日本で使用されている敗血症の検査と診断ーガイドラインにおける敗血症の概念とは?は主に2つあります。
1つは世界的に使用されている「SSCG(Surviving Sepsis Campaign Guidelines)」と呼ばれているガイドラインで、もう1つは2012年に日本集中治療医学会により策定された「日本版敗血症診療ガイドライン」です。
2つのガイドラインを使用している理由は、敗血症には人種間格差があるために、日本人に適した治療法を考慮する必要があるからです。なお日本版敗血症診療ガイドラインは現在改訂中で、2016年に日本集中治療医学会と日本救急医学会が共同で最新版のガイドラインを発刊する予定となっています。
ここでは日本版敗血症診療ガイドライン(以下、ガイドライン)について、ハーバード大学医学部外科学講座研究員の近藤豊先生にご紹介頂きます。
敗血症は細菌、ウイルス、真菌、寄生虫などによる感染が原因で発症します。敗血症を示唆する症状の例としては、とても熱が高い、または低い、呼吸の回数が多いなどがあります。
また、詳しくは後述しますが、敗血症の診断には現在のガイドラインですと医師による診察と血液検査が必要です。なおガイドラインは患者向けではないので、ガイドラインを自分で調べて自己判断することはとても危険です。敗血症が気になる場合には、早めに医療機関を受診して医師による診察をきちんと受けるようにしましょう。
敗血症は「感染に伴うSIRS(全身性炎症反応症候群)」と定義されています。このSIRSとは、生体への侵襲(何らかの感染源や疾病が原因となり生体へ攻撃を仕掛けること)に対し免疫細胞が炎症性サイトカインという物質を放出して全身性の急性炎症反応を起こす、ということです。
それでは医療機関を受診した場合に具体的にどのような診断基準でこの敗血症と診断されるのでしょうか。先述のとおり現在の診断基準では「感染に伴うSIRS(全身性炎症反応症候群)」と定義されています。しかしながら概念だけでは実際の患者に適応出来ないため、現在は以下の4つのうち2つ以上を満たすとSIRSの状態と見なします。
敗血症の定義は前述のとおり「感染に伴うSIRS」ですので、感染が原因で上記のうち2つを満たすと敗血症と診断されます。また診断基準には含まれていませんが、炎症反応の補助的な指標として、CRP(C反応性蛋白)、プロカルシトニン、IL-6(インターロイキン6)などがあります。
またSIRSという言葉は一般の患者さん方にはとても難しいと感じるのではないでしょうか。そのため今後は敗血症の診断基準にはSIRSではなく、臓器障害に焦点をあてたわかりやすい定義の改訂が行われる予定となっています。
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