消化不良:医師が考える原因と対処法|症状辞典
埼玉医科大学病院消化管内科 診療部長 教授
今枝 博之 先生【監修】
胃痛や胃もたれ、食欲不振といった消化不良の症状は珍しくなく、そのまま様子をみたという人も多いのではないでしょうか。しかし、原因によっては何らかの対応が必要な場合もあります。
このような症状が現れた時、考えられる原因にはどのようなものがあるでしょうか。
日常生活上の習慣などが原因で消化不良を起こすこともあります。
暴飲暴食は胃腸に負担をかけ、胃酸の分泌の乱れや膵臓の機能低下などを引き起こし、消化不良の原因となります。
飲み過ぎや食べ過ぎたときは、お酒を控えて胃に負担をかけない食事をとりましょう。脂肪分が多いものや刺激物は避け、消化のよいものを食べて胃を休めます。早食いも胃に負担ですので、ゆっくりよくかんで食べましょう。
ストレスによって自律神経が乱れると胃腸のはたらきが悪くなり、消化不良の原因となります。
胃腸は副交感神経優位のときによくはたらきます。ストレスをコントロールし、規則正しい睡眠や食事をとることで自律神経のバランスを整えることが大切です。
辛いものやカフェインは胃の粘膜に刺激を与えるため、取りすぎると消化不良の原因となります。
刺激物を取りすぎて消化不良を起こしているときは、刺激のあるものや胃に負担がかかるものを食べるのは控えましょう。
タバコを吸うと血管が収縮します。胃粘膜の血流も低下するので、一見関係ないようにみえるタバコの吸いすぎも、消化不良の原因のひとつです。
タバコを減らすのではなく、さまざまな面から見て禁煙することが好ましいでしょう。自分の意思でなかなかやめられないときには禁煙外来などの医療機関に相談するのもひとつの方法です。
日常生活でできる対処法を試しても症状が改善されない時は、一度病院で相談してみましょう。
消化不良を引き起こす主な病気には、以下のようなものがあります。
急性胃炎とは、飲み過ぎ食べ過ぎや薬の副作用などさまざまな原因によって急激に胃の粘膜にただれや出血などを起こすものです。
みぞおちのあたりが痛むような胃痛の他に、嘔吐や吐血をすることもあります。
慢性胃炎は、長期間にわたって胃炎が続くものです。原因はヘリコバクター・ピロリ菌の感染といわれており、ピロリ菌が胃に持続的に棲みつくことで長い時間をかけて胃の粘膜を傷め続けます。
多くみられる症状は胃の不快感や痛み、食欲不振などです。
機能性ディスペプシアとは、胃痛や胃もたれが続いているのに胃カメラなどで潰瘍や炎症などの明らかな異常がみつからない病気です。
食後の胃もたれや早期膨満感、胃痛や吐き気、食欲不振などさまざまな症状が現れます。
吸収不良症候群とは、食べものを消化吸収するはたらきが低下する病気の総称です。
胃、十二指腸、小腸、膵臓、肝臓、胆道など消化吸収にかかわる臓器に何らかの異常が生じ、栄養素が十分に吸収されないために下痢や体重減少、倦怠感をはじめ、栄養不足によるさまざまな症状が現れます。
消化不良が続くときや、胃痛や胃もたれなど他の症状が伴う時には一度内科や消化器内科を受診しましょう。
医師には症状が突然発生したのか、それともしばらく続いているなものなのか、食後など特定の状況で発生することがあるか、他にも気になる症状はないか等を伝えるようにしましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。