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連載特集

新型コロナ感染でも基本は同じ ウイルス性肺炎の「対症療法」とは

公開日

2020年03月11日

更新日

2020年03月11日

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2020年03月11日

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写真:Pixta

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、重症化すると肺炎を起こします。今のところ“特効薬”はなく、治療は「対症療法」とされていますが、具体的にどのような治療をするのでしょうか。ウイルス性肺炎患者に対する対症療法とはどのような治療か、防衛医大病院救急部救命救急センターの秋冨慎司准教授に聞きました。【編集部】

そもそも肺炎とはどんな病気?

一般的に肺炎は、文字通り肺が炎症を起こしうまく働かなくなる病気です。肺炎球菌やインフルエンザ菌などの細菌、RSウイルスやアデノウイルスといったウイルスなど、さまざまな病原体が肺炎の原因となります。厚生労働省の2018年人口動態統計によると、肺炎(高齢者の「誤嚥性肺炎」を除く)による年間の死者数は9万4661人(人口10万人あたり76.2人)。死因別では5位と、新型コロナウイルス出現以前から気を付けなければいけなかった病気です。

肺は、全身から戻ってきた血液の二酸化炭素を取り除き、酸素を取り込ませる(酸素化する)臓器です。炎症で肺の機能が衰えると、全身に必要な酸素が行き渡らなくなり、脳やさまざまな臓器に障害が起こる恐れがあります。

対症療法とは、患者さんが自身の免疫で病原体に勝つのを待つ間に弱ってしまわないよう、間接的に手助けをすることです。

写真:Pixta


比較的軽症の時点では、回復の妨げとなる高熱があれば下熱剤を投与したり、脱水症状を起こさないよう水分を補給したりします。病状が進み、血液中の酸素濃度が低下してきたら、酸素を取り込ませるために酸素マスクを着けます。自力で食事ができなくなると体力が低下して免疫がウイルスに対抗する“戦う力”も弱まるので、点滴で栄養を投与します。

重症化の場合は人工呼吸器や「ECMO」を使用

さらに悪化すると、人工呼吸器を使用することになります。気管に入れた管を通して人工的に空気を肺に押し込む機械で、鎮静剤を使って患者さんを眠ったような状態にして行う必要があります。

より病状が進むと「ECMO」という機器を使うことになります。「体外式膜型人工肺」とも呼ばれ、静脈から血液を体外に抜き出し、肺が行っているガス交換を代行して血液中の二酸化炭素を減少させるとともに酸素化し、体に戻す機器です。ただ、この機器はどの病院にでも備えられているものではなく、管理には専門的な知識が必要とされます。

細菌感染であれば、抗菌薬が使えますが、ウイルスに抗菌薬は効果がありません。新型コロナウイルスに対して抗インフルエンザ薬の「アビガン(一般名:ファビピラビル)」に効果が期待されていますが、人工呼吸器が必要とされるような重篤な状態で投与しても、肺の炎症が進んでいるのであまり効かない可能性があります。こうした薬剤については、効くかどうかだけではなく投与のタイミングについても慎重に検討されるべきだと考えます。

対処可能な今から、患者急増の事態検討を

人工呼吸器もECMOも、それ自体がウイルスに対して効力があるわけではなく、肺を休め、体力の低下を防ぎ、ウイルスと戦う免疫のサポートをするものです。

人工呼吸器にしろECMOにしろ、大きな病院でも機器の数には限りがあります。新型コロナウイルスの感染が爆発的に拡大し、重篤な患者さんが急増した場合、全員がこうした機器で治療を受けられないという事態も起こりえます。その時にどうするのか、まだ対処できている今のうちから考えておく必要があります。

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