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連載新型コロナと闘い続けるために

発症後7〜10日が分岐点?―新型コロナの経過や自宅療養の注意点

公開日

2021年08月02日

更新日

2021年08月02日

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2021年08月02日

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この新型コロナウイルス感染症に関する記事の最終更新は2021年08月02日です。最新の情報については、厚生労働省などのホームページをご参照ください。

今、新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)に対してワクチン接種が進んでいます。一方、東京都では4回目の緊急事態宣言が出され感染も再び急拡大し、全国でインド型(デルタ株)の増加が危惧されています。発熱などCOVID-19を疑う症状が出たとき、自宅療養になったときにはどのような点に留意したらよいのか――。7月9日に行われたオンライン講座「新型コロナウイルスの今~安全なワクチン接種と千葉市医療機関の取り組み~」から、瀧口恭男先生(千葉市立青葉病院呼吸器内科統括部長兼感染対策室主査)のお話をまとめました。

新型コロナの症状と「分岐点」

まずCOVID-19で起こる症状と、「分岐点」とされるタイミングをお伝えしましょう。

主な症状としては呼吸器症状(せきや呼吸困難など)、発熱・悪寒、筋肉痛が起こり、さらに場合によって、吐き気・下痢、味覚・嗅覚障害などが現れることがあります。

典型的な経過としては、8割の方は発症してから7日間ほどは軽症のまま過ごし、そのまま治癒していきます。しかし残り2割の方は7〜10日間ほどで次第に呼吸器症状・肺炎症状が悪化し、入院治療・管理が必要となる場合があります。つまり発症後7〜10日目あたりが、回復するか悪化するかの「分岐点」ということです。ぜひこの点を頭の片隅に置いておいてください。

参考:https://www.mhlw.go.jp/content/000801626.pdf
参考:https://www.mhlw.go.jp/content/000801626.pdf

重症度を測る「酸素飽和度」という指標

COVID-19の重症度は▽軽症▽中等症1▽中等症2▽重症――に分類されます。

重症度を測るときに重要な指標の1つが「酸素飽和度(SpO2(エスピーオーツー))」です。酸素飽和度とは、心臓から全身に運ばれる血液内のヘモグロビンにどのくらい酸素が結合しているかを、皮膚を通して調べた数値です。パルスオキシメーターという小さな機械を指にはめることで、酸素飽和度を即座に測定できます。

パルスオキシメーター 写真:PIXTA
パルスオキシメーター 写真:PIXTA

 

酸素飽和度は、一般的には96~99%が標準値とされます。一定以上低くなると十分な酸素を全身に送れない状態(呼吸不全)になっている可能性があり、適切な対応が必要です。

重症度分類においては酸素飽和度が96%以上で軽症、93%よりも高く96%未満(呼吸不全なし)の場合は中等症1、93%以下(呼吸不全あり)であれば中等症2と判断します。

留意したいのは、パルスオキシメーターの数字には数%の誤差が生じる可能性があるという点です。たとえば指先が冷たく血液循環が悪い状態や、マニキュアなど爪の装飾をしているとき、爪の病気がある場合などは誤差が生じやすいです。そのため、COVID-19の重症度分類では誤差を考慮した数値が設定されています。

参考:https://www.mhlw.go.jp/content/000801626.pdf
参考:https://www.mhlw.go.jp/content/000801626.pdf

 

千葉市では、COVID-19で自宅療養している40歳以上の方・保健所長が必要と判断した方にはパルスオキシメーターを貸し出し、健康管理に役立てていただいています。

新型コロナを疑う症状が見られたら?

ここでは千葉市の例を元に、発熱などCOVID-19を疑う症状が現れたときにどう対応したらよいのかをお伝えします。

かかりつけの医療機関がある場合には、必ず「受診前に」電話をしてください。そちらで症状などをお伝えいただき、医療機関からの指示に従って対応いただくようお願いします。一方、かかりつけの医療機関がない・どの医療機関を受診すればよいか分からない場合には、「新型コロナウイルス感染症相談センター」にご相談ください。

各自治体で同様の相談センターが開設されていると思いますので、お住まいの地域の自治体ホームページをご確認いただき、その内容に従って対応されることを推奨します。

医療機関での対応と流れ

お電話でご相談いただき、COVID-19の可能性がある場合は医療機関でPCR検査を受けていただきます。千葉市立青葉病院では、感染症の可能性がある方に対して以下のフローチャートに沿って対応しています。恐らく多くの医療機関で同様のフローチャートを作成しているはずです。

まずは専用区域で診察を行い、必要に応じてPCR検査を実施。無症状や軽症であり入院が不要と判断した場合には、自宅療養をしていただきます。一方、入院が必要な場合には感染症疑いの病床へご案内します。PCR検査の結果が陽性であれば感染症病棟で本格的な治療に入り、陰性であれば一般病床に入院していただくという流れです。

なお、PCR検査の結果が陰性であっても、感染症の疑いが濃厚である場合は感染症疑いの病床で治療を継続することがあります。

PCR検査「陰性=感染していない」ではない?

PCR検査の解釈には注意が必要で、「陰性=感染していない」と断定できるわけではありません。仮に結果が陰性であっても、出ている症状によっては引き続き感染症の疑いを持って対応する場合もあります。

実際にこれまでの調査で、初回PCR検査では陰性だったのにその後数回PCR検査を行って初めて陽性が出たケースが複数確認されました。このようにPCR検査が陰性でも感染している可能性があること、あくまでも現場での総合的な判断に基づき対応していることを知っていただきたいです。

ちなみに、感染の流行期すなわち検査前確率(検査前に考えられる陽性率)が高いときには、PCR検査の結果が陽性であればCOVID-19とほぼ確定できますが、陰性の場合は「COVID-19疑い」となるケースがあります。

自宅・ホテル療養で注意すること

PCR検査でCOVID-19と診断された場合には、その方の健康状態や社会的な背景を考慮し、医療機関に入院するか、自宅療養もしくはホテルでの療養という選択肢を考えます。

状態が悪化した際にすぐに対応できるよう、自宅やホテルで療養される場合にも健康観察を怠らないことが重要です。千葉市保健所が設定している健康観察の主な項目は▽体温▽酸素飽和度(原則40歳以上)▽自覚症状(せき・呼吸困難など)▽全身状態(水分摂取が可能かなど)――です。

酸素飽和度が93%以下(重症度分類の中等症2)、呼吸困難などの症状が悪化、水分摂取が困難になってきた場合には、入院による治療が必要になる可能性が高いです。

先ほどご説明したように発症7〜10日間くらいが分岐点で、その時点で症状が悪化していなければほとんどの場合は問題ないでしょう。ただし自宅・ホテル療養の間に、熱が下がらない・呼吸器症状がよくならない・水分摂取もつらいなどの状態になった場合は、迷うことなく保健所に連絡しましょう。すぐに入院調整が必要な場合があります。

千葉市で自宅療養される場合に指針となる「在宅療養のしおり」があります。療養の流れや留意点などの詳細はこちらをご覧ください。そのほかの地域にお住まいの方も、各自治体のホームページでご確認いただけると思います。

瀧口恭男先生からのメッセージ

皆さんは普段、不要不急の外出を避けたり、ワクチン接種を行ったり、さまざまな対応をしてくださっていることと思います。千葉市ではCOVID-19と診断された場合に安心できる体制を引き続き整備していきます。今後もご協力のほどお願いいたします。

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