とその解釈をきちんと伝えることが重要ですが、今回、それがいかに難しいかを痛感しています。私は2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)流行の際にも対応しましたが、当時と今は状況が大きく異なります。今はSNSなどによって個人が簡単に情報を発信できるようになったこともあり、SARSが流行した頃と比べものにならないくらい情報にあふれているのです。

立ち並ぶビル 写真:PIXTA

写真:PIXTA

WHOは、正しい情報と不確かな情報が大量に混ざり合い、信頼できる情報源や知識が見つけにくくなってしまう状態を「インフォデミック」と名付け、今まさにこの状況に警告を出しています。このようななかで正確な情報を伝えようと努力されているメディアの方々に感謝と敬意を表したいと思います。

そして今、一定の科学的根拠を基に世界各地でワクチン接種がスタートしました。メディアの皆さんは、正確で速報性のある報道をするためのプレッシャーと闘っていることでしょう。ワクチン関連の情報は、効果の説明1つとっても簡単ではありません。実際、副反応などに関する情報は玉石混交です。さらに、たとえ正しい情報であっても、各国の判断や流行状況などを含めた事情を考慮せずに比較した場合、間違った解釈を招く可能性もあります。

「正しい情報と解釈を伝えること」は決して簡単ではありませんが、分かりやすくタイムリーに正確な情報を伝え続けることで、一人ひとりが納得してワクチン接種について判断できる環境が整うものと信じています。

COVID-19対策においては、ご自身の行動が、家族、友人、職場の仲間、地域に住む高齢の方、あるいは医療関係者を守ることにつながります。世界はつながっており、どこかで感染の流行が続いている限り、どの国でも安心とはいえません。自国はもちろん、ほかの国の人々を理解し、寄り添うことも重要です。

日本は西太平洋地域の一員です。これまでも日本の対策方法を他国に紹介し、三密回避やクラスターアプローチなど多くの国で参考にされています。今後も、日本の皆さんのリーダーシップに期待したいと思います。メディアの皆さんは重要なパートナーです。この非常時、大切なタイミングに、世界の見本となるような報道が日本でなされることを心から期待しています。

*WHO西太平洋地域:WHO西太平洋地域(WPR)は37のアジアの国々、太平洋島嶼国や地域からなり、北はモンゴル、南はニュージーランド、東は仏領ポリネシアあるいは英領ピツケン、西は中国といった、広大な地域の国々が加盟する。

今枝宗一郎先生 ごあいさつ

主催の「新型コロナワクチン公共情報タスクフォース」座長、今枝宗一郎先生(衆議院議員、自由民主党新型コロナ対策医療系議員団本部 幹事長)からごあいさつがありました。

今枝先生:皆さんこんにちは。私は元々医師でしたが、28歳のとき国会議員に就任しました。それ以来、医療社会保障政策などに力を注ぎ、このコロナ禍においては医療を主とする対策本部の幹事長を務めています。まずは参加者の皆さん、講師や関係者の皆さん、事務局のメディカルノートの皆さんに感謝を申し上げます。

今枝宗一郎先生 ご挨拶

さて、新型コロナウイルスワクチンは希望接種制、すなわち各人が主体的に接種を希望するかご判断いただくものです(2021年4月時点)。ただ、現状インターネット上にはデマなども多く、国民一人ひとりが正しい情報を得る機会をつくる必要があると考え、新型コロナワクチン公共情報タスクフォースを結成しました。官・民・医療界の専門家がプロボノ*で参加しており、顧問としては中野貴司先生(川崎医科大学小児科学教授)や、高山義浩先生(沖縄県立中部病院地域ケア科・感染症内科副部長)といった方々にご協力いただいています。

新型コロナ対策においては、メディアの皆さんと我々が1つのチームとなり、国民の方々へ科学的な情報を分かりやすく届けなければなりません。どうぞよろしくお願いいたします。

*プロボノ:プロフェッショナルスキルや専⾨知識を持つ人々が、社会的・公共的な⽬的のために職業上のスキルを生かすボランティア活動のこと