お腹が出る:医師が考える原因と対処法|症状辞典

お腹が出る

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • 吐き気や嘔吐、排便が止まるなどの症状がある

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 息切れの症状がある

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • すっきり排便できない期間が1か月以上続いている

群星沖縄臨床研修センター センター長 、筑波大学 客員教授、琉球大学 客員教授、獨協大学 特任教授、聖マリアンナ医大 客員教授、総合診療医学教育研究所 代表取締役、Choosing Wisely Japan 副代表、Journal of General and Family Medicine 編集長

徳田 安春 先生【監修】

年齢とともにお腹が出るのはよくあることで“中年太り”ともいわれますが、見過ごせないケースもあります。

  • 急にお腹が出始めた。食べ過ぎなどの心当たりもない
  • いつの間にかすっかりお腹が出た中年体型に。そういえば、便秘も続いている
  • ダイエットをしているが、お腹だけが不自然に出たまま……

このような症状がある場合、考えられる原因にはどのようなものがあるでしょうか。

何らかの病気によってお腹が出ることもあります。

もし急にお腹が出てきた場合には、次のような病気が考えられます。

腸閉塞

腸の中で通過障害があり、食べ物や消化液といった内容物の移動が妨げられている状態です。腸に詰まるため、嘔吐や腹痛、お腹の張り、便秘などの症状が現れます。

特に過去にお腹の手術をしたことがある人などは、腸閉塞(ちょうへいそく)を起こすリスクが高くなっているため注意が必要です。

尿閉

急に尿が出なくなり、膀胱に尿が充満してお腹が張り、腹痛が出現します。多くは男性で前立腺肥大症が基礎疾患にある人に起こりやすくなります。アルコールやかぜ薬の服用がきっかけになることもあるため注意が必要です。

腹壁ヘルニア

腹壁の弱くなった部分から内臓の一部がはみ出てしまう病気です。お腹が出て見えることもありますが、外からは分からないケースも少なくありません。腹痛、吐き気、嘔吐などを伴うこともあります。

腹壁ヘルニア
関連記事数: 0記事

緩やかにお腹が出る病気には次のようなものがあります。

便秘

便秘はさまざまな原因によって引き起こされ、お腹の張り、腹痛、食欲不振のほか、肛門の違和感などの症状が現れることがあります。特に便秘が長期間続き、お腹が出ていると感じられるような場合には内科・消化器内科などで相談しましょう。

腹水の貯留

お腹に水がたまる病気です。腹水が少量の場合には自覚症状はありませんが、大量になるとお腹が出ていると感じられるようになります。

たまった水によって胃や肺が圧迫され、吐き気や息切れを感じることもあります。肝臓の病気や悪性腫瘍(あくせいしゅよう)で起こりやすい症状でもあるので、早めに病院を受診しましょう。

腫瘍

腹部にできた腫瘍が大きくなることで、お腹が出ているように感じられる人もいます。悪性腫瘍が肝臓に生じた場合は、腹部の右上が張る感覚がすることがあります。

悪性腫瘍だけではなく、子宮筋腫などの良性のものでも起こることがあります。

お腹が出るまれな病気としては、酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症が挙げられます。肝脾腫(かんひしゅ)が大きくなるとお腹がふくれることがあります。まれな病気は専門医でなければ診断が難しく、複数の医療機関を受診して診断に結びつくことも少なくありません。気になる症状がある場合は医療機関の受診を検討しましょう。

酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症
関連記事数: 1記事

お腹が出てきたように感じられ、そのほかの気になる症状もあるならば受診したほうがよいでしょう。原因によって専門科目は異なりますが、まずはかかりやすい近くの内科やかかりつけなどで相談するとよいでしょう。

受診の際には、いつからお腹が出てきたのか、そのほかの症状はどのようなものがあるのかを具体的に伝えることがポイントです。

日常生活に原因があり、お腹が出ることもあります。

体脂肪が増加して、お腹が出ることもあります。皮下脂肪はもちろん、中高年以降は内臓脂肪にも注意したいところです。

太ったなと思ったら

食べないダイエットはリバウンドの原因にもなります。健康的にやせるためにも、栄養バランスの整った食事をきちんと三食取るようにしましょう。また、規則正しい生活と適度な運動を長く続けることも重要です。

内臓を支えるインナーマッスルが衰えてもお腹が出る原因になります。

筋力低下を感じたら

インナーマッスルを鍛えることが重要です。内臓を支える筋肉を鍛えることで内臓が正しい位置に収まるほか、姿勢を改善する効果も期待できます。

日常生活でできる対処法を試しても症状がよくならない場合には、一度は病院で相談するようにしましょう。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。